戦勝記念日は戦意高揚の大イベントだが、中止するのはドローン攻撃をかなり恐れている

鍵を握るのはGPS誘導と妨害
23年5月3日に起きたクレムリンへのドローン攻撃以降、ロシアの首都モスクワではGPSの異常が発生し、カーナビなどが正常に動作しなくなったと報道されています
様々な攻撃からインフラ防衛する米非営利団体代表のダナ・ゴワードは3日のドローンについて、モスクワ上空には対空ミサイルのレーダーや電波妨害手段が張り巡らされていると指摘する
モスクワ上空でGPSを利用したミサイルやドローン誘導は無効化されるので、搭載カメラで操縦するなどの方法で操縦していた可能性が高い
また無線操縦の電波を乗っ取ったり妨害する手段も持っているので、ウクライナから数百キロも飛行した可能性はほとんどない
モスクワ近郊から超低空で飛行すればレーダーに写らないので、ロシアの防空システムに把握されないままクレムリンに到達する可能性がある
事件後にモスクワでGPSが誤作動を起こすのはロシア軍がモスクワ周辺でGPS誘導によるドローンやミサイルを防止する為と考えられます
ロシア・ウクライナ双方とも相手側ドローンやミサイルを妨害する電子戦を行い、妨害電波を発したり相手ドローンの乗っ取りを常に試みている
非営利団体の2019年の報告ではロシア周辺で年間約1万件のGPS妨害があり、しかもプーチン大統領が移動すると周辺で発生頻度が増えている
CNNによると22年にウクライナで活躍した米国製の高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」はロシアのGPS妨害で効果を発揮しなくなっている
ハイマースのロケット弾はGPS誘導によって40キロから100キロ先の目標にピンポイントで命中するがジャミングによってGPSが無効化される例が増えている
ウクライナ軍は18基のハイマースを使用しているがもはや去年のような無敵の兵器ではなくなっています
GPSジャミングはGPSを使用したあらゆる精密兵器に悪影響を与えるので、アメリカが提供した他の兵器も無効化される恐れがあります
ミサイルやドローンや航空機の多くはGPSを利用しているので、地上戦の重要度が増すかも知れません
ドローン攻撃を恐れるプーチン大統領
ワグネルのプリゴジンはロシア軍から弾薬が提供されない限り5月10日にバフムートから撤退すると表明しています
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」はロシア軍がバフムート攻略の優先度を下げて、ウクライナ軍による反攻への防衛に重点を移していると分析した
5月9日に予定されていた第2次大戦戦勝記念日の軍事パレードが中止され、赤の広場の公式行事も「ウクライナによる空襲」を警戒して中止すると言われている
ワグネルのバフムート撤退宣言については、バフムート制圧を達成できなかった事から責任をロシア軍に擦り付ける目的だとの見方もあります
プリゴジンは兵士の人命を尊重するような人間ではないので、撤退宣言を額面通り受け取る事はできず何らかの裏があると思われています
ロシア軍はワグネルを前面に出す事で兵力を温存してきて、いわばワグネルの消耗を望みできれば壊滅して欲しいと願っている節があります
ところでウクライナの実業家ウォロディミル・ヤツェンコは23年5月7日に、モスクワの「赤の広場」をドローン攻撃した人に2000万フリブナ(約7000万円)の賞金を贈呈する」と呼び掛けていました
赤の広場では毎年5月9日、ロシア軍のパレードをプーチン大統領が観閲するので、それをドローン攻撃しようという呼びかけだった
それに応募する為にクレムリンをドローン攻撃したのかは不明ですが、誰かがそうした行為を実行に移したとしてもおかしくない状況にあります
実際にプーチン大統領は5月9日の赤の広場のパレードを中止したので、自身へのドローン攻撃を恐れているのが分かる