
引用:http://livedoor.blogimg.jp/hiroset/imgs/6/0/6064be58.png
ロシアの首相が北方領土を訪問し「我が領土」と気勢を上げた。
欧米諸国はロシア制裁を続けているが、アジア諸国が参加しないので、効果は限定されている。
遠ざかるロシアと西側
ロシアはクリミア・ウクライナを巡る欧米と対立しているが、日本に対しても強硬な態度を取っています。
先日はメドベージェフ首相は北方領土の択捉島を訪問し「ロシアの国内問題だ」とアピールした。
北方領土交渉でプーチン大統領は一時「等分分割」を示唆していたが、全てを反故にする姿勢である。
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日露貿易額が2014年に過去最高の340億ドルに増加していた、とロシアの日本語サイトが報道した。ロシアのエヴゲニー駐日大使は、「昨今の複雑な国際情勢にかかわらず、互いに関心を持っている。」と述べた。
日本はG7の対ロシア制裁に参加しているが、特定の人物の入国制限や2国間交渉の延期といった措置に止まっている。
欧米では銀行からのロシア融資禁止やロシアへの投資や輸出の制限もしているので、強力な制裁をしている。
ドイツなどEUからロシアへの輸出は、2015年は前年から10%以上減少すると予測されている。
ロシア初の高速鉄道として首都モスクワとカザンをつなぐ、全長770キロが計画されています。
総工費1兆700億ルーブル(約192億ドル)の大計画だが、輸出に熱心な仏独と日本は参加表明していない。
15年6月頃に事前調査の国債入札が行われたが、中国一カ国だけが参加して落札した。
ロシア鉄道の責任者は「中国に決まった訳ではない」とはっきりと「失望」の意思表示をした。
ロシアの将来を掛けた大事業には世界最先端のシステムこそ相応しいと考えているようです。
この鉄道入札に関して「米国の外交官が欧州各国の関係者に、ロシアへ行くなと指示を出した」と言っている。
米国はロシア制裁に強硬なので、恐らく真実なのでしょう。
ロシア経済は火の車か
メドベージェフ首相は欧米からの制裁に対して「西側からの食料輸入を禁止する」という逆制裁を新たに発表した。
ロシアでは西側からの食料品輸入が減少したことで、国内農業のシェアが回復し、農業には良い影響を与えている。
部分的には良い効果も出ているが、客観的に見たロシア経済の状況は次のようになっている。
ウクライナ問題が発生する前、2012年の経済成長率は5%以下でマイナスの時期もあった。
かなり悪いようだが、考えてみたら日本より高いので最悪といえる状況ではなかった。
ロシアは2000年代に資源ブームお陰で原油やガス、天然資源の輸出で大儲けしました。
だがリーマンショック以降は資源価格が下落し、特に石油価格の下落で経済が打撃を受けた。
そこにウクライナ問題が発生し2013年には成長率が急激に下がり始めました。
さらに14年、15年と経済は停滞し、今年はマイナス成長が予測されています。
西側の経済制裁に加えて、アジアを初めとした経済悪化、資源価格などの影響を受けている。
ロシアが辛うじて息をしているのはアジア各国が制裁に興味を持っていないからで、日本も経済制裁はしていない。
アジア圏との貿易は概ね伸びていて、特に中国とは経済以外にも軍事や外交面で依存を深めています。
しぶといロシア経済
往々にしてある事ですが、国内が苦境に陥るほど虚勢を張って威張り散らすタイプの国がある。
日本の周辺国の多くがそうで、韓国・中国・北朝鮮・ロシアは苦境になるほど威張る。
ロシアは軍事力を強化し、極東や千島列島の部隊を増強したり、装備の強化を進めている。
経済はマイナス成長で、物価は逆に2桁のプラス成長なので、典型的な不況下のインフレです。
物価が上がりながら経済が破綻していく現象で、昔の不況は皆このタイプでした。
不況下で軍事力を強化するのは日本人から見ると「金の無駄遣い」でかえって悪化させるように思える。
だが世界でこう考えるのは日本人だけで、不況になれば公共事業や軍備増強で経済を支えるのが普通です。
ロシアが打ち出しているのが鉄道の近代化やインフラ投資、軍備増強で、国内経済を支えるのが目的です。
こうした大規模投資を続け、アジア貿易で稼げれば、確かにロシアはソ連のようには『破綻』しない。
兵器の輸出にも力を入れていて、最大の中国、インドやアジア諸国、中近東、アフリカ、中南米までカバーしている。
兵器輸出は数少ないロシアの輸出品で、政府にまとまった金額の外貨収入が入ってくるので貴重な産業です。
ロシア経済の予想外のしぶとさに、アメリカと欧州は困惑し、手を焼いているように見える。
日本からロシアに進出していた自動車各社も撤退や縮小を進め、トヨタは工場を閉鎖した。
ロシア市場はクリミア問題前には有望な市場と認識され、経済界がモスクワを訪問してアピールした事も有った。
だが高速鉄道の入札不参加に象徴されるように、新規の参入は少なくなり撤回が相次いでいる。