幕張メッセに登場した3か国戦闘機の模型

もう一国だけで戦闘機開発をできない
日英伊の3か国は2022年12月9日、次世代戦闘機の共同開発で合意し共同声明を発表したが事態は流動的でこのまま3か国の枠組みが維持されるとは思えない
過去のユーロファーターやF35の共同開発を巡っても欧州各国は離合集散を繰り返した末、各国の事情によって現状のようになりました
イギリスとイタリアの2か国は老朽化するユーロファイターの後継機とするべく第6世代戦闘機「テンペスト」を開発し、すでに実物大模型を作っていた
そこに難航し続けていた日本のF3戦闘機開発計画が接近し22年5月にはF3計画に英BAEシステムズが参加する事が発表された
同年12月9日にイタリアが加わって3か国の共同開発が発表されたが、これは基本的に戦闘機の製造・販売数をめぐるシェア争いの面がある
イギリスとイタリアの2か国で使用する新型戦闘機は400機、日本はF15J交代で200機が予想されるが中国や台湾情勢によっては増えるかも知れない
例えば米F35の予定生産数は米軍約2500機で米国以外は今のところ800機程度、最終的に合計4000機以上生産されると予想されます
3か国開発機の生産数が600機程度だと開発費も少なくなり1機あたりの費用は高く、性能は低くなるでしょう
仮に生産1機あたり100億円の開発費を負担するとしたらF35の開発費は40兆円、3か国開発は6兆円、実際にF35はプログラミング開発費に40兆円以上かけていると言われいます
F35の初飛行は2006年で3か国開発機は2020年代後半なので20年以上の時代差があり、3か国開発機の方が優れているのは当たり前ですがお金をかけれなければ革新的な技術を投入できない
ユーロファイターは1994年初飛行で生産数は2020年までに571機、予想される3か国開発機と同じくらいですが評価は低くF16やFA18のほうが評価が高い
FA18シリーズの生産数は2000機以上でF16シリーズは4600機、F15シリーズは1400機、名機になるには数が多くなくてはならない法則があります
ソ連・ロシアのSU27は680機だがSU27SK/UBK、Su-27SM、Su-30、Su-33、Su-35、Su-37など派生機が数千機生産された
F3は多国籍戦闘機になれるか
欧州の一か国の戦闘機配備数は日本と同程度なので単独開発は無理、欧州全ての国が同じ戦闘機を調達すればアメリカに匹敵する数になります
イギリスとイタリアが日本計画に参加したのは数を増やすためで、日英伊で500機以上になりユーロファイターと同等だがまったく不十分です
F35を購入した北欧やオランダ、ベルギー、スイスやポーランド、加えてフランス、東欧、オセアニアまで巻き込みたいのが英伊の思惑だと考えます
F35を契約した多くの国はF35の航続距離や搭載重量に不満を持っていて、原因はオバマ大統領が「コストダウンの為エンジンを単発にしろ」と命令した事にあった
双発であるべき戦闘機を無理に単発にしたせいでエンジントラブルや航続距離や搭載量にしわ寄せがきて、アメリカ以外ではF16ほど採用が広がっていない
日本ではF15J(航続距離4600キロ)の後継とするなら長大な航続距離が必要になるが、一般的に航続距離は増やすのが難しいが減らすのは簡単です
もしドイツやイタリアが短い航続距離が良いと言ったら燃料タンクを減らして他の装置を搭載すれば良く、搭載したい電子機器は山ほどあるでしょう
23年3月15日に開催された幕張メッセで開催された防衛・セキュリティ総合展示会「DSEI Japan」には3か国戦闘機の小型模型が展示された
F22をスマートな形にしたようなもので英伊のテンペストにも似ていて、最近各国が開発しているのと同じ方向性の形状でした
機体が三菱重工業と英BAEシステムズ、伊レオナルド、エンジンはIHIと英ロールス・ロイス、伊アヴィオで、ミッションアビオニクスシステムは三菱電機と英国のレオナルドUK、レオナルドと伊エレットロニカが参画する
また3か国は新型戦闘機と共に運用する無人機の共同開発も進めるとしていて、これは今後徐々に明らかになるでしょう
新型戦闘機は今後どれだけ参加国を増やせるかが課題でどんどん増えるようなら成功、逆に参加国が増えなければイタリアなどは離脱する可能性もあるでしょう