引用:http://atwonline.com/site-files/atwonline.com/files/gallery_images/MRJ-rollout-screenshot3.jpg?1413853835
MRJの初飛行が10月後半に決まり、地上での飛行準備が本格化しています。
初飛行後は米国シアトルに拠点を移し、急ピッチで試験飛行を繰り返す。
ようやく初飛行が決定
8月31日、三菱航空機の森本社長から国産旅客機MRJの初飛行が、10月後半と発表されました。
4度目の延期の時には15年9月ごろと発表していたので、実質的にさらに1ヶ月延期した事になる。
三菱航空機は2017年4月までにMRJ初号機を納入しなければならず、6月までに納入出来ないと違約金が発生するでしょう。
9月末に初飛行の日程を発表し、離陸速度の時速200キロ以上での地上走行試験も行う。
初飛行の前には管轄する国土交通省の飛行許可を得て、最小限のスタッフだけを乗せて飛行試験に臨む。
飛行ルートは流動的で、工場がある名古屋を中心に1時間ほど飛行して名古屋空港に戻る予定。
MRJはこれまでに400機以上を受注し、採算ラインは1000機程度だと言われている。
このクラスの世界市場5000機の中で、2500機から3000機の受注を目指している。
成功すれば経済効果は年間数兆円に達すると試算されています。
三菱航空は、MRJの開発・試験拠点を米ワシントン州シアトルに開設した。
シアトルはボーイング社の拠点で航空機産業が盛んなので、航空機を開発するのに適している。
「シアトル・エンジニアリング・センター」は日本人約50人と、米国などの約100人の技術者で構成される。
商業飛行の前に米連邦航空局(FAA)の型式証明が必要で、これが最大の難関になるでしょう。
三菱重工は航空機の生産などでボーイングとは関係が深く、ボーイングの試験を手がける米エアロテックと協力する。
米エアロテックは数多くの民間機の型式証明を取得してきた実績があり、強力なパートナーになる。
「純国産」は現実的ではない
日本の国土交通省の認定を受けなければならないが、日本で旅客機を開発したのは50年前のYS11が最後で、初めてに近い。
日本では一日1回の試験飛行しかできないのに比べて、米国では一日何度も試験でき、数倍の速さで試験が進む。
米エアロテックと協力して、まず米国で型式証明を取得して、次いで日本の認可を取得する方がずっと早くできる。
初飛行後に試験機4機を米国に送り、必要な2500時間の大半の試験を米国で実施する事にしています。
三菱航空はMRJの座席数を変更し、大型化した発展型や、まったく新しい中型旅客機の開発も予定しているとされている。
MRJはエンジンや主要部品の多くを米国メーカーに頼っていて、開発が難航する最大の原因になっている。
300万点を超える部品を世界中から買い集めて、日本で組み立てて飛行機の形にするという、空前の難事業です。
部品が届いてみないと使えるレベルなのか分からないのが現実で、航空機部品の国産化と、純国産航空機が望まれている。
それに異存は無いのだが、現状では開発環境や開発拠点として米国が50年進んでいるのが事実です。
トヨタや日産の車は全て日本で開発する訳ではなく、米国拠点で開発する車がどんどん増えている。
米ボーイングでは部品の何割かを日本で生産し、各国から部品を購入して米国シアトルで組み立てている。
今はそういう時代なので、単純に100%国産化すれば良い飛行機が出来るとは限らない。
むしろ三菱や川崎、ホンダといった国産旅客機メーカーが国際的な拠点を増やしながら発展するのが正常な姿でしょう。
自動車と違って飛行機は売った後のアフターサービスが重要で、世界中でサービス拠点が必要になります。
基本設計と開発は日本で、試験飛行や認定は米国で行い、最大の市場である米国に販売拠点を持つ事になる。