儲かりそうだから自由化を求めて、儲からなければ撤退するのが資本主義。
引用:http://t-tamura.jp/swfu/d/d6e63354c6dc9dfe9852f40f07dc81b3.JPG
電力自由化は既に企業や法人向けで数年前から始まっていますが、業界5位の大手が突然撤退しました。
大手電力の値下げなど競争激化で赤字経営だったと見られるが、儲からないから発電しないのでは話しにならない。
儲かるから参入、儲からなければ撤退
電力自由化で参入した新電力事業者の「日本ロジテック協同組合」が電力事業から撤退を申し入れているのが分かりました。
同社は新電力5位の中堅事業者で、全国では6千件、東電管内では4千件の顧客と契約を結んでいた。
しかも契約者は防衛省、千葉県、川崎市国民生活センターなど等の公的機関が多く、3千件が公的機関だった。
ロジテックは発電所を持たずに発電施設を持つ企業から、電力を購入して、企業や自治体に電力を販売していました。
新電力への参入企業が増えて競争が厳しくなり、電力を安く調達するのが難しくなり、業績が悪化していました。
ロジテックは東京電力の送電線を使う「託送契約」を結んでいたが、契約廃止を申し入れました。
東電のような大手電力会社は原発停止によって赤字経営に陥り、電気料金値上げによって収益を確保しました。
そこへ新電力として参入し、大手より安く電力を供給する事で、契約者を増やしました。
だが原発再稼動や原油安で大手電力の経営は黒字転換し、値下げを発表すると、新電力も競争に巻き込まれた。
こうして多くの新電力の収益性が悪化し、自前の発電所を持たないロジテックは、採算割れしたようです。
ロジテックから電力を購入していた企業と自治体は、全国で1200に及んでいて、契約変更を迫られています。
愛知県小牧市はロジテックに切り替えた事で、年間約1000万円も電気料金を削減しました。
儲からないから発電しない
既にロジテックの代理店から小牧市に対して、4月以降送電を行わない可能性があると伝えられました。
多くの自治体では電力が途絶える危険性を考慮して、大手電力会社に切り替えると見られています。
原発再稼動などで大手は値下げしようとしているので、新たな費用負担は大きくないと考えられます。
ロジテックの電気の仕入先の一つが新潟県営の水力発電所で、2年間の売電契約を結んでいました。
だが契約を結んだ15年4月から半年ほどして、お金が支払われなくなり、数か月分を滞納しているそうです。
電力自由化を巡っては既存の大手電力会社を廃止して、自由に競争させれば良いという意見が流行った。
日本の電気料金は諸外国と比べて高く、その原因は大手電力と政府が癒着する、官制談合が原因だとされました。
だが実際にはアメリカなどエネルギー産出国を除けば、日本の電気料金が高すぎるという事実はなかった。
日本は全てのエネルギーを海外から輸入するので、輸送コストの分高くなるのは、自由化しても変わりません。
そして重要な事は、電力自由化を実施した全ての国で、自由化前より電気料金が値上がりしました。
自由化して料金が値上がりするのは、元々電力事業は競争原理に向いていないからです。
発電施設は巨大なほど効率が良く、小さい物を多く作ると効率が悪くなる特徴があります。
さらに発電施設には同じ容量の予備の発電施設が必ず必要になります。
ある地域で1000万kwの電力が必要なら、最低でも2倍の2000万kwの発電施設が必要になります。
原発が全て停止しても停電しなかったのは、元々2倍以上の余裕を見込んでいたからだったのでした。
欧米では自由化で電気料金数倍
特に太陽光や風力などの自然エネルギーは天候に左右されるので、予備に対する予備発電所も必要になります。
実際アメリカのペンシルバニア州では、原発を廃止して太陽や風力発電に切り替えたが、冬季に猛烈な寒波に教われました。
そこで予備の火力発電所を稼動しようとしたところ、寒波で発電機が凍結して電気が止まってしまいました。
結局ペンシルバニア州ではその冬、基本料金を40倍に値上げして、金を払う家にだけ送電するという暴挙にでました。
これが電力自由化の恐怖で、価格は市場原理だけで決まり、公共性という概念はありません。
カリフォルニアではカリフォルニア大停電が発生し、自由化前の2倍に電気料金を値上げしました。
競争原理によるコストダウンは起こらず、大きな発電所が小さな発電所になって、値上げしただけでした。
アメリカでも電力の値上げや電力の安定確保は法律で決められているが、電力が不足すると守られなくなりました。
新電力会社は発電しても法定料金では赤字になるので発電所を停止させ、他の地域の発電所から電気を買って横流ししました。
電気を届けるのは金持ちの家だけで、値上げされた電気料金を払えない家の電気は止めてしまいました。
このように新電力は従来からある独占型の電力会社より、多くの点でサービスを低下させ、しかも値上げしました。
日本では今のところ新電力は「旧電力」より安い価格で、電力は安定供給されています。
しかしそれは予備の発電所の負担や、送電設備などを全て、大手電力会社が負担しているからです。
もし地域独占型の大手電力会社が送電網や予備発電を負担できなくなれば、結局カリフォルニアと同じになるのです。
ドイツやイギリスなど自由化じた欧州の国も事情は同じで、自由化によって例外なく電気料金は2倍以上に上昇しました。
コメント
※1
原発は近隣国に日本を敵対国として学校で教育している国が多数あり、その中でも格を所有し日本にそれを向けている国が3国もある状況で手放すのは自滅行為というしかない。
原発は日本が合法的に核技術を持ち続ける方法なのですよ。
例えばスイスは永世中立国を宣言してますが、実態は強度の軍事国家です。これは隣国や諸外国に自らを中立を認めさせるだけの武力が必要と言う事です。
これと同じで日本も現時点の安全を保たせるための抑止力として原発は所持し続けないと行けません。
力の無い国は対イラク戦の時のように一方的にやられます。
戦争をするためじゃなく、戦争にさせない為の力です。
電力自由化は、新自由主義の一つだと思います。
原発の廃炉をするのは福島第一原発(柏崎刈羽原発や女川原発等)と同じ構造の沸騰水型の原発を全て廃炉にすれば良いだけ。
加圧水型原発(玄海や高浜等)は、状況によって廃炉していくのが重要だと思った方が良い。
そしてイタリアは、全面自由化で逆に値上がりしてG7の国の中では一番、電気料金が高い話もあったな。
ドイツも脱原発を自分達の理想だと思っていたが、ベルギーやフランスの原発事故次第でドイツの脱原発は夢に終わるだろう。
勿論、脱原発は大事で地熱や風力など新たな差伊勢可能エネルギー作成は大事だが、安易な電力自由化は逆に格差を広げる恐れがあると知っておいた方が良いかもしれない。