値引き要求も棚取り競争も無い自販機はメーカーの楽園
引用:http://pds.exblog.jp/pds/1/201107/25/45/c0039145_13294.jpg
日本の飲料自販機の1割に相当する26万台を、JTからサントリーが取得するのが決定した。
業界首位のコカコーラが対抗策を講じない限り、数年後に首位が入れ替わる。
関が原の合戦を終えて
2015年5月17日は自動販売機業界で関が原の合戦と呼ばれていた。
業界4位の26万台を持つJTの自動販売機の売却先を決める、入札期限がこの日だったからでした。
業界トップは83万台を持つ日本コカコーラで、長年圧倒的な販売力を持っていました。
例えばコカコーラの自販機だけ周囲より10円高く設定されていることが多かったが、これも業界首位の競争力があったからだった。
販売している飲料の開発にもコストを掛けることができ、コカコーラのコーヒーやドリンクは他社より満足度が高かった。
異変が起きたのは10年ほど前からで、サントリー、キリン、アサヒの3メーカーが本格的な味の商品を投入して対抗してきた。
それでも自販機業界では販売量を決めるのは設置台数であり、客がアサヒのコーヒーが好きでも、コカコーラの自販機しか無かったらある物を買うしかない。
これが正に自販機ビジネスの最も美味しい部分で、客が購入する商品をメーカーが決めるのである。
JTが自販機事業からの撤回を発表したとき、買収金額は500億円と見られていました。
この時点でサントリー、キリン、アサヒのほかイオンも入札参加を表明したので、もしかしたら1000億円近いかも知れないと囁かれた。
恐らく本気で買収を考えた数社は1000億円程度を提示した筈だが、サントリーは1500億円で突き放して買収に成功した
そもそも自動販売機の価値とはいくらなのでしょうか?
普段目にする自販機は新品の場合、普通サイズで50万円以上、ダブルサイズで80万円以上と言われている。
50万円が26万台在ったら、それだけで1300億円のわけで、中古だとしても設置する権利込みだからむしろ割安感があった。
1000億円はたいても、長期的には利益が保証される金額でした。
これが1500億円だと1台57万円になり自販機の値段を超えてしまうので、他社は二の足を踏んだと見られる。
これでサントリーは75万台になり83万台のコカコーラと勝負ができ、2020年までに首位に立つと宣言している。
JT自販機のうち17万台が総合自販機サービスを行っていて、他社製品も販売している。
しかも17万台のうちサントリーは3万台で、残りは他社の飲料を販売している。
当面JTとサントリーをあわせても、独占的に販売できるのは10万台ほどで、残りの14万台では契約などがあり他社製品と混合で販売する。
JTは他にも社内のカップ飲料や、高速パーキングの食品販売機も展開しているようだ。
とはいえJTの自販機事業は、それ自体が毎年利益を上げてきた優良事業だったので、それほどの負担ではない。
買収に成功したサントリーは鼻息が荒く、3位以下が決定した他社は意気消沈といった所です。
自販機のメリット
全国の市町村数は1,718でコンビニの数は53140店(14年4月)なので、よほどの田舎でも数軒のコンビニが存在します。
因みに全国の寺院施設の数は8万を超えていて、神社も9万社ですが有人は2万社だそうです。
コンビにでは最初、飲料メーカーの商品をそのまま販売していて、一つの壁面で全社の商品を陳列していた。
だがセブンイレブンを筆頭に独自ブランドの飲料を販売するようになると、コンビニは飲料メーカーの味方から敵に代わりました。
コンビニの販売量は多く感じるが、国内の飲料販売に占める割合は、コンビニ21%に対して自販機は30%ありました。
つまり飲料メーカーにとって自販機が最大の販路なのです。
自販機の利点としては、基本的に不便な場所に設置するので競争をしなくて良い。
喉が渇いたとき目の前に自販機があれば、必ずそれを買うわけです。
競争がないので定価で販売でき、スーパーで販売するより利益率が高い。
値引きしている地域もありますが、大半は130円とか120円だと思います。
特に役所とか警察署、免許センターなど、あの手の官公庁施設に設置すると非常に高い売上がある。
「自販機 入札」で検索すると、田舎の役所に小型の自販機1台を設置する権利が、年間40万円とかで落札されています。
そして自販機最大の利点は先ほども書いたが、客が購入する商品をメーカーが(ある程度)決定できる。
設置から販売商品の選択、代金の回収まで全て飲料メーカーが自己完結し、他人に振り回されなくて済む。
コンビにでは売り場の確保にペコペコ頭を下げ、スーパーでは半額値引きを要求される立場としては、地上の楽園なのでしょう。
コメント
ジョージアが飲める味になったのはつい最近で、それまではコーヒーを名乗るコーヒーではないシロモノだったよ。
近くに別のメーカーの自販機がない時に仕方なく買って飲んだ程度。最近は美味しくなったけどね。