自由な学生達が自然に集まったわけではない
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引用:http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/ebiyann0701/20120723/20120723142512.jpg


最先端のIT産業が学生達の起業家精神によって、独りでに発展した街と言われているシリコンバレー。

始まりは日独との戦争に勝つ為の研究機関が設置された事だった。


第二次世界大戦を勝つための軍事拠点

シリコンバレーの歴史は1947年頃に、元々その場所にあったスタンフォード大学の出身者が、ヒューレット・パッカードなどを設立した事から自然に形成されたと説明されている。

だがこれは聞かれたくない事を隠すための「表向きの歴史」で、結果に過ぎない。
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優秀な大学の周りに自然に先端企業が集まるなら、日本の大学の周囲にもそれなりの先端企業が集まっている筈だが、日本の大学の周りには安い定食屋しか無い。

1941年に日本が真珠湾を攻撃し、ドイツが対米宣戦布告してアメリカはドイツと戦争をする事になった。

欧州戦線ではイギリスとドイツが最新兵器のレーダーを使用した航空戦を展開していて、アメリカは遅れていました。


アメリカは同盟国のイギリスにB17爆撃機を提供してドイツ空爆にも参加したが、ドイツ軍のレーダー網を突破できなかった。

英米軍の非撃墜数は4万機にも達し、イギリスは今にもドイツに負けそうでした。

もしイギリスがドイツに負けると欧州統一国家が誕生し、次はアメリカに襲い掛かってきます。


米軍はドイツのレーダー網を無力化して爆撃する方法の研究を、ハーバード大学に依頼して「刻んだアルミホイルを撒く」という単純な答えを見つけた。

この時の研究所RRLの指揮をとっていた人物が、後にスタンフォード大学教授になり、教え子がヒューレット・パッカードを創設しました。

大学と研究所は米軍から多額の研究予算を獲得できるので、卒業者が創設した新興企業も周囲に集まって軍の予算を獲得しました。


これがシリコンバレーで、当時は企業が軍事技術の研究をすると75%の補助金が貰えたそうです。



次々に天才を輩出

第二次大戦以降のアメリカは大学に軍事予算を与えて軍事研究をしており、例えば原爆の研究も大学で行っている。

いくらの軍事予算を獲得できるかが大学の経営を左右するようになり、特に技術系大学は軍事研究を重視した。

軍事系大学としてはMITやハーバード、スタンフォード大などが特に有名です。


世界大戦が終わっても、すぐに朝鮮戦争が勃発し米ソ冷戦、ベトナム戦争、中東紛争と大学の飯の種は尽きませんでした。

1950年代から60年代にかけて、シリコンバレーにあるスタンフォード大学が軍事研究の中心になり、最も多額の予算を獲得しました。

すると大学のパートナーになろうとして、周囲には最先端の研究をする企業が集結し「シリコンバレー」と呼ばれるようになった。


この中に最初のコンピュータ企業となるヒューレット・パッカードも存在していた。

冷戦時代には核兵器、原潜、スパイ衛星、レーダーなどの開発に多額の軍事予算がばら撒かれました。

スタンフォード大は特に電子技術の基礎研究を得意としていて、これがIT技術やコンピューターになって開花した。


大学は学生による軍事企業の設立を奨励したので、多くの学生が電子技術関連の会社を作っては周囲で商売を始めた。

彼らにとっては日本の大学の周囲で定食屋を始めるくらい、自然な事だったのかも知れない。

宇宙開発もまた彼らに多額の予算を配分する事になり、アポロ計画では本格的なコンピュータが使用された。


アメリカでは普通の大学の学生が学費を稼ぐ為に核研究をしていたり、教授が弾道ミサイルの研究チームを率いたりしている。

後にヒューレット・パッカードでは、若き日のジョブズがアルバイトをする事になる。

一方シリコンバレー以前の最初の軍事研究機関を作ったハーバード大学にはビルゲイツという金持ちの天才が入学し、コンピュータに革命を起こす事になった。


学生達は軍隊が出すお金によって、無料で最先端の機器を扱えたほか、国家予算並みの予算をつぎ込む研究に参加していた。

シリコンバレーの天才達は生まれるべくして生まれたので「起業家精神」とかは関係ない。

後のIT産業の主役達の多くがこういう環境で育った。



軍隊がスポンサー

現在もアメリカは7500億ドルの軍事予算と200億ドル近いNASAの研究予算を使っている。

アメリカ軍の年間研究予算は700億ドル以上なので、NASAと合計で1000億ドル(10兆円以上)もの研究予算がある。

研究予算だけで日本の防衛予算の2倍であり、このうちかなりの金額が大学や先端企業、研究機関に配分される。


もし日本政府が年間3兆円や5兆円の最先端の軍事研究費をばらまいたら、筑波あたりにシリコンバレーが出来るかもしれない。

第二次大戦頃には研究費の75%を米軍が補助金で出していたが、現在は10%以下になっている。

それだけ民間部門が発展して軍隊との関わりは見えにくくなっています。


だが軍事予算という大金があって、そこに群がった大学と学生、そして企業がシリコンバレーを作った事実を、消すことは出来ない。

日本でも2000年頃から「IT立国」や「起業大国」が叫ばれてブームになったが、根付く事無く消え去りました。

ここでまた「日本人には起業家精神が足りない」というトンチンカンな批判が展開された。


だが日本にも戦後、トヨタ・日産・ホンダ・ヤマハ・マツダ・三菱などの自動車やバイク産業が一斉に起業した時期があった。

調べてみるとこれらの会社の技術者の多くは、旧日本軍で戦闘機や兵器の開発や製造に関わっていました。

軍隊では民間では許されないような「無駄な研究」が許されるし、途方も無い予算をつぎ込み大量生産を行う。


戦争では負けたが、戦後の高度成長期を迎えた時に、軍隊式の「起業家精神」が開花しました。

現在日本ではホンダや三菱や川崎が国の主導によって航空機製造に参入しようとしています。

開発中や計画中の国産航空機は、戦闘機・輸送機・哨戒機・小型旅客機・中型旅客機・ヘリ・無人機など各種に及ぶ。


どれも国が金を出して始めて可能になるものばかりで、民間に任せるだけでは無理なのです。

最先端の技術を持つ企業がある国は、例外なく国が最先端の軍事研究に金を出しています。


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