軍事力を持たない経済大国は歴史上成功した例がない

経済大国と軍事大国
ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界の軍拡競争は日本やドイツを巻き込み、GDP比1%程度だった国防費を2%程度に増額し欧州各国も軒並み軍拡路線に転じた
この軍拡競争を始めたのはロシアや中国で、イランなどの中東諸国や北朝鮮までもが少しのお金を軍事費に使って国民を困窮させています
経済的に豊かでない国がこのように国力を犠牲にして軍拡に走るのは成功例があるからで、60年前に世界最貧国だった中国は軍拡によって成功を収めた
1949年に建国した中華人民共和国は日中戦争に続いて国共内戦の末に大陸で建国したが、非常に貧しいうえに欧米諸国から国家承認されなかった
そこで毛沢東が始めたのは核開発で「パンツを履かなくても核兵器を作る」という名言を残し、国民3000万人がなくなったが核保有国になった
中国は朝鮮戦争でアメリカと戦いベトナム戦争では北ベトナムを軍事支援し、共に大苦戦したアメリカはとうとう白旗を上げて中国に降参した
1971年北京を訪問したニクソンは中国に経済支援と投資を約束する代わりに、中国軍とアメリカ軍が戦わずに済むようにして金は日本に払わせて謝罪させた
巨大市場欧米にアクセスできるようになった中国はあれよあれよと急成長し、GDPで日本を上回り世界一の富裕層になった(借金も世界一だが)
中国の成功の最初の始まりは国民を犠牲にした核兵器開発とアメリカとの対決で、アメリカは中国に白旗を掲げお金を払って市場開放して勘弁してもらった
これを見た北朝鮮やイランやロシアは中国に続けと軍拡に走り、軍事力と戦争でアメリカを困らせればやがてアメリカが降参して金を払うと思っています
実際核開発を続けた北朝鮮にアメリカは次々に便宜を図り、北朝鮮の核開発資金を実質的にアメリカが負担した時期もあった
中国の成功はたまたまそうなったのではなく、軍事力と経済力に極端な隔たりがある場合、結局乖離は解消されて同じレベルにおちつきます
軍事力と経済力の不均衡はやがて調整される
第二次大戦前の日本とドイツは経済力は2流だったが軍事力だけはアメリカ軍と戦えるほどの規模があり、もし戦争に勝っていたら経済でも米英に匹敵するレベルになったでしょう
実際には軍事力が壊滅して経済力に接近したのだが、北朝鮮は核戦力を強化する事で「常任理事国入り」を狙っていると言われています
ロシアが大苦戦している現在では現実味が薄いが、侵攻前の状況は中国とロシアの2大大国に推される形で北朝鮮は常任理事国になる夢を抱いていた
歴史上大国に勝った軍事国家が経済力を身に着けて真の大国になった例は多く、中国王朝の交代の多くはそんなパターンでした
逆のパターンが戦後日本で日本は世界第二位の経済大国でありながら軍事力は北朝鮮程度、これは経済没落か軍事力拡大のどちらでしか解消されない
軍事力をアメリカに依存している日本は独自の外交や経済政策をできず、税金を上げたり下げたり、金利の上げ下げでも「アメリカの許可」を必要としたのは公然の秘密でした
民主政権最後の野田総理は円高是正の為に為替介入をしたが、その前にアメリカを訪問して介入の許可を貰っていました
軍事力を他国に依存する経済大国の実態はこんな情けないもので、1985年のプラザ合意では竹下大蔵大臣が休日に呼びつけられて円高にするよう命令されて言われたままに円高にしました
今の日本も金利変更、為替介入、増税減税など大きな政策にはアメリカの許可が必要で、もちろん軍事行動や安保政策はアメリカの命令で行っています
こういう事が日本の手足を縛った結果80年代バブルからバブル崩壊が起きたので、日本政府にも日本人にもアメリカに逆らう選択肢はありませんでした
日本がアメリカに逆らって独自の政策をするには軍事的な独立が必要で、それが無い限り日本は2流国家のままです
安倍首相や岸田首相がどんな立派な事を言ったとしても、アメリカの大統領が「おい日本」と言えば「ハイわかりました」と言うしかないのです