インドの2輪工場、ロボットが生産すれば「人件費」は意味を成さなくなる
引用:http://barclay-global.biz/wp-content/uploads/2014/12/1226.jpg
ホンダやキヤノンなど国内メーカーが生産工場の国内回帰を進めています。
円安を理由にした一過性の現象ではあるものの、自動化によって国内の生産コストは下がっている。
ホンダが原付バイク8割を国産化
15年9月11日、ホンダの発表にメディアと業界関係者はどよめいた。
今まで中国やベトナムで9割以上を生産していた500ccバイクを、来年度までに屋内生産に戻すという。
ホンダは国内生産に戻す理由を、現地の人件費や生産コストが上昇し、海外生産の利点が薄れているからと説明しました。
ホンダは技術力が求められない原付バイクについて、2000年代から中国やアジアに生産を写していきました。
今では国内工場は熊本製作所のみが稼動しており、国産の2輪車はほぼ無くなっていました。
80年代には日本はバイクブームで売れたものの、その後は販売が低迷しているのも、海外生産に拍車を掛けた。
当初は海外で生産した部品を日本で組み立てる方式で、国産部品は20%台に過ぎないが、順次拡大していきます。
原付バイクは先進国より新興国で多く売れるので、新興国で生産するのは理に叶っていました。
だが2012年以降急速に円安が進んだ事で、海外で生産して輸入しても採算が得られなくなった。
だがら国内生産に戻すという説明なのだが、これだと為替相場が円高になれば、再び出て行く事になる。
原付バイクは1980年代には10万円以下の商品だったが、現在は20万円近く非常に高価な商品になった。
原付バイクは普通3年程度しか使わないが、例えば軽自動車の安いモデルは60万円で10年使えるのです。
使用方法にもよりますが、お金だけを考えるとバイクは日本では割高に感じます。
少しお金がある人は自動車を買い、近所の足には電動アシスト自転車が普及したのも、原付バイク販売を低迷させました。
電動アシスト自転車は10万円以下で原付バイクが20万円だったら、税金が掛からない自転車はかなり魅力的です。
工場の国内回帰
ホンダの国内原付出荷台数は約10万台で、国内生産が8万台に増える。
ホンダのベトナムでの2輪生産台数は年間250万台に達していて、そのうち7万台が日本に戻るだけなのだという。
という訳でホンダとしては2輪全体の生産拠点を日本に戻す、というような話ではありませんでした。
製造業の国内回帰は本当に進んでいるのか、最近のニュースから拾ってみます。
カセットコンロ用ボンベの岩谷産業は、カセットボンベの自社工場を滋賀県に建設することを決め、16年に稼動すると発表しました。
国内生産に否定的な考えを持つのがトヨタで、「円安だから国内で生産するという考えはない」と否定しました。
自動車は為替変動の影響を受けやすい高額商品で、世界のあらゆる国で販売します。
1国に生産拠点が偏り、その国の通貨が高くなったり人件費が高騰したら、会社の存続危機に発展しかねません。
事実マツダは国内生産比率が高かったために、リーマンショックから2012年の円高で経営危機に陥りました。
海外生産比率が高かったトヨタなどの各社は、円高の悪影響をあまり受けずに済み、明暗が分かれました。
家電のシャープも国内生産を重視していたため、2007年以降の円高で経営危機に陥り、現在も回復していません。
パナソニックなど家電各社は円安を契機に、多くの生産を国内に戻す動きを活発化させています。
パナソニック、シャープ、ダイキン、TDK、キヤノンが次々に国内生産増強を発表しました。
製造業が国内回帰を進めるのは、円安によって海外で生産して日本に輸入しても採算が得られなくなったため。
円安は数年で終わる短期的要因であって、いつか必ずまた円高に戻るでしょう。
最新の工場では「無人化」「自動化」がトレンド。写真は三菱自動車の工場
http://assets.hardwarezone.com/img/2014/10/Intel_Mitsubishi_IoT_Factory_upgrade_600.jpg
自動ロボット工場
これら工場移転を繰り返す企業は、安く生産できる国で生産するか、消費国で生産する方針を取っている。
中国で売る分は中国で、アメリカで売る分はアメリカで生産すれば、為替変動の影響をほとんど受けなくなります。
これとは全く違う考え方をして国内生産を増やしたのがキヤノンで、日本で生産してもそれほどコストは変わらないと考えている。
製造コストに占める人件費は約25%でこの部分が為替変動の影響を大きく受ける「人件費」です。
他の75%は部品調達費、減価償却費、研究開発費などで為替変動の影響を受けないとされています。
すると工場をロボットなどで無人化すれば、どの国で生産してもあまり変わらない事になります。
キヤノンのような家電会社は常に新しい商品を開発し続けるので、研究開発拠点の日本で生産する利点が大きい。
一方で自動車などの製品は何年も同じ製品を作り続けるので、人件費の影響はまだ大きいとみられる。
それに自動車の工場は手作業が多く、カメラや精密機器のように自動化しにくい。
キヤノンが言うような自動工場あるいは無人工場は、導入しやすい業種から確実に広まっています。
ロボットとITの発達によって、そろそろ「労働者」が不要な工場が出てくる。
人件費が製品価格に与える影響は、無視できるほど小さくなり、「遅れた地域」で生産する必要が無い。
先進国の本社近くの工場で生産するか、大消費地で現地生産するのが安上がりになってきます。
すると単に人件費が安いという理由で、未開の地にインフラ整備して工場を建てる必要はなくなります。
今後は先進国での自動化工場と、消費国での現地生産に2分するのでは、ないでしょうか。
コメント
ロボットの性能が上がって値段が下がる。そうすると工場の人はますます要らなくなる。でもゼロにはならない。ロボットに製品製造のやり方を教える職人的な技術者は必要でまさに日本人が活躍する分野。
日本市場での販売商品まで海外雇用生産が可笑しかった訳だからな。そら日本人は金だけ払え状態で買う人間は減るんだから消費減るの当たり前