科挙は有能な人材を登用するためではなくその逆。
なるべく無能な人間を出世させて地方の有力者を抑える制度でした
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画像引用:https://bushoojapan.com/wp-content/uploads/2018/01/42d42c82f60b484d554b7ff6a09cf4d4.jpg



現代に生きる科挙

中国の若者と言えば農民を連想したり、毛沢東語録を持った学生を思い浮かべるのは昔話で、今は熾烈な受験戦争が行われている。

現代中国都市部の若者は過激な学歴競争で知られる韓国より猛勉強し、日本の学生の2倍は勉強しているという。

向学心があるとか努力家だからなどの理由ではなく、伝統的な科挙による身分選別を勝ち抜くためです。

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科挙は小野妹子が使者に出かけたので知られる隋の時代から、清が亡びるまで1300年間続きました。

科挙は上級公務員試験のようなもので、農民や下層階級でも平等に受験でき、誰でも皇帝に次ぐ身分まで出世できた。

日本の武士制度と比べると、武士は世襲であり勉強ができて頭が良く金持ちでも、特殊な例を除いて武士として取り立てられることはなかった。


科挙に合格すると人生が一変するが、例えば次のような例でその権力の巨大さが分かる。

朝鮮王や琉球王は明や清の皇帝に任命されるが、皇帝の代理人として科挙に合格した役人が現地に赴きます。

朝鮮王や琉球王は皇帝の代理としてやってきた役人に、門の前で土下座して頭を地面に打ち付けて忠誠心を示さなくてはならなかった。


その儀式のために作られた門が琉球の守礼門と朝鮮の迎恩門で、使者が滞在している間は役人が主人で琉球王と朝鮮王は下僕に過ぎない。

もし役人が帰国して皇帝に「琉球王は謀反を企んでいます」などと告げ口したら、王は解任され追放されてしまう。

中国国家がこのような科挙制度を作った理由は、才能ある若者にチャンスを与えるためなどではなかった。


現代の中国の受験、日本の大学受験者は50万人、中国は約940万人
トップの大学を目指す競争率は日本の20倍
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画像引用:https://ybitaly.files.wordpress.com/2016/12/esami-di-stato-in-cina-604561.jpg



科挙に合格すると琉球王や朝鮮王より身分が上になる

三国志を読むと分かるが中国では常に内戦が絶えず、任命した将軍や王はすぐ主人を裏切ってしまいます。

そこで隋は地方の将軍や王の上に経つ存在として官僚をつくり、3年ごとに任地を変えて癒着しないようにしました。

身分や出自を問わないのは地方有力者の世襲を防ぐためで、反乱防止が目的でした。


地方有力者の権力を削ぐためには、官僚の身分は低いほどよく、このための試験が科挙でした。

科挙は人口1億人ほどの中国で合格者は約300人、競争率は3000倍で試験は3年に一度しか行われません。

実務の有能さは一切問われず、試験内容はひたすら皇帝への忠誠心に関するものと、朱子学の暗記でした。


実務で無能でも良かったのは、有能だと子分をまとめて反乱を起こすので、忠誠心が強く暗記が得意なら良かったのです。

科挙に合格すると自分の一族や部下が大勢役目に就くので、官僚は実際の仕事はなにもしません。

きのうまで極貧生活だったのが、科挙に合格したら皇帝につぐ地位に就けるというのが中国の伝統なのです。


辛亥革命で科挙は廃止されたが、科挙がつくった学歴主義と身分制度は現代に残されました。

中国で共産党指導部のメンバーになるには、北京の有名大学に入学しなくてはならない。

この辺は韓国でソウルの3大学に入らないと、社会の底辺に追いやられるのに似ています。



人生は一発勝負

たった1回の試験で人生のすべてが決まり、不合格者はその後どれだけ努力しても社会の底辺をさまよう。

科挙の合格者はそれがまぐれだったとしても、一度の試験で一生が約束され、一生涯エリート街道を歩く。

こういう社会なので社会の上を目指す人達は、中学高校と文字通り寝る間を惜しんで勉強します。


一般的な中国の進学校は全寮制が多く、全員が朝6時に起きて外を走って目を覚ましてから朝の自主勉強を行う。

学校ではもちろん勉強するし、無駄なクラブ活動などせず寮に戻り、また深夜まで自主勉強をする。

2段ベッドで4人から6人が同じ部屋なのでさぼる事はできず、監視も非常に厳しい。


学歴だけで人生が決まるので、親は幼稚園に入る前から教育熱心で、子供を上流社会に入れようとする。

科挙の試験では世襲や賄賂が効かず1代限りだったので、現代でもそうした風土が残っている。

世襲の日本より平等でいいように感じるが、子供に身分や職業を相続できない親は、悪の限りを尽くす。


どうせ1代限りなので取れるだけ賄賂をとり、せめて子供に残してやろうなどと考える。

日本の政治家は世襲なので、目先の損得より人心掌握や世間の評判を気にする傾向がある。

こうして中国ではより過激に、より熾烈な学歴競争が戦われ、幼稚園から高校まで寝る時間を削って勉強している。


だがこの制度で本当に国のために働く人材が育つのかは疑問です。

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