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三菱MRJの初飛行で開発は一気に加速 国産ジェット旅客機

初飛行に向けて地上試験をするMRJ
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引用:http://jto.s3.amazonaws.com/wp-content/uploads/2015/09/b-mrj-a-20151001.jpg

MRJの初飛行が間近に迫っており、成功すれば米国に拠点を移し、試験飛行が一気に加速します。

納入契約までは1年半しかなく、再度の遅れが在れば計画の破綻を意味するでしょう。

MRJ 飛行前試験を開始

国産初のジェット旅客機MRJの初飛行は10月26日から30日に予定されていて、地上での試験などが行われています。

予定では2017年4月から6月の間に全日空に納入され、国内線で最初の運用が開始されることになっています。

初飛行が予定通り(4度延期したが)10月末に成功したとしても、納入まで1年半しかなく、ギリギリも良いところです。


席数は70席だが販売テコ入れのために90席タイプの開発が検討されています。

航続距離は1500kmから3300kmと長いので国内線だけでなく、アジアの国際線にも投入可能となっています。

機体の軽量化と新型エンジンによって、ライバル機より20%燃料消費が少なく、経済性に優れています。

同クラスの機種では機体の断面積が小さく、特に頭上空間が狭苦しい事が多いが、MRJは比較的高さがあり快適性も優れている。

受注合計は407機で内訳はスカイウエスト航空200機、トランス・ステイツ航空100機、イースタン航空40機とアメリカの航空会社が多い。

次いで日本航空32機、全日空25機、ミャンマー10機となっていて、アメリカ以外の受注は物足りないのが実情です。

MRJの採算ラインは当初400機と言われていて、それなら既に利益が出る機数を上回っているが実際は違うようです。

最近の説明では量産体制に入って毎月10機のペースで生産し、10年以内に初期投資を回収するとしているので1000機程度という計算になる。

このクラスの世界市場5000機の中で、最終的に2500機から3000機の受注を目指しています。

最大の航空機市場

米国は年間飛行便数の半分、乗客数の3分の1に当たる6億人以上を、小型ジェット機で運んでいます。

にも関わらずボーイングのような米国の航空機製造メーカーは小型ジェット機を製造しておらず、販売もしていません。

小型ジェットは利益率が低く先進国では採算性を得にくいので、カナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエルが主要メーカーとなっています。

この市場に目を付けたロシア、中国、日本がほぼ同時に参入を目論んで、相次いで投入しようとしています。

5カ国のメーカーが次々に新型機を投入する最激戦区になるわけで、MRJが過半数を得るのは簡単ではありません。

まず有利なのは中国で、自分の国で使う分を自分で購入するし、ロシアもソ連圏の国々が購入します。

カナダとブラジルは今までの販売実績から北米と南米で売れるでしょうが、MRJにはこうした確実な販売先がありません。

この販売網の不利をひっくり返すには性能や品質、経済性の有利さが不可欠でした。

MRJと同じクラスのARJ21を中国も開発していて、278機を受注しているが、すべて中国の航空会社のみです。

ARJ21は既に飛行試験を終えようとしており、MRJより早く運用が開始されるでしょう。

ARJは中国が国産開発した事になっているが、中国が1990年代にライセンス生産したDC9のリメイク版に過ぎない。

エンジンや装備も旧時代の遺物という感じで、外国に輸出する予定はまったくありません。

中国ARJ21
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引用:http://i9.hexunimg.cn/2014-12-31/171946445.jpg
ロシアSSJの操縦席
SSJ
引用:http://travel.watch.impress.co.jp/img/trw/docs/707/844/17.jpg


