スマホ、半導体の次の商品がなく業績低迷している

半導体特需去りスマホやバッテリーは苦戦
サムスン電子は1990年代から2010年代にかけて日本企業のシェアを次々に奪い、日本キラーとして恐れられたがどうやら全盛期は過ぎつつあります
スマホ、半導体を始め多くの商品で中国など新興国メーカーにシェアを奪われる一方で、日米欧先進国は先端技術の国産化に転換しようとしています
2020年の新型コロナ流行と2022年のウクライナ侵攻は半導体不足を引き起こしサムスンなど生産者は大儲けしたが、その事が先進国を激怒させ国産化を進める原因になった
アメリカ、欧州、日本は経済安全保障を打ち出し先端技術を用いた製品を人件費の安い国に委託するのではなく、自国の工場で生産するべきだという考えに傾いています
日本政府、アメリカ政府、欧州各国や中国政府はそれぞれ官民が10兆円単位で半導体生産や開発に投資しているので、数年後に半導体勢力図が激変しています
サムスンは2023年5月に日本の横浜に300億円を投じて、次世代半導体の生産ラインを構築すると発表し日本政府が100億円超の補助金を支給するとされています
これはもちろん日本とサムスンに利益がありそうだからで、サムスンとしては半導体素材輸出制限は解除されるものの、日本に拠点があれば素材や素材関連機器を入手しやすくなります
韓国企業は安いメモリー半導体を大量生産する技術に長けていますが、高度なシステム半導体の技術が無く素材関連の技術も持っていません
サムスンは政府からより高度な半導体への移行が求められているが、技術が高度になほど素材技術や素材製造・半導体製造機器の高度技術が必要とされます
そうした技術を握っているのは日本企業や日本の研究所なので、今台湾TSMCや欧米のITハイテク企業がこぞって日本に拠点を置いたり投資を増やしています
日本としては”日本メーカー”が外国工場で生産するよりも、外国メーカーが日本で生産する方が雇用やGDPや納税でよほど日本に貢献するメリットがあります
サムスン電子は半導体売り上げで世界シェア1位ですが12%に過ぎず、売り上げのほぼすべてをメモリ半導体が占めています
メモリ半導体は技術より安さが重視されていて、皆さんが使っている数百円のメモリーカードやUSBメモリは韓国で作っています
韓国のあらゆる製造業がコスト上昇で苦戦
CPUやカメラや自動車制御に使われる高度な半導体はアメリカ、欧州、日本が強く韓国メーカーのシェアはほぼゼロとなっています
サムスンはDRAM半導体で43%の圧倒的シェアを持っていて2022年後半からの半導体需要縮小で、減産せずシェアを拡大する政策をとった
だだがその結果は市場シェアを僅かだが減らし売り上げも減少し、在庫と研究開発費用だけが大きく増えました
サムスンのスマホ世界シェアは最大時40%に達したが最近は20%台でアップルと接戦になっていて、最新シェアは22%で1台あたり利益はアップルと比較できないほど低い
そのうえスマホ市場は飽和段階に以降したので世界的に販売数が減少し、23年1月から3月は前年比マイナス12%だった
加えて韓国製スマホは中国市場でシェア0%になっていて、ファーウェイはいなくなったが中国にはシャオミなど強豪が沢山いる
スマホの次としてEVに使用するバッテリーが期待されたが、サムスンのバッテリーはシェア争いをするレベルになっていない
サムスンやLGなど韓国メーカーは日本の家電メーカーからシェアを奪う事で成長したが、日本から奪い取った製品の多くが売れなくなっている
今時冷蔵庫や電子レンジは中国や東南アジアで生産されていて、次の時代にはインドやバングラディシュで製造するようになるでしょう
韓国は文在寅政権で1人当たりGDPを上昇させたがこれは人件費の上昇も意味し、韓国のあらゆる製造業は安い人件費の強みを失い苦戦している
鉄鋼、家電、造船、化学などを韓国工場で生産するのはイタリアに製造拠点を置くくらい非現実的になってしまった
イタリアはフェラーリやファッションブランドなどコスト度外視の産業で強いが、韓国には単純な製造業しかないのが弱みです