バターは儲からないのでバター用生乳は、もともと作っていない。
引用:http://www.nyukyou.jp/common/img/dairy_butter01.gif
2008年頃から毎年のように国産バターが不足して緊急輸入をしています。
農水省は天候不順と不況による乳牛の減少が原因としているが、実は農水省が減産を指示したのです。
バター不足の理由「安いから作らない」
5月25日、一般社団法人「Jミルク」は2015年度の国産バターは9900トン不足するという予測を発表しました。
農林水産省は10月までに業務用バターを緊急輸入する方針を示している。
毎年のようにバターが不足して緊急輸入を繰り返しています。
15年度の生乳の生産量は、不足した14年度と同水準で、バターの生産量は前年度比5%増の6万4800トンになるが、国内需要の7万4700トンには届かない。
国産バターが不足する理由を考えてみようと思います。
まず例に挙げて申し訳ないのだが、同じ雪印のバターとチーズ200gが、以前は同じ500円ほどで売られていました。
(現在はバター900円、チーズ500円ほどに変わっている)
原料は両方とも牛乳なのですが、やはり同じ雪印(メグミルク)の牛乳は1リットル220円くらいで売られています。
バターとチーズは同じ価格だったのですが、次に製造工程を見ることにします。
バターを作るには23倍の生乳が必要とされています。
つまり200gのバターは4600gの生乳でできています。
バターに使う牛乳1リットルあたり108円で販売した事になるが、バターの製造には膨大な手間が掛かるので、牛乳(生乳)の買取り価格はもっと低い。
現在農協が農家から生乳を買い取る価格は、牛乳用が117円程度、バター用は74円程度になって居るようです。(北海道農協)
チーズ用は68円で、生クリーム向けは91円などとなっている。
以前はチーズ用より安かったのをバター不足で値上げしたのだが、誰が一番安いバター用なんかに大事な生乳を売るでしょうか?
でも数年前までは国産生乳だけで国産バターを作って需要を満たしていました。
それは農家が作りすぎた生乳を、捨てるよりはマシとバター用に1リットル40円くらいで売っていたのでした。
バター用の生乳を生産する為に、農家が牛を飼って育てても、完全に赤字なのは昔も現在も変わりません。
バター輸入を解禁すれば良いという意見もありますが、解禁してさらに値下がりすると、農家はさらに打撃を受けて、国産牛乳の生産量はゼロになりかねません。
スーパーなどで輸入チーズを多く見かけますが、あれで国内の畜産業者は大きな打撃を受けて、廃業する農家が相次ぎました。
国産バターが輸入品?農水省の愚かさ
農水省は『国産バター』が不足しているため緊急輸入したとしているが、実はこの『国産バター』は農水省の統計では存在しない事になっている。
農水省は家畜のエサの原産地で生産国を決めていて、牛の主な飼料は米国産トウモロコシなどだから、日本の牛は米国産だとしている。
米国産の牛から牛乳を搾り、チーズやバターに加工しているので、牛乳や乳製品も米国産だとしている。
食料自給率を低く見せかけるための嘘の数字なのだが、これによって日本の食料自給率は39%で世界最低なのだと説明している。
商品の原産地表示には国産とか日本産と表示しているのに、食料自給率では米国産バターに数えています。
因みに農水省は日本以外の国に対しては、このおかしな計算方法を適用しておらず、イギリスの牛のエサがどこ産だろうとイギリス牛に数えている。
外国と同じ正しい数字で計算しなおすと、日本の食料自給率は70%から75%を超えていて(金額)、大半の欧州の主要国よりも高いです。
食料自給率を低く見せかけたい理由は、危機を煽ることで自分の存在価値を高めて、予算を多く獲得する為でした。
ネット掲示板やツイッターで危機を煽る人みたいな物です。
農水省の行政は、こうしたデタラメの数字を元に行われていました。
追い討ちを掛けたのが農水省の間違った将来予測でした。
生乳を生産する酪農農家は毎年減少しています。
北海道では10年前は9000戸の農家が居たのに、今年は6900戸でした。
乳牛は10年で6万8000頭も減少しました。
農家の経営が苦しくて廃業したのだろうと思えますが、そうではなく「牛乳もバターも余る」として農水省が廃業を指導したのです。
日本の人口は減少するから日本は衰退する、のようなアホ理論を口にする人が大勢居ますが、同じような理由で需要の減少を予測して廃業を指示した。
しかし人口減少は数十年、数百年掛けて起こるもので、数年後に急速に減る訳ではありません。
むしろ外国人労働者の増加で日本人の減少以上に「列島の居住者」は増えているのです。
農水省の牛乳減産指示によって大混乱に陥りましたが、現在も間違いを認めていません。