広島G7は中ロに強硬な日米英が消極的な独仏伊を押し切った格好

成功だった広島G7
23年5月19日から21日に開催された広島G7サミットは最近開催された先進国首脳会議とては稀にみる成功を納めた
2000年代以降先進国の利害が対立し重要な問題でも意見の一致を見ず、トランプ時代には欧州とアメリカの対立が深刻化した
トランプがNATO解散について語れば英仏独はアメリカを「おいぼれ」と呼んで今後超大国になると予想した中国に接近した
アメリカの隣国カナダですら「バスを乗り換えろ」とばかりにアメリカと距離を置いて中国に接近しサミットは各国首脳が悪口を言い合う場所になり果てた
そんな状況につけ込んだのがロシアでウクライナ侵攻でNATOやG7は対立しあって分裂すると読んだが、そうはならなかった
プーチンの誤算その一はG7で日本が最初に反ロシア、ウクライナ支持を表明した事で安倍首相がプーチンの下僕のように従っていた事から日本はロシアに配慮すると思っていた
当初から反ロシアだったイギリスはウクライナへの軍事支援を主張し、「ウクライナ消滅後」の事などを考えていたアメリカもウクライナが中々倒れないので軍事支援を拡大した
すると日和見のコバンザメカナダはアメリカに追従し、「ウクライナなんかさっさと負けてしまえ」と言っていたドイツもそうは言えなくなり支援の輪に参加した
フランスはロシアが勝ちそうならロシア、しかしウクライナにも恩を売る事でどっちが勝っても勝者になれるよう振舞い、イタリアは極右の女新首相が「プーチンの友人」だと公言しながらウクライナを支援している
もし日本が最初にウクライナ支持を表明しなかったり、その後ロシアに配慮して制裁に加わらなかったらG7全体がロシア支持に傾いていた可能性は高い
侵攻後の世界各国での世論調査によると「ウクライナを支持する」という比率が最も高かったのが日本で100%近く、本国のウクライナや東欧よりも高かったという
そんな日本で開催された対面方式の首脳会議には当初欠席と報じられたバイデン米大統領やゼレンスキー大統領、インドのモディ首相や韓国のユン大統領などキーマンが集まった
フランスは不満げな態度
日本政府主導で会議全体は「反ロシア・反中国会議」のようになり会議の大半はウクライナ支援と中ロへの対応が議論された
インドは中国と対立しながら経済では親密で、ロシア製兵器多数を現在も購入しインドはロシア産エネルギーを大量に買い付けて侵攻費用を出している
結局インドは何も約束せずに帰国したが、ロシアを積極的には支援しないという強い圧力をG7から受けた事になります
フランス紙フィガロはG7終了後に「日本はフランスの立場を理解しなかった」と不満そうな感想で広島G7を評していました
記事によればマクロン大統領は中国を批判する共同声明を「抑えた表現にしようとした」つまり中国批判に反対したが、日本はそれを中国に対する弱者の態度のように見なした
ドイツもウクライナ支援や反ロシア・反中国には積極的ではないがドイツ紙ウェルトは「米国のタカ派を抑え込んで中国への批判を弱めた」と表現した
フランスとドイツは渋々ウクライナ支援や対ロ制裁に参加し、中国への批判や制裁には露骨に反対していて日米は中国に批判的な態度をとっている
イギリスはキャメロン首相時代は中国の属国になる勢いだったが、最近は中国への警戒を強め日米に近い姿勢をみせている
極右のイタリア首相は洪水対策を理由にG7の途中で帰国したが、最初から中ロ制裁には参加したくないようだった
ドイツ・フランス・イタリアは今も「中国が超大国になる」夢を抱いていて、そうなったときアメリカから中国に乗り換えられるよう中国と対立したくない
こういう自分本位な7カ国が一堂に集まったのがG7だったが、事前に予想していたより成功したように思います