仏独ではガソリンスタンドが無い田舎でも充電ステーションはある

給油できなくてはガソリン車を買えない
EVかガソリン車かの比較で決定的な要素が一つあり、ガソリン車はガソリンスタンドが無いと給油できないという点です
これは今まではガソリン車の利点で、EVは充電施設がないと充電できないがガソリン車はどこでも給油できるとされていました
ところが欧州ではEV充電施設が国の政策でどんどん増えてガソリンスタンドは”諸悪の根源”扱いで減少した結果、ガソリンスタンドで給油するのが困難になっています
欧州EV化を一気に加速したのが22年ロシアによるウクライナ侵攻で、原油と石油が値上がりした上量を確保できなくなった欧州でガソリンが希少品になりました
22年夏ごろのフランスではリッター250円以上でしかもガソリンスタンドの3軒に2軒はストライキやガソリン不足で閉店していました
こうなると商売にならないので廃業するGSも多く、ガソリンスタンドが近くにないのではガソリン車を評価していてもEVしか選択肢がなくなります
つまりEVかガソリンかの選択権は消費者にはなく、ガソリンスタンドが一定以下に減少したらもうガソリン車を選択する権利が消滅します
欧州でガソリンスタンドの数がはっきり分かっている英仏独を例に挙げると、1975年には英3万1000、仏4万5000、独3万3000でした
福島原発事故が発生した2011年は英8480、仏1万2000、独1万4700で最新の2021年は英8378、仏1万1160、独1万4459でした
2021年まであまり減少してませんがその後欧州は2割以上が充電可能な電動車になったので、ガソリンスタンド閉店が加速した筈です
一方で欧州の充電施設は何か所あるかと言うと22年夏で英3万(公共充電器数)、仏3万7000、独5万9000でイギリスはEUから離脱したので統計から漏れていて充電ステーション数は1万件台でしょう
いずれにしても欧州先進国では充電拠点の数がガソリンスタンドの数を上回り、今後何倍もの数に増えていくのが分かります
ガソリン車にとどめを刺すのはGS廃業
すると「ガソリンスタンドは10キロ先だが充電ステーションは隣にある」ような状況があり、ガソリン車の方が性能が良くても人々はEVを購入します
さらに日本は国の政策で電力会社を保護するため、出力50kw以上だと建設費などが1基数千万円かかり、事実上公共充電器は50kwに制限されていました
これだと充電するのに何時間もかかってしまい、「走っている時間より充電時間が長い」ような事になり日本でのEV悪評につながっていました
欧州やアメリカでは公共充電の出力は250kwもあるので単純に倍数だと1/5の時間で充電でき、充電器の数が多いので待ち時間もありません
日本の高速道路などに設置されている急速充電器は1台しかないうえに出力50kwなので、「待ち時間数時間+充電数時間」というありえない話になっています
日本の山間部ではもうガソリンスタンドは存在せず給油するには1時間以上離れた平野部に行かねばならず、田舎なので日曜休日は休んだりします
1時間かけてガソリンスタンドに行って休みだったら、もうその人は一生涯ガソリン車を買う事はないでしょうね
その点EVだと自宅で低速充電できるので、それで100キロちょっとしか走れないとしても寝る前に充電器に差して朝使えば日常的に使用できると思います
欧州でEVに熱心なのは英仏独3か国と北欧数カ国で、フランスは原発ドイツは太陽光と風力で発電でき、北欧は潤沢な水力発電があります
ドイツではすべてのガソリンスタンドにEV充電器設置が義務化されていて、今後ガソリンスタンドが増える事は絶対にありません
ドイツの充電施設は約4万カ所ですがこれは施設数なので、公共急速充電器の数は10万基を超えているでしょう
それぞれの町や村には必ず充電施設があって郊外に行くと充電施設があり、10基とか20基以上の充電器が並んでいる施設も多い
EVの懸念は電力そのものの不足でドイツは「火力も原発も廃止する」政策をとっているが、隣のフランスは原発大好きなので電気を買う事が出来ます
トヨタなどが言っている水素エンジンの問題点は一か所数億円の水素スタンド建設費用を誰が払うのかで、その議論を聞いたことが無いです
既存のガソリンスタンドを流用可能だとしても既存のガソリンスタンドが20年後には半分に減っている可能性があり、時間切れが刻々と近づいています