EUに対抗するため米国はNAFTAやTPPを作った
APEC2011
引用:ロイターhttp://jp.reuters.com/resources/media/editorial/20111104/APEC2011.gif



メキシコ貿易戦争の結末

米経済メディアなどは4月27日、トランプ大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)から離脱する大統領令を検討していると報じました。

大統領は選挙中からずっと、メキシコやカナダからの輸出が、アメリカ労働者の雇用を奪っていると主張していた。

NAFTAを大幅に改定して米国に有利なルールにならないのなら、離脱するべきだとも言っていました。
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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)予定国が数十カ国に及ぶのに対し、NAFTAはたった3カ国なので経済規模はずっと小さい。

アメリカとカナダはずっと「自由貿易」で国境の移動も自由だったので、実際にはアメリカ・カナダとメキシコの2カ国だけの貿易協定と言っていい。

メキシコ市場はアメリカ・カナダよりずっと小さいのでほとんど輸入されないが、メキシコから見た北米市場は巨大なので、輸出が爆発的に増えた。


欠陥エアバッグで有名になったエアバッグのタカタは、エアバッグの生産をすべてメキシコに移転したら、あのようになった。

タカタ・メキシコ工場の元責任者がマスコミに語ったところでは、製品をゴミ捨て場代わりにし、噛んだガムをエアバッグの中に捨てたりしていた。

製品管理が厳しく、遠くのゴミ箱まで捨てに行かされるので、労働者達が自主的に「合理化」していったようです。


メキシコ製品をアメリカに輸出している間はまだ良かったが、米国企業は国内工場を閉鎖してメキシコに移転し始めた。

メキシコは労働基準法などがゆるく賃金が安く、政府や人権団体が厳しくないので、工場を作るのに向いていたからでした。

そして自動車工場などがメキシコへの工場移転計画を発表するに至ってようやく、アメリカ人は何が起きているか理解した。



EU合衆国は幻想だった

80年代から90年代にかけて日本では「国際貢献」が大ブームで、韓国と中国に無償で技術援助して、お金まで差し上げていた。

国際貢献すると日本の地位が上がり尊敬を得られるという話だったが、実際には技術と金を盗まれたうえに、犯罪者呼ばわりされているのは周知の通りです。

アメリカ、メキシコの関係もこれと同じで、メキシコの地位が高まるほどアメリカの地位が弱まり、メキシコから侮られるようになった。


こうなる事はNAFTA創設時からある程度予想されていたのだが、欧州でEUが誕生して焦りまくったクリントン政権が創設しました。

EUが実質的に創設されたのは1993年11月の事で、創設理念は「欧州合衆国を作ってアメリカ合衆国から覇権を取り戻す」でした。

むろん条文にそう書いては居ないが、フランス大統領などは公然とこのように発言していました。


EUの人口とGDPを合計するとアメリカより大きくなるので、欧州は再び世界の支配権を奪還できるというのがユーロなのでした。

理想も理念も無い強欲団体が欧州連合で、目論見はある意味で成功し、人口約5億人、GDPは米国とほぼ同じに並んだ。(2012年)

一方でEU内部には問題が噴出し、2015年にはシリアなどから300万人もの移民が入国し、加盟国自身の判断では拒否できない欠陥が露呈した。



自由貿易には勝者と敗者しか存在しない

EUの全ての加盟国の首都では「原住民」が少数化して移民が多数になり、ロンドンっ子やパリ市民などと言っても過半数が元「外人」なのです。

経済的にも恩恵があったのは最初の15年くらいで、最近はアメリカより経済成長率が低く、日本と同じ程度しかない。

貿易不均衡が深刻で、ドイツだけが莫大な貿易黒字を積み重ね、他のEU加盟国は全て貿易赤字という有様です。


自由貿易協定は確かに勝者には莫大な利益をもたらすが、勝者はせいぜい1割くらいの人であって、残りの9割は前より不幸になります。

自由貿易体制に組み込まれて敗者グループになってしまったら、日本の失われた20年のように、永遠に搾取され続けます。

「自由」とは言いながら自由貿易体制は、勝者と敗者、搾取する側とされる側が永遠に固定化されてしまうのです。


日本国内の「自由労働市場」のように、派遣や非正規など一度「搾取される側」に組み込まれると、そこから抜け出すのは非常に困難です。

こうならないように「国家」が存在し外国から搾取されないようにしているのだが、国家や国境を廃止して保護をやめようという自由貿易論が幅を利かせている。

アメリカはNAFTAより早くTPPから離脱したが、日本にとってこの上ない幸運なのに、政府は「TPPにアメリカを連れ戻そう」と言っている。


TPPの自由貿易で日本が勝者になるなら良いが、そんな保証は何も無く、賃金が安い生産国や、主導権を握るアメリカから食い物にされる危険性の方が高い。

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