欧州7億5千万人のエアコン設置率は数パーセント

エアコン設置順番待ちが1年以上
数年前から欧州では夏は毎年熱波が襲うのが恒例になっていて最高気温40度にもなり、暑さの為に毎年多くの人がなくなっています
気温の上昇も一因ですが大きな理由は欧州は今まで涼しかったので暑さ対策が何もなく、寒さ対策しかしていませんでした
例を挙げるとドイツでは全家庭にボイラー暖房がありアパートの家賃は暖房代込みになっていて、暖房は『基本的人権』のようになっています
一方冷房となると90年代以前はほぼゼロで、自動車のエアコンが普及し始めたのも2000年代以降で人々はパワステやオーディオを装備してもエアコンは付けなかった
22年夏は熱波による死者がフランスは1万人(夏の超過死亡数と呼んでいる)で欧州全体は2万人、WHOによると40度越えのイギリスでは3200人が暑さでなくなった
北米でもカナダ西部のリットン(Lytton)という”涼しい避暑地”で史上最高49.6度を記録するなど今まで涼しかった場所が熱波に襲われています
地球の気温上昇は想像ではインドやアフリカなど元々暑かった場所がもっと暑くなり、今まで寒かった場所は少し気温が上がるだけだと思われていました
蓋を開けて見ると「今まで暑かった場所は相変わらず暑く、今まで寒かった場所は熱波に襲われる」状況になっています
欧州全体でエアコン普及率は5%から10%未満といった所で、日本の91,8%(単身男性は80%)と比較にならないくらい低いです
エアコンなどの冷房機器は世界の電力消費量の約10%を占め現実的には電気代がばかにならないため、省エネルギーエアコンのヒートポンプ式導入が進められている
従来欧米で見かけた『エアコン』は家全体やマンション全体を冷暖房するもので、一部屋づつエアコンを設置する日本式を非効率だと言っていました
だが実際に熱波に襲われると「すぐ設置したい」「既存の建物に設置したい」「電気代を抑えるため一部屋だけ冷やしたい」という需要が高まりました
日本製エアコンの設置は1年待ち?
日本式エアコンと呼ばれる外に室外機をつけるタイプは基本的に後付け構造で、壁に丸い穴を開けて室外機を設置すれば完成します
能力は大抵は8畳用など日本サイズになっていて一部屋しか冷やさないが、短期間の夏の暑さを乗り切るにはこの方が適していました
日本式エアコンの中でもエネルギー消費が少なく電気代が安いヒートポンプ式が大人気で、CO2を削減するという名分で国が補助金や優遇措置をしている国もあります
ところが全欧州で一斉に日本式ヒートポンプエアコンの需要が高まったため、ドイツなどでは「設置できるのは申し込みから18か月後」と言われたケースもあるようです
日本の大手メーカーのダイキン、東芝、富士通、三菱などは工場を増設して大増産しているが全世界が一斉に温暖化したため需要に応えられない
でもさすがに18か月も商品が届かない事はないが、欧州ではエアコンが無かったためエアコンを設置できる業者や職人が少ない
日本ではエアコン設置は電気工事士以外してはならないとされ、これが毎年夏になると「設置は夏が終わってから」になる理由になっています
欧州では各国で制度は異なるが壁の穴あけや室外機の設置、電源確保などがあるので大半は業者に依頼することになります
今までエアコンに興味がなかった7億人の人たちが一斉にエアコンを求めた結果、最短で3か月、遅ければ1年半という状況になっています
欧州でのヒートポンプエアコンの価格は平均30万円以上(大型の場合)だが冬の暖房に使うと1年か2年で元が取れてしまう
それほど灯油や天然ガスに比べてエネルギー効率が高いという事で、欧州のエアコンブームはさらに拡大しそうです