ボディのみ30万円越えのカメラが飛ぶように売れている(ヨドバシカメラのツイッターより)

ミラーレス高級機に特化して回復した
数年前デジカメがオワコンになり日本のカメラ産業もオワコンだという論調が流行り、そんな記事を書いた気がしますがカメラ市場が回復しています
2000年代の最盛期に世界出荷台数は1億2000万台で金額は2兆2000億円にも達し、デジカメ黄金時代を築きました
カメラ市場が爆発的に拡大したのは1999年からでこの年デジカメがフィルムカメラを逆転し、3000万台規模だった出荷台数が3倍に増えました
金額でもフィルム時代は4000億円台だったのが1兆、1.5兆、2兆円と豆腐屋のように急増し多くの日本企業がカメラ事業に参入しました
だが2008年にピークに達したデジカメブームは急成長と同じ角度で急降下し、地上に墜落するように2019年には1000万台5000億円を割り込んだ
この頃同時に変な現象が起き始め「出荷台数」の現象程「出荷金額」は減少せず、1台あたりが高単価になりメーカーは高価格機に力を入れ始めた
カメラ全盛期は1億2000万台で金額は2兆2000億円だったので1台あたり1万8000円だがこれは高級一眼レフを含めた数字です
安いデジカメは1万円以下で売られていてほとんど電卓のような感覚だったが、それがスマホカメラに変わって売れなくなりました
残ったのは高級デジカメと一眼レフ、ミラーレスで特にカメラ女子向けの小型ミラーレスカメラが人気になった
小型ミラーレスはセンサーサイズがフルサイズの半分以下なので、最初は良いがカメラ上級者になると皆フルサイズカメラに移行します
小型ミラーレスとフルサイズはレンズの互換性があるものの、最初からフルサイズ用に設計されたレンズは高画質なので最初買った小型ミラーレスは結局無駄になります
こうした理由でソニーやキヤノンは今小型ミラーレスの機種を縮小し、フルサイズの小型カメラとか50万円越えの超本格カメラに力を入れています
低性能低価格なミラーレスは整理
2022年のデジタルカメラ世界出荷額が6812億円、カメラ全体の出荷台数は過去最少の801万台だったので、カメラは少数の高価格商品に変わったのが分かります
ミラーレスカメラの世界出荷台数が31%増の407万台、出荷額は61%増の5234億円でカメラ全体の76%も占めていて、ミラー式の『一眼レフ』はほぼ絶滅しました
カメラ全盛期の単価(平均価格)は1万8000円だったが現在は8万5000円、しかも高価格ミラーレスが人気なのでどんどん上昇しています
最近の流行は動画を撮れるカメラで、動画を撮るには画質と同時に手振れ補正などが必須なのでこれも単価を押し上げている
最新の国内カメラランキングを見ると1位は「VLOGCAM ZV-E10 パワーズームレンズキット(ソニー)」でアマゾン価格8万9500円
2位もソニーの「α6400 ダブルズームレンズキット」で約14万円、3位もソニー「α7 IVILCE-7M4」でレンズキットだと33万円もします(実店舗だともっと高い)
しかもセットになっている「レンズキット」より画質などが良い高級レンズは別売りで、多くの人は後でレンズを買う事になっています
釣り人が同じような竿を買いそろえたりゴルファーが似たようなクラブをどんどん増やすのと同じ心理かも知れません
この数年間常にレンズ交換カメラ販売一位だったキヤノンの「EOS Kiss」シリーズがまもなく生産終了しシリーズ展開を終えると言われています
カメラ女子に大人気だった小型センサーの入門機だが、結局フルサイズカメラより低性能なのでいずれ買い換える事になります
メーカーは小型センサーをやめてフルサイズに統合する事でコストダウンを図り、入門機でも10万円以上にしたいようです
現在はAmazonなどで良質な中古カメラを購入できるので、低性能低価格な入門用カメラを設定する意義も薄れました