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小さな自動車メーカーの復権 ボルボ、マツダ、スバル、ジャガー

最近好調なマツダの新ロードスター
2016_mazda_mx_5_miata_1
引用:http://theawesomer.com/photos/2015/07/2016_mazda_mx_5_miata_1.jpg

自動車産業は少し前まで、最低600万台を生産するグループ以外は消滅すると言われていました。

だが年間数十万台に過ぎない弱小メーカーが、独自に開発した個性的な車で売上を伸ばしている。

規模の産業の終わり

1980年代までは先進各国には小さな自動車メーカーが無数に有って、それぞれが個性的な自動車を作っていた。

当時の自動車は走行中にエンジンから火を噴いても「当たり前」で済まされたから、品質が劣っていても良かった。

だがその後、自動車に求められる性能や品質が高まり、大企業の傘下に入らなければ、新型車の開発が出来なくなった。


きっかけになったのは、80年代に世界を駆け抜けた、日本車ブームだったような気がする。

それまでは壊れて当たり前だった自動車というものが、日本車の登場によって「壊れなくて当たり前」に替わってしまった。

消費者の意識がこのように変わってしまうと、もはや町工場で型枠をプレスするような、小さなメーカーの出番は無くなった。

個性的だが規模が小さいメーカーは大企業の傘下に入ったり提携を結ぶことで、新型車の開発費を捻出した。

90年代にはポルシェはVWの商品名に過ぎなくなり、マツダはフォード傘下に、ボルボは中国企業になった

BMWやダイムラー、VW、フィアット、プジョーのようなメーカーすら存続が危ぶまれて、合併や提携を繰り返していった。

2000年代には「600万台クラブ」という言葉が流行になり、最低でも600万台生産しないと、開発費を捻出できないとされた。

世界中の全てのメーカーが、どこかの600万台クラブに所属して生き残ろうとし、今や独立したメーカーはほとんど無くなりました。

生産台数が少なく、なおかつ完全に独立を保っているのはBMWとホンダくらいでしょうか。

小さなメーカーの大半は大企業の子会社化したり、一部門になったが、最近小さなメーカーの車の評価が上がってきている。

日本ではフォードと提携するマツダが、次々にヒット作を飛ばして復活を印象付けている。

スバルは国際的な評価が高いメーカーで、特にアメリカでは生産が間に合わず、納車できないほど売れまくっている。

IT技術によって新型車の開発費が劇的に下がり、小さなメーカーでも存続可能になった。
日本で良く見かけるフィアット500
Fiat_500_front_20080621
引用:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b6/Fiat_500_front_20080621.jpg

復活する個性派メーカー

ボルボは現在は中国の自動車メーカーに買収された中国企業だが、最近次々と優れた新型車を発表して好評を得ている。

似たような経緯でインド企業の傘下になったジャガーも、復活を遂げて高級車メーカーとして存在感を示している。

インドや中国が欧米の技術を凌いだ訳ではなく、先進国における開発技術の進歩による恩恵を受けている。

以前は自動車メーカーが自腹を切って技術を開発し、それぞれのメーカーが技術を所有していたので大企業が優位だった。

その技術の結晶が「プリウス」のようなハイブリッドカーや電気自動車であり、他のメーカーは真似できませんでした。

だが現在は部品メーカーや自動車関連メーカー、車載メーカーなどが力を付け、自動車メーカーをバックアップするようになった。

ボルボやジャガー単独では開発できなくても、ドイツや日本、アメリカなどの企業と協力すれば、大企業なみのエンジンが開発できる。

ボルボやマツダのような比較的小規模なメーカーが、最近続々と優れた新型車を開発するようになったのは、こうした部品産業の力がある。

部品産業の企業がこうした弱小メーカーを助けるのには理由があり、今までは大企業が価格を決定して下請けに押し付けていました。

トヨタ、日産などの悪名高い「下請け虐め」「下請け叩き」で赤字で部品を納入させられていた部品会社は、逆転の機会を狙っていました。

日本最大の自動車部品メーカーのデンソーは、自動車のIT化によって売上高が4兆円を超えるまでに成長しました。

部品メーカーは自動車メーカー以上の力を付け、小さなメーカーのエンジン開発などをサポートしている。

自動運転車やハイブリッドなど自動車のIT化は今後は部品メーカーが、自動車メーカーを跨いで主導するかもしれません。

こういう時代になってくると最早「600万台クラブ」はあまり重要ではなくなり、再び個性派メーカーの時代になるかも知れません。

フィアット傘下のアバルト、アルファロメオ、シトロエンと合併したプジョーなども、大メーカーとは違う個性を売りに復活してきている。

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