職を点々とした後、トラックで移動雑貨販売を始めた矢野社長
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ダイソーはバブル崩壊、円高に乗って急成長したが円安で苦戦し、現在は世界展開で成功している。
全世界店舗数はいつのまにか5500店以上に拡大し、グローバル企業になりました。
ダイソーは謎が多い企業で、株式公開されていないため経営内容も良く分かっていない。
店舗数は2019年現在で全国3,367店舗、海外28カ国で2,175店舗とHPで書かれていて、数年前から3倍以上増加している。
株式公開していないので店舗数の発表も定期的ではないが、毎月20店舗以上の出店をしているようです。
2019年3月期の売上は4,757億円となっていて、こちらは店舗数ほど大幅増にはなっていない。
大阪にはダイソー(4046)という化学メーカーがあって混同するが、別な会社です。
ダイソーはフランチャイズ加盟店を募集しているので、募集要項を見ることが出来ます。
預り保証金100万円、開設準備金50万円、他に商品買取代金、陳列棚、内装外装費が必要と書かれている。
契約期間は5年間でロイヤリティはなしだが運営費を月3万円徴収する。
おそらく本部から商品を仕入れることで利益を得るFCのビジネスモデルなのでしょう。
あまり流行っていないダイソー店舗は確かに、5年くらいで閉店している気がします。
正式名称は株式会社大創産業で、1977年に矢野 博丈氏が創業した。
矢野は妻の苗字で博丈は誕生時の名前ではなく、最初の名前は栗原五郎だとされている。
意外にも実家は資産家で父親が医者で、裕福に育ち私立大学を卒業している。
最初のビジネスは妻の実家のハマチ養殖業を継いだが、すぐに倒産させ夜逃げするという苦いスタートだった。
その後はちり紙交換などの職を点々とするうちに、雑貨をトラックで移動販売するバッタ屋を始めた。
バッタ屋とは倒産企業などが放出した商品をタダ同然で買い叩いて転売する商売で、昭和の時代には結構あった。
バッタ屋は繁盛したらしく「矢野商店」を創業したのが1972年でした。
当時はスーパーの駐車場とか公民館で、仕入れから陳列販売、会計まで全て一人でこなしていました。
この頃別のバッタ屋に弟子入りして、この商売のノウハウを身に付けていった。
商品の値段を一つずつ付けるのが面倒くさいなどの理由から「100円均一」になっていった。
70年代のオイルショックと日本の小売業の変化によって「バッタ屋」は急速に廃れ、ほとんどが廃業した。
バッタ屋に転機が訪れたとき、矢野は客の不満に耳を傾け、100円でも品質の良い物に替えて行った。
採算度外視で、中には原価割れで販売する商品もあり、矢野商店の評判は上がっていった。
大創は格安が売りのスーパー「ダイエー」を間借りして商売をしていたが、ある日オーナーに呼ばれて出て行けと言われた。
理由はバッタ屋が居ると店が汚くなり、これからの新時代には相応しくないという事だった。
1977年、追い出された矢野博丈はダイエーの近くに大創の店を作り、これが第一号店になりました。
勝手な想像だが「ダイエー」に追い出されたので、対抗して「ダイソー」だったのかも知れない。
ニューヨークのダイソー、海外店は1.5ドルだったり2ドルだったりする
引用:http://i80.photobucket.com/albums/j186/DonaldDouglas/Second%20Americaneocon/DaisoVisit4.jpg
10年後の1987年、片かなのダイソーを展開している最中にバブル崩壊が起きて日本中が不況に突入した。
人々は高額商品を買えなくなり、ダイソーに殺到し、売上が急激に伸びてトップ企業の一つになった。
円高不況では中国から安く仕入れて儲かったが、円安では輸入代金が高くなり、一部店舗は閉鎖されたようです。
2000年代に矢野の独断で海外展開を始めたが、輸送にコストがかかり、倒産寸前になったと一部で報道された。
海外展開は想像するところ創業者の矢野の夢であり「いつかはニューヨークに店を出したい」などと思ったのではないか。
海外では日本より何割か高い値段で販売しているが、しょせん1ドル程度なので輸送費が痛い。
その後も店舗数を急拡大させ、日本を通さず生産国から輸送するなどでこの問題は解決した。
考えてみるとこの経緯は、矢野商店がダイエーの駐車場で赤字で販売していたのと同じ商法でした。
100円以上の物を原価割れで販売して「品質が良い」という主婦の評価を獲得した。
評判が高まれば、客は利益が出る商品を購入していくという事でした。
最初100円均一だった商品は、円安を境にして200円や300円の商品も置くようになってきている。
そうした値段の商品はホームセンターでも買えるのだが、ダイソーの方が品質が安定していて「外れ」が少ない場合がある。
社長の矢野博丈は円安が続けば、100円で売れなくなる物が出てくると、悲観的な発言をしている。