ロシア軍が築いた1000キロに達する防衛ライン

ワグネルとロシア軍の関係さらに悪化
23年5月1日、28日に続いてウクライナ全土にミサイル攻撃があり数十人が負傷したが、ウクライナ軍は18発のうち15発を破壊したと発表した
ドネツク州バフムートを巡ってウクライナ軍司令官は5月1日、ロシア軍が複数の陣地から撤退したと明らかにした
4月29日にウクライナ軍はバフムートへと西方の近隣町チャシウ・ヤルを結ぶ17キロの国道を依然として確保していると表明した
ウクライナ軍はこの国道と市街地の数キロ以外はロシア側に包囲されているが、道路は確保されていてワグネルは撤退を示唆している
ワグネルトップのプリゴジンはロシア軍幹部と対立を深めていて、弾薬などの提供にロシア軍が応じないならバフムートから撤退すると発言している
またプリゴジンは「ロシア軍は全てが成功しているように言っているが、実際は大惨事の瀬戸際にあると言わざるを得ない」とも話している
プリゴジンはロシアで政治権力を握る野心があると言われていて、今ワグネルが撤退したらおそらくロシア軍はその戦場で大敗すると思われます
将棋の大事な局面で最前線の駒が抜けるようなものなので、ロシアとロシア軍は打撃を受けるがワグネルの重要性はさらに高まる
たとえロシアがウクライナに負けて撤退しても、戦争目的がロシア防衛戦争に代わってプリゴジンとワグネルの重要性はむしろ高まる
ウクライナの攻勢でロシア軍が崩れて撤退すると、その時ウクライナ軍はロシア側の土地を占領できるほど強くなっている筈でワグネルの重要性は高まる
ワグネルとしてロシアが勝とうがウクライナから撤退しようがどうでも良い話であり、プリゴジンが政治権力を握れればいい
バフムートの激戦でワグネルが消耗しているのも事実で、このまま最前線で戦い続けるとワグネルは撤退しなくても消滅するかも知れない
1000キロ以上の万里の長城
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると過去半年間にイランからロシアへ砲弾30万発と弾薬100万発を運んだと報じた
英国防省は5月1日、衛星画像などを分析した結果、クリミア半島北部以外にもロシア本土の国境から離れた場所にまで塹壕を掘っていると分析した
ロシアがいかにウクライナの反撃を恐れているかの所作であり、疑心暗鬼になったロシア軍とワグネルは味方で反目しあっています
CNNなどが検証した米宇宙企業マクサー・テクノロジーズ衛星写真には、ロシアがウクライナ南部に長い障害物を築いてウクライナ軍の反攻を防ごうとしているのが映っていた
4月26日撮影の衛星写真にはザポリージャ州からクリミア半島北部までの数百キロに対戦車壕(ごう)、障害物、地雷原、塹壕など数千の防御陣地が映っていた
さらにクリミア半島北部から東部のドネツク州に至る数百キロにも同様の防御線が構築されていて、ロシアは数か月間防御施設を建設していた
防衛ラインは22年11月にヘルソン市からロシア軍が撤退した後に建設され始め、ロシアの2つの工場で「竜の歯」と呼ばれるコンクリート製の障害物を大量に製造し始めた
同時にロシア政府は30万人の強制動員を始め防衛戦に沿って招集した兵士を”人間の盾”として設置しています
招集された兵士は十分な訓練を受けず装備も貧弱ですが、そこに立っているだけでウクライナ軍にとって障害になるでしょう
23年2月にはクリミア半島北部に大量にあった戦車などの車両がなくなっていて、防衛ラインに沿って車両を配備したと考えられます
ウクライナ軍は23年5月に反抗作戦を開始する可能性が高いが、どこを攻めるにせよロシアの防衛線を突破する必要があります