中露のライバルは不戦敗

ロシアのSSJは「スホーイ・スーパージェット」といい2008年に初飛行して、既に60機以上が就航しています。

ロシアはこの航空機を外国で生産し、世界市場で販売しようとしているが、今のところ欧米では売れていません。

機内の写真を見る限り、ゆとりあるレイアウトで快適そうなのだが、操縦室をみると「ソ連時代」のままなのが分かる。

多くのメーターがアナログ式で、切り替えスイッチも昭和時代のオーディオのようにボタンが並んでいて、買いたくなる代物ではない。

ロシアと中国の競合機は欧米先進国で売れるような機体ではなく、ライバルはやはりブラジルとカナダになるでしょう。

ライバルのブラジル、エンブラエル社では実績のある「E2」シリーズを18年に納入する計画で、過去の実績や信頼性を強調しています。

商業飛行の前に米連邦航空局(FAA)の型式証明が必要で、これが最大の難関になるでしょう。

三菱重工は航空機の生産などでボーイングと関係が深く、ボーイングの試験を手がける米エアロテックと協力する。

米エアロテックは数多くの民間機の型式証明を取得してきた実績があり、強力なパートナーになる。

初飛行後に試験機4機を米国に送り、必要な2500時間の大半の試験を米国で実施する事にしています。

先行するブラジルのエンブラエル社、カナダのボンバルディア社は、全世界のサービス体制もあり長い実績がある。

海外航空会社から見た三菱航空機は新興企業で、現実に飛ばして性能と信頼性を見せ付けるしかありません。

コメント

  1. type65 より:

    自分の書き込みを読み直すと論点が少しずれてたので、補足します。
    まず、日本国内で飛ばすだけならJCABの形式証明を取得し、耐空証明されれば何ら問題ありません。
    次に、輸出する場合には各国の航空局の形式証明、耐空証明が必要となります。
    形式証明は無くても耐空証明されれば運行出来るのですが、手間と費用が掛かるので原則として形式証明がないとビジネスとして成り立ちません。
    ただ、聞き及ぶところではMRJの開発が遅延しているのは、JCABの経験不足から審査基準の整備に時間が掛かっている事、当初問題とされていなかった事項が後から指摘されたりで無限ループ状態に陥っていた様です。
    そういう意味では、FAAもEASAも新規要素には審査に時間が掛かっているので、ほぼ大半の新規開発機が同様に遅延しているのが現実かと思います。

  2. type65 より:

    下記文章中、「相互認証協定」の部分は誤記です。「相互承認協定」に読み替えてください。

  3. type65 より:

    自分の専門分野ではない事を最初にお断りしておきます。
    結論から言えば、JCAB(日本の国土交通省航空局)の型式証明を取得すれば、相互認証協定を結んでいるFAAやEASAでも本来通用するのですが、必ずしも全ての基準が同一というわけでも無く、ましてや半世紀あまり旅客機を審査していない機関なわけですから万全を期しているのだと思います。
    以下に分かり易く説明された資料がありますのでご参考ください。
    http://www.iadf.or.jp/8361/LIBRARY/MEDIA/H22_dokojyoho/22-2.pdf

  4. 有紀ちゃん より:

    何でも話題になることに意見を言うおっさんになってしまいました。
    一つ知りたいことは、FAAはアメリカ国内を飛行する航空機の認証で、日本国内で飛行する機体は、国土交通省の認証で良いのですか?日本国は独立国なので、良いと思いたいのですが。
    それとも、FAAの認証に日本国は追随する結果になるのでしょうか?
    MHIの小型機はFAAの認証遅延で失敗作になった、ホンダ製のジェットもFAAの認証が遅れているようです。
    MRJが外国製の部品が大部分で、まるで米国製と揶揄する意見があります。しかし、民間機の認証問題を考えるとき、部品が外国製であっても、機体が日本国内で生産されて、認証が国土交通省が行うならば、MHIの小型機やホンダジェットのようにFAAに翻弄されることは少なくなると思うのですが、これは間違いでしょうか?、

  5. type65 より:

    内容が全般的にアバウトな印象を受けたので、確認出来る事実のみを列挙しておきます。
    まず、MRJはNEDOの「環境適応型高性能小型航空機プロジェクト」として開発されたものと承知しています。http://www.nedo.go.jp/content/100096631.pdf
    つまりは国家的な開発支援があったと言えるものです。従って、購入者側としてはかなり信頼出来うるものと映ったと思われます。
    次に、席数は当初は90座、その後70座の開発、市場の動向を見てから100座タイプの開発を決めると言う事です。
    あと、スホーイSSJに関しては、単なる勘違いか?(写真の通り)
     アビオニクス – THALES
     制御システム – LIEBHERR
    なので、西側向けに作ったと思って間違いないですね。ボーイングも販売に協力するようですし。
    何れにしても、最後の2行は同感です。

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