細長い店内の奥には難しい顔の親父が座り、静かな音楽が掛かっている。
というのが中古レコード屋の定番
引用:http://www.banya-junrei.com/photo/00000044_p3.jpg
世界的にアナログレコードの売上が増加して、都会ではレコード店を見かけ、新規開業したりしている。
中古レコード店とは商売として成り立つものなのだろうか。
アナログレコード販売という商売
2015年6月、米サンディエゴにある中古レコード店の2階の床がアナログ・レコードの重さに耐えられず崩壊する事故があった。
音楽はネット配信によるデジタル化が進んでいるので、古いレコード盤には希少価値が出ている。
店主も難しい顔をした音楽マニア風で、アイドルグッズなどを置いているチャラチャラした店とは一線を画している。
こうした店では、何やら難しい顔をしなければならない暗黙のルールが存在するようだ。
こうした中古レコード店の新しい潮流は、意外なことに日本から始まったのだという。
元々日本には70年代頃から、欧米の中古レコードを仕入れては日本で売るビジネスが存在していた。
パソコンやネット時代になって新譜CDが売れなくなっても、こうした中古需要は続いていた。
欧米では90年代から2000年代に「レコード店」そのものが消滅し、日本に来た観光客がレコード店を見つけて驚くほどだった。
日本の買い付け業者が無料同然で処分されるアメリカのレコード盤を大量買いし、貴重なお宝版が日本に流出した。
その頃は1枚1ドルとか一箱いくら、あるいは一倉庫のレコード丸ごといくら、と格安で買えたらしい。
1ドルで買えたレコードは、あっという間に10ドル以上に値上がりした。
今では欧米でも日本でも、中古レコード市場は毎年2桁成長するほどの隆盛ぶりになっている。
音楽市場全体に占めるアナログレコードは2%ほどだが、これも逆に市場を守る結果になっている。
10%も売上があったら大手音楽企業やアップルが参入するだろうが、2%以下だから小さなレコード店が存在できる。
こうして隆盛、というかチラホラ見かけるようになった街のレコード屋は儲かっているのだろうか。
小さな店舗と難しい顔の親父を見れば、高級車が買えるほど儲かっていないのは分かる。
この手の中古ショップは他の商品でもそうですが、仕入れにかなりの元手が掛かっている。
一般的には買い取るか他の業者から仕入れるかですが、価値の高い商品は仕入れ単価も高くなる。
原価が小麦粉のたこ焼き屋とは違い、売れたらまた商品を買い付けなければならない。
開業するにはどんなに小さい店でも1000万円以上は掛かり、開業のハードルが高い。
開業するには店舗そのものよりレコード盤の確保が重要で、仕入れ値でも1000円以上はする。
1000枚用意すれば100万円、1万枚用意するには1000万円必要だが、買い付けの労力も半端ではない。
1枚ずつ売れるかどうか、利益が出るかを慎重に判断し、買い付けないと赤字になるでしょう。
最初は買い付けルートが無いので、他店から買ったレコードを売る事になり、あまり利益は望めません。
長年成功している人のブログを読むと、海外に直接買い付けに行って、旅費込みで1枚1000円ほどで仕入れるそうです。
売れ筋というものもなく、AKB48のCDを数百枚仕入れるようにはいかない。
1枚1枚が一発勝負なので、売れたからまた同じものを仕入れれば売れるとは限らないし、同じ物は手に入らない。
それでも音楽好きな人は、いつか自分もレコード屋の親父になってみたい、と思うもののようです。