自動操縦にまかせきりで、現実に手動操縦ができない機長が増えている。
日本の北海道エアシステムでも自動操縦に頼りきった結果、地面に衝突寸前の事態になっていました
画像引用:http://www.cnn.co.jp/storage/2013/07/09/d7688caf981399b878afde6cb14a2442/asiana-evacuation.jpg
操縦できない「なんちゃってパイロット」
飛行機の自動操縦の技術は自動車よりも先に進歩し、今では離陸してから目的地に進路を取り安全に着陸するまで、機長が一度も操縦かんに触れなくても良い機種まで登場してきている。
機長の仕事は自動操縦に必要な情報をコンピューターに入力したりチェックリストに従って計器をチェックしたり、乗客の為にエアコンを調整することらしい。
これは大げさなのかも知れないが、実際にこれに近い事は飛行機の現場では起きているようです。
人間必要なら操縦技術も懸命に磨きますが、あまり必要ではなく、しなくても良いとなると、簡単な方に流されます。
コンピューターが自動操縦してくれるなら、それで良いじゃないかという事で、手動操縦の飛行経験が無い機長が数百人乗りのジェット機を操縦してた例がありました。
これまで飛行機の世界では飛行時間の長さがパイロットの経験の証明でしたが、これからは飛行時間1万時間でも、機長は操縦室で寝ていただけかも知れないのです。
もちろん彼らは実際に操縦して免許を取ったわけですが、日常的には自分で操縦していない機長が増えています。
自動操縦で墜落寸前
2011年6月に北海道エアシステム(HAC)の13人乗りプロペラ機が、地上30メートルの高度まで異常接近した事故で運輸安全委員会が報告書を公表しました。
報告書によると機長は視界が悪かったため高度180mで着陸を断念しました。
一旦は高度230mまで上昇しましたがフライトディレクター(FD)(高度を設定したり指示する装置)を180mに設定したままだったので、FDは高度を下げるように指示した。
着陸を辞めた場合にはFDの高度を1200mに設定しなおさなければ、ならない事になっていました。
機長はFDに従い着陸を辞めたのに再び高度を下げ、高度80mで異常接近を示す警報装置が作動した。
しかし機長はすぐに上昇しようとせず、自動操縦に頼ったまま上昇したため最終的に高度30mまで降下していた。
機長と副操縦士はFDだけを注目していて、他の計器類をほとんど確認していませんでした。
この機長は4日連続の勤務で疲労していたかも知れないと、但し書きが付いている。
HACでは自動飛行システムに頼り切って機長は機体を操縦しないのが常態になっていました。
運輸安全委員会は手動で操縦する訓練を増やすようHACに勧告した。
韓国アシアナ機は米空港に墜落
2013年7月6日、韓国のアシアナ航空の旅客機が、サンフランシスコ国際空港の滑走路手前の護岸に接触してそのまま滑走路上に墜落し、バウンドして叩きつけられて、へし折れて炎上しました。
機体は最新鋭機のボーイング777で機長と副操縦士はキャリアを積んだベテランばかりでした。
アメリカ運輸安全委員会などによる事故調査などによると、当日はサンフランシスコ空港では設備の工事のため777の自動操縦システムは使えず、手動で着陸しなければならなかった。
機長は飛行経験1万時間超、副操縦士も9000時間だったが、大半は自動操縦に頼っての飛行経験で実際に「操縦」したわけでは無かった。
さらに、副操縦士は777で43時間の飛行経験しかなく、機長に至っては777の習熟期間中で正式な操縦資格を持っていなかった。
別段違法だった訳ではないが、777の特に自動操縦の操作に関して2人とも素人同然でした。
まず機長はオートパイロット(自動操縦装置)オートスロットル(出力自動制御装置)をオンにしていたのだが、一度だけ修正のために手動で操作を行いました。
ボーイングの多くの最新型機でそうであるように、操縦かんやスロットを僅かに動かしただけで「自動操縦を解除」した事になるのですが、機長はまったく気づいていませんでした。
自動操縦を解除された777は速度を失って高度を下げ続けますが、機長は自動操縦だと信じ込んでいたため、衝突する数秒前まで何もしませんでした。
事故原因は韓国人機長が777を手動操縦する訓練を積んでいなかった為とされています。