sty1410070008-p1
http://www.sankei.com/photo/images/news/141007/sty1410070008-p1.jpg



日本のロケットは高いか

費用が高いと批判されることの多い日本の宇宙ロケットなのですが、実際に総費用で計算してみるとライバルよりも安い。

日本のロケットが打ち上げられるたびにマスコミは「日本のロケットは打ち上げ費用が高く競争力がない」とこき下ろしています。

今では常識になってしまった感があり、日本は不当に高い費用を使って国産ロケットを打ち上げているかのようです。

スポンサー リンク

しかしこの「打ち上げ費用」という言葉が大問題で、ロケットの打ち上げまでに掛かった総費用ではないのです。

例えばH2Aロケット1回の打ち上げ費用は約100億円ですが、これにはロケットの開発費用や種子島の設備費などは含んでいません。

単にロケット1基の製造費用と、打ち上げ経費を足したのが「打ち上げ費用」と発表されています。


もっと広範囲にロケット1基を打ち上げる費用を考えると、開発費用と設備運営費、ひいてはJAXAや三菱重工と言った組織を維持するための費用も必要になります。

種子島の発射基地も含めると日本の宇宙ロケットは、付随費用の総額が他の宇宙大国より一桁安いのです。

日本の宇宙予算は3000億円程度ですが、1000億円以上を気象庁などが取ってしまうので正味は2000億円以下となっている。


対してアメリカの宇宙予算は総額4.5兆円もあり、ロシア、中国は非公開ですがそれぞれ兆円単位を宇宙予算に投じています。

欧州宇宙機構の公式な予算は7000億円ですが、これは核保有国などの軍事予算を含んでいない、まやかしの数字です。

核ミサイル開発費を付け替えたりしていない日本の宇宙予算は、他のどの国よりも一桁少ない。


欧米では民間宇宙企業が打ち上げているが、日本ではロケットの製造から打ち上げまで三菱が一括して行っています。

年に数回の打ち上げ回数ならこのような体制のほうが良いと言われている。



ロケットの本当の値段

日本の最新の大型ロケットはH2AおよびH2Bなので、この2機種の値段を考えてみようと思います。

H2Aは前身になったH2の改良型、H2BはH2Aの改良型です。

したがってH2Aの総開発費はH2+H2Aの開発費になります。同様にH2Bの総開発費はH2+H2A+H2Bの開発費になります。


結論を書くとH2Aの総開発費は4282億円で、H2Bの総開発費は4552億円でした。

しかしH2Aを元にH2Bを開発した費用はわずか250億円でした。そしてH2、H2A、H2Bは合計54回打ち上げて51回成功しています。

成功一回当たり開発費は約89億円で、一回当たり打ち上げ費用はH2Aが約100億円、H2Bが約140億円となっている。


これを世界で最も成功していると賞賛される欧州宇宙機構のアリアンVと比較してみます。

アリアンVの開発費は約1兆500億円とされ、打ち上げ回数101回のうち96回が成功しました。

アリアンVの打ち上げ成功一回当たり開発費は約109億円で、H2シリーズより高いです。


アリアンVの一回当たりの打ち上げ費用も200億円でH2の100億円の2倍です。

もっともアリアンVは打ち上げる衛星の重量も、H2の5割り増しから2倍なのでこれは互角。

日本のH2A、H2Bの本当の値段は欧州のアリアンVより安く、打ち上げ重量コストでは互角と言えます。


種子島発射場の運営費はアリアンスペースの発射施設より安いので、実際はもっと日本の方が安いはずです。

だが外国から衛星打ち上げを受注する時の値段は、欧州の方がかなり安い。

これは要するに欧州各国が赤字を負担して、衛星打ち上げを受注しているのです。


ロシア、中国も事情は同じで政府が赤字を負担して受注しています。

アメリカは軍事衛星打ち上げが主力なので膨大な打ち上げ数があり、民間打ち上げはオマケみたいなので比較できない。

こうして見ると日本の宇宙ロケットの本当の打ち上げ費用は、外国より高いどころか、むしろ安かったのでした。


スポンサー リンク