引用:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/b3/d53ef913dd2c01d8494b18f436774d6c.jpg
馬券で巨額の利益を出した人が居たり、100円で2000万円になるなど、競馬で大儲けをしたニュースが時おり報道される。
高額配当を狙うような必勝法は、本当に存在するのだろうか。
競馬の高額配当が大きく報道され、100円買っていれば人生が変わるほどの大金を得ていたレースも多い。
三連勝単式3,850番人気 29万8,329.5倍 2,983万2,950円(100円購入で)
2010年4月6日、地方競馬の大井競馬場7レース
三連勝単式3,102番人気 24万8,807.2倍 2,488万720円(100円購入で)
2015年5月17日 東京競馬場 G1、ヴィクトリアマイル
3連単4140番人気 20万7,058倍 2070万5810円(100円購入で)
これらのレースの多くは的中者が少数しかおらず、100円買っていれば敗者が投じたお金を独り占めできた。
こうした超高額配当を狙い撃つ必勝法も存在している。
競馬には控除率というものがあり、分かりやすく言うと「天引き」です。
馬券の売上を集計してJRAが20%から30%を引き、残ったお金を各馬券の売上金額で割った数字がオッズになる。
どう考えても配当が低い馬券では赤字になりそうですね。
それに比べれば100倍とか1000倍の馬券のほうが利益を出しやすそうです。
バイアスとは思い込みや決め付けから来る思考の偏りの事で、大抵間違っており、悪い結果を出します。
多くの客が「低配当の馬券は利益を出しにくい」と思い込む結果、高配当の馬券を買った人に大きな間違いが起きます。
競馬には「回収率」という数字があり、使った金額のうちどれだけ回収できたかを表します。
1万円で馬券を買って5千円戻ってきたら回収率50%です。
回収率という言葉から分かるように、競馬で儲かる事は無いので「利益率」という言葉はありません。
競馬の控除率は馬券の種類によって20%から30%なので、どの馬券でも回収率は70%から80%になる筈です。
ところが前述の「バイアス」思い込みで馬券を買う人が大半の結果、平均値から離れているのです。
最初に結論を出すと最も利益を出しやすい馬券は配当1.0倍の複勝です。
レース前に1.0倍のオッズでも複勝馬券は3着までに入着し、他の2頭が人気薄なら配当は1.0倍を超える。
逆に万馬券つまりオッズ100倍以上の馬券だけを買い続けた場合、回収率は50%程度に過ぎない。
高額配当で利益を得る事は、人生に一度の偶然以外では絶対に在り得ないのです。
理屈を書いても納得できないと思うので、実際のレースの統計上の数字を見てみましょう。
2005年から2010年頃の5年間の人気・オッズ別の回収率データでは、次のようになっている。
説明を単純にする為に単賞馬券で話を進めます。統計を取った馬の数は5万頭以上です。
単賞1番人気の馬の勝率は33%、2着連帯率52%、複勝率65%
1番人気馬の馬券回収率は単賞76%、複勝83%でした。
単賞回収率は10番人気くらいまであまり変らず、12番人気くらいからガクンと下がり、18番人気では回収率22%になります。
複勝回収率は1番から18番人までなだらかに下がり、18番人気では回収率41%になります。
この数字は統計を取る期間によって違いますが、人気馬の回収率が高い傾向は変わりません。
単賞複勝馬券では、高配当ほど回収率が低く、確実にお金を失います。
でも低配当の馬も結局回収率80%前後なので、何レースか後にはお金を失います。
次に人気別ではなくオッズ別の回収率を見てみます。
最も配当が低いグループは単賞1.0倍から1.4倍ですが、勝率63%、連帯率80%、複勝率89%に達しました。
この結果、単賞回収率は81%、複勝回収率は95%に達しました。
次に馬連、馬単などの連勝式馬券なのですが、これらは最初から単賞や複勝よりも5%から10%控除率が高い。
そして検証するまでもなく、回収率も5%から10%悪いのです。
連勝式でも低配当馬券の回収率が高く、高配当馬券の回収率が悪い傾向が存在します。
競馬で最も利益を出しやすいのは複勝1番人気で元返しになるような馬であり、年間平均では95%の資金が戻ってくる。
こうした片寄りはJRAが作為的にやっているのではなく、馬券を購入する客の思い込みから来る「バイアス」によって起こります。