電気ガス水道トイレ、道路すらないと疑った方が良い

超格安物件の罠
日本には総務省の調査で800万戸の空き家があるとされていて、地方の田舎に行くとどの村に行っても建っている家の半数が空き家という状況です
そうした空き家に安く住めるのではないか、あるいは無料や格安で譲渡すれば住みたい人が居るのではないかと誰しも考えると思います
現実には田舎から都会に移住する人は多いが都会から田舎、空き家が多い過疎地に移住する人は少ないので過疎地の人口はどんどん減少しています
空き家バンクのようなサイトで過疎地の物件を見る事ができるが、第一印象として「思ったより高い」と感じるのではないでしょうか
築数十年の空き家が数百万円台というのは多く、田舎なので敷地は100坪などと広いものの計算するとお買い得ではない
部屋数が10以上もある築50年とかの民家を今後数十年住めるようにするには改築費用数千万円が必要になるからです
もっと小さい古い家を想定してみても今後ずっと住める状態を維持するには、やっぱり新しく建てるのと比べてそれほど安くなりません
空き家がすぐに住める状態で今後も費用をかけず住めるようになっていることはなく、「今は住めないし住み続けるには修繕し続ける必要がある」のがほとんどです
ネットで見た田舎移住実体験の悪い例では3年間などを無償か低家賃で賃貸し、借り手はずっと借りれるものと思って様々な修繕をするが、修理が終わって住める家になると追い出されます
格安物件ガチャ
「古民家を数年間無料で借りれる」という物件は借りた側が修理する事になり、賃貸期間が終わると修理した家は所有者のものになります
貸す側は「無償労働の労働者」としか考えておらず、数年間頑張って住める家にした労力はすべて無駄になります
所有者は「やる気」を起こさせるためずっとそこに住み続けられるような話をするが、ある日電話で「来月で契約が終わるので出て行って下さい」と言われます
こうした移住搾取や移住詐欺のような話が現実にあるので、「田舎の人は皆良い人で私たちを温かく受け入れてくれる」という役所のパンフレットは信じない方が良いです
移住にしろ別荘やレジャー目的にせよ格安物件を購入する時は、本当はいくらの費用がかかるのかを自分で計算しないとひどい目に遭います
過疎地の格安物件で良くあるのは「車が入れる道路が無い」「駐車スペースもない」「高台や斜面」「電気ガス水道なし」「ゴミ収集車や除雪車も来ない」ような地区です
都会育ちの人には想像すらできないような場所が過疎地には多くあり、便所の汲み取り車が横付けできない家も実在しています
電気は周りに家があれば安く引けるが、もし「ぽつんと一軒家」のように孤立していると、新たに引くには数百万円から数千万円もかかります
新たに電柱を建てるには地権者の許可が必要なので電気を引けない場合があり、電気が点かない家を絶対に買ってはいけません
太陽光や風力発電では電球は点いても冷蔵庫や電子レンジは使えずとても不便な生活を強いられるでしょう
あれも無いこれも無い
水道は一定以下規模の集落にはなく集落の水道組合に加入すると毎月数万円のような料金がかかります(”よそ者”は料金が高かったりします)
プロパンガスの配達をしてくれるのかは要チェック事項で普通はガス販売店から一定以上の距離があると販売しないが「親戚や知人だから配達していた」場合があります
この場合以前住んでいた人には配達していたが移住者には配達しないのでガス無し生活になります(自分で交換するのは禁止されている)
山の上の家で周囲に薪を積んでいると「ああ古風な生活をしている」と思うが、おそらくガスの配達をしてもらえないのでやむを得ずそうしています
格安物件を購入する時は「電気はつくか」「水道や水にいくらかかるか」「排水や便所はどうなっているか」「トラックを横付けできるか」「ガスの配達は受けられるのか」「ゴミ捨て場は”よそ者”でも利用できるのか」などチェック項目が非常に多い
都会では当たり前のサービスも過疎地では無いと考えるべきで、その土地で生まれた人さえ出ていくのはどんな環境か考える必要があります
買い物するような店はおそらく30キロ以内に無い筈で、地元の人は農家から直接買ったり貰っているがやはり”よそ者”は相手にしてもらえません
そうした土地でも役場の移住紹介サイトには魅力的な事だけを書いていて、「汲み取り便所は自分でくみ取って畑にまく」などと絶対に記載していません
そうした現実を承知のうえで過疎地の格安物件を購入するなら、素晴らしいカントリーライフを送れるでしょう