週35時間労働とは「いくら働いても35時間分しか給料が出ない制度」だった
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失業率ではイギリスに完敗

フランスをめぐって日産のゴーン解任や、イギリスのEU離脱などで注目が集まっています。

国内ではマクロン大統領の高支持率が25%まで低下し、福祉切り捨てやガソリン値上げで反政府デモも起きています。

ブレグジットではEU離脱するイギリス経済が「大変なことになる」と言っているが、実際はフランスの方が大変になっている。

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イギリスの失業率はEU離脱投票から低下し4.5%と数十年来の低水準になり、雇用が安定しました。

フランスは逆に失業率が上昇して10%になり、国民の不満が蓄積しています。

おもしろいことにGDPでは逆にフランスが上回り、イギリスは世界4位に転落しました。


これは英ポンドがユーロに対して下落したからで、円安と同じようにイギリスの失業率を下げています。

フランスは高福祉で知られていて2000年から2002年にかけて「週35時間労働」が義務化されました。

週35時間を超えて働かせてはならないというもので、失業率を低下させる効果が期待されていました。


現実には先ほど書いたように失業率が上昇してしまったのだが、その理由はなんだったのでしょうか。

労働者との合意があれば、週35時間を超える場合は25%から50%増の割り増し手当で労働をさせることが出来る。

また管理職、自由業、特殊な職業では35時間を超過しても良いことになっている。



フランス人の労働嫌いは筋金入り

歴史的に見るとフランスでは1848年に84時間、1936年に40時間、1982年に39時間までの制限があり、今回は週4時間短縮されただけだった。

フランス革命前は(農場)労働者は領主の所有物で無制限に働かされ、この不満が革命の一因になった。

日本では農民は大名の所有物ではなく、長時間重労働ではあったが労働時間は自分で決めていたのとは違う。


欧州では農民は土地に付属する物でしかなく、物をどうしようと領主の勝手だった。

ちなみに1940年にドイツがパリ侵攻をした時も、フランスは労働時間や有給休暇を巡って議会が混乱し無政府状態で、ほとんど抵抗しなかった。

フランスでは目の前のドイツ軍より、有給休暇や労働時間のほうが重大事と考えられたのです。


「フランスパン」という固いパンがありますが、もともと柔らかかったのに、1920年代にパン職人の労働時間を制限して固くなりました。

柔らかいパンを焼くには時間がかかるが、「早起き禁止法」で作れなくなり、やむなく固いパンにしました。

ここでも「パンより労働時間短縮が大事」という原則が貫かれ、いかにフランス人が労働を嫌っているかが垣間見えます。


さて2000年に35時間制になってからの変化として「出生率が向上し人口が増えた」という意外なものがありました。

仕事が早く終わるので夫婦で過ごす時間が長くなると、出生率が上がるのかも知れない。

財政悪化と成長率鈍化ももたらされたが、他のEU諸国やイギリスも同じなので35時間制のせいかは分からない。


目立った悪影響としてはサービス残業の増加で、企業は35時間しか働いていないことにして、実際は40時間以上働かせました。

偽装工作のため自宅に仕事を持ち帰らせる在宅ワークが増えたが、なぜか日本ではかっこ良く報道されました。

企業は正社員を雇っても週35時間しか労働させられないので、非正規でローテーションするようになった。


正社員を週35時間雇うより、非正規を35時間づつ2人雇った方が低賃金だし合法だからです。

結局企業は35時間制を「いくら働いても35時間分の給料しか払わなくていい」と解釈し、生産性向上に励んだ。

35時間で50時間分の労働をさせるとか、休憩や食事の時間を減らしてノルマを引き上げるとかでした。


一応35時間で帰宅できるが家に居る間もIT機器で縛られて、深夜まで仕事をしている人が多い。

人間関係はボロボロになり、パワハラが横行しゴーンのような強欲な支配者にとって都合が良い時代が来た。

ゴーンが絶対権力者になったのはまさに35時間法が施行された時でした。

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