引用:http://livedoor.blogimg.jp/tkaratsu/imgs/3/9/393d4095.jpg
無期懲役を巡っては「10年で釈放されている」あるいは逆に「今は40年以上」という憶測が飛び交っている。
収監期間が定められていないので、とても分かりにくい。
2015年6月12日、千葉県柏市の連続通り魔の竹井聖寿被告に、千葉地裁が無期懲役の判決を出した。
無期懲役は刑務所の中の刑期が定まっていないため、時代によって出所までの期間が違い、個人差も大きいので不公平感が強い。
犯罪被害に遭った家族からは「すぐに出所している」という批判も多くなされている。
「無期懲役」は終わりの無い終身刑という意味で、本来の意味では一生刑務所から出られない事になっている。
しかし刑法では服役後10年が経過した受刑者は、仮出所して刑務所から出られる制度が存在している。
いわば終身刑の抜け道であり、これが様々な誤解や不満、受刑者にとっては唯一の希望の根拠になっている。
無期懲役の期間中に刑務所から出されるのは仮釈放であり、例えその後ずっと社会で生活していても一生仮釈放です。
仮釈放中は政府が受刑者を監察する事になっているので、保護観察処分になっている。
仮釈放中に刑事犯罪を起こせば、再び無期懲役刑として刑務所に収監される事になっている。
ただし無期懲役で刑が終了する例外があり、未成年者が無期懲役を受け、10年以上仮釈放を過ごすと無期懲役でも刑期が満了する。
未成年者は例外を除いて極刑が無いので、言い換えると極刑に相当する罪を犯しても、犯行当時未成年者ならいつか刑期が終わる。
問題はこの仮釈放になるのが収監の何年後なのかという事であり、事実上の刑期という事になる。
1980年代までは無期懲役でも10数年で仮釈放される事が多かった。
当時はテレビの事件報道が活発ではなく、一つの事件を特番を組んで追跡する事は無かった。
詳細な報道は新聞だけであり、被害者の家族に犯人の状況を知らせる事も無かったので、誰も騒がなかったようです。
1990年代に入ると仮釈放までの期間が長くなっていき、2000年代に入ると少なくても20年以上掛かるようになった。
家族には受刑者の情報は伝えないが、マスコミを通じて「10年で釈放された」などと聞かされれば平穏では居られない訳で、抗議運動が活発になった。
2010年からは仮釈放が認められるのは平均して収監30年以上を経過した受刑者になっている。
だが、もともと収監期間を10年しか定めていないのがおかしいのではないか?
受刑者から見ると仮釈放は残りの生涯の夢であり、被害家族からは悪夢である。
刑法には懲役30年の有期刑が存在し、90年代までは無期懲役の判決を受けた物が、懲役20年の判決を受けたものより早く出所していた。
考えようによっては被告人にとって、無期懲役の方がラッキーだったのである。
平均して収監30年で仮釈放されるという事は、犯行時の年齢が30代以上だと、刑務所で寿命を向かえる人が増える。
1980年代には刑務所の中で寿命を迎える人はほとんどおらず、高齢者や病人を除けば出所している。
政府としては無期懲役者をいつかは釈放するという方針を維持するつもりなので、30年以上大幅に期間が長くなる事は無いでしょう。
40年や50年になったら、もはや大半の受刑者は刑務所から出る可能性がなくなるからです。
ただし法務省は30年後に審理すると定めただけで「この人態度が悪いので出所不可」という事もあり一律ではない。
出所が認められると保護観察になるわけですが、保護観察官と民間の保護司が、月に数回の面接を行う。
無期懲役仮釈放の保護観察は3号観察と呼ばれ、月に2回保護司の所に行かなければない。
住所がある事、定職に付く事、勝手に引っ越さない、7日以上の旅行には届出が必要など、遵守事項がある。
生活に必要な収入をどうするかが大問題になるが、仮釈放中であっても生活保護の申請が認められている。