存在しない事になっている上海のホームレス

ストリートチルドレンはタブー
中国でストリートチルドレンの存在が報じられたのは今から10年以上前で150万人もの子供が路上生活をしていると報じられた
2012年11月16日早朝貴州省畢節市市街地にある大型ゴミ箱の中で男児5人がなくなっているのが発見され、寒さを避けるためゴミ箱に入っていたと報じられた
目撃者によると、子どもたちはゴミ箱近くの工事現場に住み着いてベニヤ板やシートでテント生活をしていた
当日の最低気温はマイナス6度で、5人はテントより密閉されていたゴミ箱で寒さを凌ごうとしたが、5人が入った事で酸素がなくなったとみられた
後日談としてこの時の写真(あるいは別のストリートチルドレンの写真)をネットで公開したカメラマンが当局に拘束され、現在も行方不明になったままです
中国でストリートチルドレンの存在は誰もが知っているが公に報道できないタブーで、おそらく写真をネットで公表すると自分が「行方不明者」になる
2019年に東方新報(日本の中国語メディア)はストリートチルドレンとは別に”事実上の孤児”が中国には50万人存在すると報じた
親に問題があって施設に収容されている子供が約22万人、父母以外に養育されている子供が約28万人いるが施設や養育環境は劣悪だという
中国では父母の保護下で育てられていない子供が100万人以上存在すると見られるが、国家の恥となるためあまり報道されていない
最近中国で増えているのは景気悪化に伴う大人のホームレスと、高齢者の増加にともなう高齢者のホームレスと言われている
このブログでは22年11月頃、ゼロコロナ末期に北京で家に帰れない人たちが路上で寝ていると報じたが、それはコロナの移動規制で自分の家にたどり着けないからだった
ゼロコロナの期間中、収入を失った人が多かったが特に日雇いで収入を得ていた出稼ぎ労働者の多くは農村に戻るかホームレスになった
上海市は最も多くの感染者を出していたが、2020年から22年まで上海市民が受け取った給付金は500円のみ、それも商品クーポンだった(食料などの配給は行われた)
存在しないホームレス達
中国政府はホームレスの存在を隠していて外国人が写真を撮ったり報道しようとすると「スパイ罪」などで逮捕されかねない
だがゼロコロナ下で多くの北京市民は路上生活者が市内で急増していると話題にしていて、その頃かなり増えたのは間違いない
最近NHKは上海市街地で路上生活者が増えていると取材していて、数人に声をかけて取材を申し込んだが誰も返事をしなかったという
NHKが路上生活者支援団体にコンタクトを取ってみると「中国には路上生活者の統計がなく実態は不明だが、コロナ後に路上に行きついた人がいる」と微妙な回答をしていた
また路上生活者支援団体は「外国メディアの取材は受けられない」と当局から圧力がかかっているのを伺わせる回答もした
結局NHKは上海駅前で数人の路上生活者へのインタビューに成功し、1人はコロナ前に出稼ぎ労働者だったと話していた
この男性は出身地の農村とは縁が切れていたためコロナで仕事がなくなっても帰省できず、路上生活をして学生や支援者などの助けで生きてきたという
同じ広場で生活する別の男性は21年3月頃、路上生活者が暮していた場所をフェンスで囲って入れなくされ、非常につらい経験だったと話した
22年12月にゼロコロナ政策は撤回されたがゼロコロナ中にホームレスになった人への対策は特になく、放置されたまま生活している