ドル安にするとアメリカは弱くなってしまう
RT
引用:http://www.ouest-france.fr/sites/default/files/styles/image-1000/public/2016/12/07/economie-americaine-trump-se-vante-les-milieux-d-affaires-s-alarment.jpg?itok=pPjFzjWJ


トランプ経済の矛盾とは


選挙中からトランプ批判を続けている米マスコミの多くが、トランプの経済政策の矛盾をしてきている。

トランプ当選後は「負け犬の遠吠え」を絵に描いたようにスキャンダルや人格否定を展開し、日本の「反安倍マスコミ」を連想させた。

トランプ経済の矛盾をWSJの記事は「トリフィンのジレンマ」という古い経済理論で表現している。
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トリフィンのジレンマとは機軸通貨の地位を守るために、国際収支の赤字を改善しようとすると、ドルの地位が弱まる現象を指している。

ドルは基軸通貨で世界最大の消費を持っているので、世界のあらゆる国はドルを保有しようとします。

例えば日本は1.2兆ドルの外貨準備(ドル)を保有しているので、1.2兆ドル分のドルを購入し、その分円安ドル高になっています。


全世界の国々がドルを買いまくるのでドルは高くなり、アメリカの製造業が衰退して貿易赤字、経常赤字を続けています。

トランプはこれを止めようと良い、輸出を増やして赤字を解消しようとしているが、それにはドルの価値を下げなくてはならない。

例えば1ドル50円にすればアメリカ製の自動車が半額になり、日本に輸出できるようになるでしょう。


ドルの価値を下げて円高にするには日本政府がドルを買えなくしてしまえば良く、実は簡単に実現可能です。

日銀が為替介入しようとしても、アメリカ中央銀行のFRBが「売りませんよ」と言えばそれでお仕舞いです。

なんでこんな簡単な事をしないかというと、これをやったらドルは「基軸通貨」ではなくなるからです。



機軸通貨ドルの宿命

世界のあらゆる国が好きなだけドルを買えてこそ機軸通貨で、アメリカが世界経済を支配できる力の源泉になっています。

冷戦時代のソ連や東側諸国ですら、資源を売ってドルを保有しようとしていたし、北朝鮮すらドルを保有しています。

全世界の全ての国がドルを買いまくれば、必然的にドルの価値は本来の価値より上昇し、製造業が破綻するのは仕方がない事なのです。


これを「仕方がなくなんか無い」と言っているのがトランプで、自動車メーカーを脅して米国内で生産させようとしています。

ところが日本車やビッグ3の工場を中国やメキシコから米国内に移転したら、ドルが買われるのでより一層ドル高を招いてしまうでしょう。

トヨタはアメリカに1兆円投資するそうですが、1兆円のドルを買ったらどうやっても1兆円分ドル高になります。


さらにアメリカの輸入が減って輸出が増えれば、ドルを買う人がふえてドルを売る人が減るから、より一層ドル高になります。

今まで日本がアメリカに自動車を輸出していたので、代金に1台200万円(2万ドル)のドルを売って円を買っていました。

それを今度は2万ドル(200万円)のカマロをアメリカが輸出したら、日本人が円を売ってドルを買う事になり、やっぱりドル高になります。



貿易赤字がアメリカの力の源泉

これは日本から見ても同じ事で、日本がアメリカに輸出した分、円高になって輸出できなくなります。

インドとかベトナムとか、まだまだ人件費が安い国は通貨の価値が上がっても輸出できるが、日本やアメリカのような先進国は輸出を増やすと、逆に輸出できなくなります。

輸出大国と言われているドイツ、中国、韓国はいずれも為替相場を意図的に固定させて、輸出を増やしても通過高にならないようにしています。


中国の人民元レートは共産党が決定して人民銀行が維持しているし、韓国ウォンは為替介入で固定させています。

ドイツはマルクを廃止してユーロを作り、他のユーロ国の貿易赤字によってドイツの貿易黒字を帳消しにしています。

こうした例外を除くと先進国が貿易を増やして儲けるのは、もはや現実的ではないのです。


特にアメリカは全世界の国が基軸通貨のドル買いをするので、本来の価値より遥かに高いのだが、それがアメリカの力の源でもあります。

貿易黒字だが世界の誰もドルを欲しがらないという世界は、アメリカ自身にとっても不都合です。

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