無人機時代の幕を開けたバイラクタル TB2、その後より小型の使い捨てドローンに移行した

ウクライナでは無人機だけが戦っている
ロシアがウクライナに侵攻して1年以上が経ち、それまでは未来の予想に過ぎなかったITや無人兵器を駆使した戦いが現実になりました
特に活躍しているのが無人機とドローンで、精密誘導されたミサイルも「自爆式無人機」と定義すれば、ウクライナ上空ではもう無人機以外の航空戦はまったく行われていません
ロシア軍は侵攻初期に戦闘機をキエフ周辺で飛ばしたものの、ウクライナが保有する旧ソ連製対空ミサイルS300に撃墜されて不活発になりました
時折ロシア空軍はミサイルで遠方から都市攻撃をやるくらいで、シリアで実施したような通常爆弾による絨毯爆撃は実施していません
ウクライナ空軍も旧ソ連製戦闘機を保有しているが、ロシアが保有するS300など対空ミサイルを恐れてウクライナ軍の守備範囲でしか飛行していません
替わって両軍が主力にしているのは無人機とドローンで侵攻して、侵攻してきたロシア軍地上部隊に対してウクライナ軍は配備したばかりのトルコ製ドローンのバイラクタル TB2で迎え撃った
バイラクタル TB2はロシア戦車部隊を散々に打ち破ったが、ロシア軍が占領地に対空ミサイルを配備するとより小型の使い捨てドローンが活躍した
バイラクタル TB2は長さ6.5 m幅12 mで1機2億円で小型ロケット弾などを搭載できるが、大型なので発見されやすく敵地に侵入すると撃墜されやすい
代わって”主力戦闘機”の座に就いたのは中国メーカーDJIなどの市販ドローンで、兵士が改造して手りゅう弾を投下できるようにしより『精密攻撃』できるようになった
ロシア兵が乗っている車の窓の中とか開いている戦車のハッチにドローンから手りゅう弾を入れる動画がSNSで無数に投稿されています
中国はロシア軍が使用するドローンの輸出を拒否する一方でウクライナ軍にはドローンを納入していて、彼らが言う「友情」とか同盟が薄っぺらいものなのは分かる
中国や中国人は古来から勝者に味方するのを国是・信条としていて、弱者に判官びいきする日本人とは根本的に異なる
人が乗らない兵器は超攻撃的になる
空で無人機が完全に主力になった一方で地上では100年前と同じように歩兵が戦っていて、実際にワグネルは第一次大戦で使用した火砲、ウクライナ軍も第二次大戦の機関銃を使用していた
地上の無人兵器が登場しない理由は実用化が難しいからで、自動運転車が未だに実現しない理由と同じです
飛行機では離着陸以外は自動操縦が当たり前で着陸も最後に「機首を引き起こす」くらいしかしなくて良くなっているが、自動車は相変わらず運転者がハンドルを握っています
地上構造物や道路、歩行者や対向車や標識・信号など判断する要素が無数にあるからで、地上戦も空中戦より遥かに自動化が難しい
アメリカ軍は有人戦車を無人化する小型戦車を最近提案し、大きさと重さが従来戦車の半分で費用は1/6、戦闘力は遥かに強い
無人戦車は搭乗員がいないのでドローンのように戦場深く突入が可能で、基本使い捨てしても良いので倒せるだけの敵を倒したら破壊されても良い
今時兵士1人を1人前にするには数億円かかっていて、戦車の搭乗員が4人なら1台失うと10億円以上の損失になります
無人戦車なら1台1億円としても損失は有人戦車の1/10で人命が失われることによる世論の反発も遺族の反対運動もありません
こんなにメリットだらけなのに両軍ともウクライナに投入しないのは技術的に困難だからで、ウクライナ戦争には投入されないかも知れません
だが例えば有人戦車の後をついていく無人戦車とか、歩兵が遠隔操縦し一緒に行動する無人戦車なら近い将来実現可能かも知れません
日本の防衛省は小型の無人潜水艦の研究をしていて、実現すると有人潜水艦が避けていた危険な海域で危険な任務をこなせるようになります
もう10年もすると陸海空で無人兵器が続々と登場し、それらは失われても良いので超攻撃的な使い方をされるでしょう
一例としては23年初めに北米上空を飛行した中国の気球で、あれも「無人機」だからアメリカ領土に侵入して情報収集をしていました
中国の気球だのドローンだの無人船が東京湾や沖縄に出現しても全然不思議ではない