習近平とプーチン

戦車も戦闘機もパレードに出せず
23年5月9日にロシアでは第二次大戦対独戦勝記念日の祝典やパレードが実施されたが、皮肉にもロシアの窮状ぶりがうかがい知れる機会になった
記念日の目玉はパレードで例年は30近い都市で軍事パレードをしていたが今年はほぼモスクワのみ、しかも戦車と航空ショーはなしだった
戦闘機などの飛行はなく戦車は第二次大戦のT34が1両のみ、他は装甲車や弾道ミサイル運搬車両などが通ったが壮観とまではいかなかった
5月3日にクレムリンの建物に自爆式ドローンが着弾し爆発する事件があり、誰が何の目的で発射したのか今も分かっていません
この後モスクワではGPSの誤作動が起きてカーナビが使えなくなったと言い、おそらく航空機が飛行するには防空システムを解除する必要がありプーチンはこれを嫌った
祝典では赤の広場でプーチン大統領が演説をしたので、防空システムを解除したらドローンや巡航ミサイルでプーチン大統領が狙われる恐れがあった
戦車が登場しなかったのはウクライナで出払ったからだと考えられ、モスクワに残っていた戦車で動けるのはT34だけだったのでしょう
戦勝式典には旧ソ連7カ国の首脳が出席したが、中国・北朝鮮ほかロシアと親しい国々は代表を派遣しなかったもようです
北朝鮮の金正恩はプーチン大統領に祝電を送ったが中国からは特になし、習近平は3月20日にロシアを訪問し協力を約束した気がするが今回はロシアを無視した
ロシアは西側の国際金融決済から排除されているが代わりに人民元を決済通貨にする事で中国やインドやブラジル、中東と貿易をしている
今時ロシアの通貨を受け取りたい国は存在しないが人民元はドルやユーロと交換できるので対ロシア用決済として広く使用されている
もし人民元の使用を拒否されるとロシアはもうどの国とも貿易ができなくなるので、ロシアの命綱は中国が握っているといえる
中国は中国にとって利益があるから協力しているだけ
これは中国にとっても利益がある事なので協力しているが、中国がなんらかの犠牲を払ってまでロシアに協力した事はない
中国は民生用半導体や精密機械などロシア軍が欲しがりそうなものを「有料で」輸出しているが、一方でG7から制裁されそうな物(ドローンなど)の輸出を拒否しています
不思議なのはDJIなど中国企業のドローンを「兵器」としてウクライナ軍に納入している事で、単に金になるからロシアを助け、金になるからウクライナも助けているように見える
おそらく中国は今後ロシアが勝ちそうならロシアに味方するものの、さらにロシア軍が敗走して負けそうだとなったらウクライナを支援するのではないか
秦の始皇帝以来の中国の王道は強者を助け弱者を叩くというもので、同盟だの友情だのは中国人には似合わない
ロシアでは西側企業が撤退した後中国製スマホのシェアが7割、中国車のシェアが3割でロシアメーカーには中国が部品を供給している
衣料品や食料品や日用品など西側の穴をそっくり中国が埋めているが、これらも中国にとって儲かるからで、中国が損をしても助けるかと言えば助けない
ロシアから中国への支払いは石油や天然ガスや地下資源で行っていて、資源輸出で得た人民元を各国への支払いにも当てています
EUはロシア支援が疑われる中国企業7社に対するEUでの資産凍結を検討しているが、実施されたらおそらく制裁を受けるような対ロ協力を辞めるでしょう
習近平とプーチンは2月22日に共同声明で「核保有国は核兵器を国外に配備してはならない」と宣言したが、プーチンはわずか3日後にベラルーシに核兵器を配備すると宣言して習に赤っ恥をかかせた
中露の関係はこの程度なので自らを犠牲にして相手を助けるなど間違ってもありえない