乳牛は工業製品と違い、売れないから減らす、売れるから増やす事はできない。
一度生産を減らしたら回復するのに数十年かかる。
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引用:http://tk.ismcdn.jp/mwimgs/d/9/-/img_d991d92bc7b0b45e326b781ea96a511d110274.jpg



日本と欧州のバター危機

バター危機と言えば毎年のように繰り返される日本のバター不足で、ニュージーランド等から毎年輸入しています。

実は日本のバター不足は農水省の役人が「将来生乳は大幅に余る」という予測を立て、強制的に農家を廃業させて発生しました。

日本の人口は急速に減少し、牛乳の最大消費者だった子供も減少するので、役所が農家に廃業を要求したのです。
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だが予想ほど急速に生乳需要は減少しなかったので、最も出荷単価が安かったバター用生乳が不足し、バター不足が起きました。

バターの値段は乳製品で最も高いのですが、同じ量のバターを作るにはチーズの2倍も生乳が必要なので、バター用生乳の買い取り価格が最も安かったのでした。

逆にもっともグラムあたり販売価格が安いのは牛乳ですが、牛乳は生乳の買い取り価格が高いので、農家は牛乳を最優先します。


はっきり言えば農家は牛乳用の生乳を生産しているのであり、余ったらチーズ用に出荷し、さらに余ったらバター用になります。

欧州でも今年になってバター不足が深刻化したのですが、実は2011年には既に「欧州でバター危機」というニュースが登場していました。

原因は低炭素ダイエットが流行して女性達が脂肪のすくないバターやチーズを食べまくり、加えて生産不足が事態を悪化させた。


2017年になってフランスのバター価格は年初に比べて2倍近くになり、パンやケーキが打撃を受けている。

ところがフランスの酪農農家では、生産した生乳が原価割れを起こし、生産量を減らす農家が多いと言われている。

不足して値上がりしているのに、生産農家の出荷価格が逆に下がっているのは、通常では考えられない。



バター危機の犯人は誰だ?

中国では近年食生活の欧米化が進み、バター需要も急増し国際価格上昇の一因を作っている。

2017年に中国の乳製品輸入量は38%増で、増加した大半を欧州とニュージーランドから輸入しています。

世界のバター消費量は年3%のペースで増加しているのに、日本や欧州は生乳の生産量をむしろ減らしています。


こうして需給バランスが崩壊した結果、各国で採算の合わないバター用生乳が不足しました。

欧州が生産を減らしたのはウクライナ危機とロシアのクリミア併合が関係し、経済制裁の結果ロシアに乳製品を輸出できなくなった。

このためEUでは牛乳の価格が水より安くなり(欧州では水が日本の牛乳並みに高いのだが)赤字の酪農農家は廃業しました。


日本と同じように乳牛を減らして生乳の生産量を減らしたところに、世界的なバター高騰が発生しました。

生乳は乳牛からしか取れず、一度減らした乳牛を増やすには数十年かかるとされています。

牛小屋とか牧場の設備投資に多額の金がかかるほか、一度廃業した農家は復帰しないので、ゼロから酪農家を育てなくてはなりません。


ところが現在は生乳価格が高いとしても将来の保証がないので、若者は酪農農家にはなりません。

工業製品のように売れないから生産しない、売れるから増産することは出来ないのに、国民や政府はそれが分かっていないのです。

日本も欧州も「売れないのなら減らせば良い」と言って市場原理で減産した結果、現在の状況になりました。

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