ウクライナ報道官は、ワグネルは消耗により壊滅状態にあると指摘した

ワグネルの実態はどうなのか
5月10日にバフムートからの撤退を宣言したロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジンは、5月6日に「あとわずかで町全体を占領できる可能性がある」として攻勢をかけているとメッセージで発表した
欧米メディアはこれを報じていないので小規模な攻勢と思われ、撤退前に安全を確保する為に限定的な攻勢に出ているのかもしれない
プリゴジンはワグネルがとどまっている地域をチェチェン共和国のカドイロフ首長率いる部隊に引き渡すと発表し、同氏に感謝を表明した
チェチェンのカドイロフ首長はプーチンの盟友と言われていて、チェチェン人部隊はロシアの治安機関網の正式な民兵組織として認められている
カドイロフはチェチェンの独裁者で私兵によって民衆を支配し、対立候補や民主活動家を弾圧しプーチンの代理人として少数民族チェチェンを統治している
ウクライナ軍のチェレバティ報道官は「ワグネルの撤退がバフムートを巡る戦闘の転換点と考えることができるかもしれない」と語った
ワグネルはバフムート攻防の主要部隊で9カ月間ほとんどの戦闘を一手に引き受けていたので、彼らが居なくなることが変化をもたらすかも知れないと話した
同報道官はワグネルの損失は「肉弾攻撃を繰り返す愚かな行動が原因」と指摘しワグネルの撤退は消耗が耐え難いほどになり壊滅状態になっているとも語った
またワグネルが今後も毎日100人の消耗を繰り返せば兵士を補充する手段はなくなり、ワグネルはバフムート近郊で壊滅すると断定した
チェレバティ報道官は弾薬不足についてプリゴジンが嘘をついているとも言い、「弾薬の不足は起きていない」とも明言した
ワグネルは昨日(5月5日頃と思われる)だけでロケット砲攻撃を520回、航空攻撃を6回行ったとし、「撤退する口実を探しているだけだ」とも指摘した
またワグネルは大きな損耗を被り任務を遂行できず人員の補充もままならない状況にあると言い、活動が困難なほど追い詰められて撤退するという見方を示した
ロシアの思想家がまた襲撃される
ロシアでは思想家としてブロガーや小説家が世論形成に重要な役割を果たしているが、また一人ロシアの言論人が反政府活動の標的になった
5月6日午前11時にモスクワ東方400キロのニジニーノブゴロド州で、著名作家のザハール・プリレーピンが乗った車が爆発し運転手がなくなり当人も負傷した
容疑者としてロシア国籍のアレクサンドル・ペルミャコフが拘束され、ロシアは「ウクライナの特務機関の指示」を自供したと発表したが真偽は分からない
爆破現場の道路には直径1.5メートル以上の穴ができプリレーピンは病院に搬送、レジスタンス組織「アテッシュ」がSNSで犯行声明を出している
ロシアでは22年8月に極右思想家ドゥーギンの娘が車の爆破でなくなり、23年4月にもサンクトペテルブルクのカフェで起きた爆発で軍事ブロガーのウラドレン・タタルスキーが爆発でなくなった
ロシア政府は「テロリストを操っているのはウクライナで、ウクライナを操っているのはアメリカだ」という三段論法を展開している
背後にウクライナやアメリカがいるとしてもロシア国内の反政府運動が活発化しているのは事実で、2014年のウクライナ紛争で民主活動による破壊が始まった頃を連想させます
ロシア政府は政府に好意的なブロガーや小説家を優遇する一方で反政府的な言論を禁止していて、SNSで「いいね」を押しただけの人も逮捕したりしている
米国務省の報道官はウラジーミル・カラムルザ他400人の政治犯が拘束されているとし、同氏はウクライナ侵攻を批判したジャーナリストで懲役25年を言い渡されている
ロシアでは拘束された受刑者が毎日少量の有毒物を盛られ、多くの人が健康を害していると支援者らが主張している
また反政府デモに参加した人の多くが兵士としてウクライナに送り込まれ、多くは既になくなったとも言われている