李強首相

中国の新首相は5%成長に懐疑的
新たに就任した中国の李強首相は23年3月13日、全人代閉幕後に初の記者会見に臨み5%の成長目標達成は容易ではないと語った
「政府の役割は共産党の決定を実行することだ」と党に忠実な姿勢を示し庶民の生活向上も優先事項だと述べた
中国では首相を任命するのは共産党で、総書記は共産党の役職だし国家主席も共産党が指名して全人代で承認する仕組みになっています
2022年の成長率は3.0%で目標の5.5%に達しなかったため引き下げたとみられるが、23年の5%は早くも「相当厳しい」という指摘が出ている
李強首相は「庶民の大半はGDPよりも住宅、雇用、収入、教育、医療、環境など身近な問題を気にしている」とハードルを下げる発言を何度か繰り返した
李強首相は習近平の側近中の側近とされるが国政経験がない異例の首相で、その手腕が内外から注目されている
22年の成長率は3%だったが年末にゼロコロナが解除されたので、反動でかなりの高度成長になると当初は予想されていました
だが年末はともかく年明け1月から2月の経済動向は期待外れに終わり、23年の中国経済も低成長に終わる可能性が高まった
2月の中国の消費者物価指数は1年前と比較して1%上昇にとどまり、デフレ期の日本と同等で中国の消費が相当弱っているのが感じ取れる
1月の2.1%上昇より低下し生産者物価は引き続きマイナス、春節後の連休で消費が低迷したが今年だけ春節があった訳ではない
1月のドイツの中国向け輸出は前年比7.1%減の74億ユーロ(79億ドル)だったのを見ても中国の内需は弱く、簡単には回復しそうにない
外資の中国投資は22年下期に前年比73%減となり過去最大の落ち込み、ゼロコロナの消費不振に加えて米中対立やロシアへの加担懸念などがあった
成長より安定志向か
本来ならゼロコロナ解除後に外資は一斉に中国投資を強めてもおかしくないが、むしろチャイナリスクを警戒して東南アジアなど他の地域に生産拠点を移動している
中国は習近平のロシア訪問などロシアへの肩入れを強めていて、ロシアへの軍事支援に踏み切るのも時間の問題と見られている
さらに習近平は3期目の就任に際して改めて台湾侵攻を最大の課題と発言する等、自ら危機を作り出そうとしている
ゼロコロナ解除による劇的な消費は肩透かしに終わったが、GDPで最大の不動産市場も低迷し未だに恒大破綻の低迷から回復していません
中国の家計資産の70%は不動産が占めているが大部分の都市で住宅価格は下落していて、これは多くの人が不動産投資で損をしたのを意味する
中国の地価やマンション価格はソウルや台北より安いもののサラリーマン平均給与の倍数では30倍から50倍で世界一高額になっている
例年から政府による数百兆円にも及ぶ巨額公共投資で強引に高度成長を目指すのだが、今のところそうした動きもなく債務膨張を警戒している
中国の公的債務はいくらあるのか不明だが表向きはGDPの3%(単年度)、だが地方政府には巨額債務があり恒大のように民間債務に付け替えられている
地方政府の債務だけで900兆円もあり中央政府は支出を抑制するよう指導しているが、支出を抑制すると成長率は下がります