発電は集中して大規模にするほど効率が高まるので、自由化に向かない。
引用:http://motorcars.jp/wp-content/uploads/2016/02/showa-shell-and-tokyo-gas-ohgishima-power-station-unit-3-of-the-commercial-operation-start20160218-2.jpg
4月1日の電力自由化後も、申し込みは1%しかなく、旧電力はホッとしているようです。
理由としては実際のところ、比較してもあまり安くなく、安定供給に不安があるからでしょう。
電力自由化の申し込みは1%
2016年4月から家庭向け電力小売りが全面自由化されましたが、申し込みはほとんど無く、期待外れに終わりました。
だが日本より先に電力自由化した国々は、例外なく電力事情が悪化しているので、むしろ日本は自由化されずに良かったとも言えます。
4月1日から始まった家庭向け電力自由化で、切り替え件数は74万4400件と約1%に止まっています。
アンケートでは「すぐにでも乗り換えたい」と言っていた東京電力エリアでも、実際に乗り換えた住民は2%でした。
しかも「新電力」として参入した企業の中には「隠れ旧電力」が紛れ込んでいました。
東京ガスは約24万件、JXエネルギーは8万件(4月4日まで)でどちらも以前から自前の火力発電所を持っています。
このように自前の火力発電所を持つ企業以外は、電力の安定供給は出来ません。
事実一時的に安い電力を供給しながら、為替や経済環境の変化で赤字になり、既に撤退した事業者もありました。
じゃあ新電力は安い電力が手に入らなくなったらどうするのか、あるいは原発再稼動で旧電力が安くなったらどうするのだろうか?
新電力もさるもので、もし原発が再稼動して安い電力が大量供給されたら、原発の電気を買う事にしている。
旧電力は原発事故や円高・円安、天候などあらゆる事態で絶対に停電しないように、消費量の2倍、3倍の発電能力を持っている。
だから原発が再稼動しても急に大幅な値下げはできないが、新電力はちゃっかり原発の電気を買って安く売ります。
自由化すると電気は値上がりする
電力自由化は国の方針なので、旧電力もある程度協力し、自らが「新電力」としても参入しています。
ほどんどの新電力はハイリスクな自社発電増強は行わず、原発の電気を買えば良いと考えている。
発電は一箇所で大量に行うほど効率が良く、小規模で分散するほど効率が悪化するので、原発に対して勝ち目はない。
「事故の補償金を含めれば原発は高い」という人も居るが、逆に言えば事故が起きなければ、原発は圧倒的に安い。
島根原発1号機が廃炉される事になり、廃炉費用380億円と報道されていますが、建設費4500億円の1割にも満たないので誤差です。
自由化を進めると原発依存度は低くなるが、実施国では電気料金が軒並み2倍に上昇しています。
考えてみれば最も安い原発を捨てて、それより高価な太陽や火力に移行するから、高くなるのでした。
そして電力自由化には根本的な問題があり、電力は自由化に向かない商品だという事です。
過去に電力自由化を実施した国として、アメリカ、ドイツ、イギリス、意外にも日本の名前が挙がっています。
日本は戦争を遂行する為、発電事業を国営化していたが、1951年に民営化され現在の「旧電力10社」が誕生しました。
今と同じように「国が発電するのはおかしい」「事業を独占し競争がない」「自由化すれば価格が下がる」と言っていました。
自由化したらどうなったかというと、日本の電気料金が急上昇し、およそ2倍に値上がりしました。
1951年の電力民営化で電気料金は急上昇しました
引用:http://nenji-toukei.com/n/kiji/10054/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%96%99%E9%87%91
電力は自由化しない方が安い
今まで国営発電所で価格統制していたのを自由化したので、株式会社になって価格が自由化されて、利益確保のため一斉に値上げしました。
電力は地域独占が最も効率よく送電できるので、強制的に解体しない限り地域独占になり、他の会社からは買えません。
では強制的に地域独占を終わらせたらどうなるかというと、効率が悪化して値上げしなければ採算が取れなくなります。
アメリカのいくつかの州は電力会社を強制分割し自由化したが、どこも料金が2倍以上になりました。
ドイツなど欧州も同じで、残念ながら電力自由化で値下がりした国は無いようでした。
しかも電力自由化とは「発電しないのも自由」なのをすっかり忘れていて、採算割れの企業が発電をやめる事態が発生しました。
発電コストは為替レートや石油価格、日照、降水量など変動が激しいのに、多くの州で上限料金を決めています。
この結果赤字の電力会社は発電を停止し、停電が頻発するようになりました。
これが自由化の怖さで、値上げするのも発電しないのも自由なのです。
旧電力は安定供給のため、必要な2倍以上の発電能力をコストとして負担しているが、新電力はこの負担から逃れている。
自由化して予備の発電能力を廃止し、常にギリギリの能力で発電したら、それは頻繁に停電も起きるでしょう。
コメント
欧米で自由化後に電気料金が何倍にもなったとおっしゃいますが、燃料費高騰や炭素税などの話はご存知ですか?
http://power-hikaku.info/column/rise.php
まあ価格競争は競い合える同能力の相手が存在してるからこそおこるのであって、旧電力会社と同程度の能力を保持できてる企業が無いので当然と言えば当然の結果でしたね。
本当に安くするなら、国が資金を注入して旧電力の場所それぞれに同性能の電力会社作るくらいですかね。
つづき
(ドイツ)
メルケルが、311の直後「原発やめる」「風力・太陽光発電だ」と発言。その冬ヨーロッパ大寒波。電力事情逼迫。原発やめて周辺国(フランスなど)から電力購入で大出費と思いきや、ドイツがフランスに電力を売って大儲け。
↑
これってヨーロッパの国境を越えた電力自由化の為せるワザだったんでしょうね。。。
ーーーーー
(不思議、なぜ原発やめたドイツが国外に電力を売れたか)
ドイツ人がケチで電力消費を節約した訳じゃない。
風力・太陽光など全然ダメ。
今思うに「難民を無尽蔵に受け入れる」と受け取れる宣言して、実際に来たら受け入れ拒否のメルケルだもの「原発やめる」発言も口だけですよね~、原発停止ナド一度もしていない。今もガンガン原発稼働中。原発の電力をフランスに売って大儲けしてたんですって。
口だけメルケルの大迷惑は、ヨーロッパへの極貧移民大流入だけでなく 日本にまで大迷惑(原発ガンガン稼働してるのに原発やめた嘘捏造メルケル)
お わ り です
電力自由化というとニューヨーク大停電が思い浮かぶ。1970年代(約40年前)のことで詳しいことは記憶にないが、新聞にでかく報道された記憶だけがある。
自由のくにアメリカは電力も自由であり、電力産業への参入も撤退も自由、安定した発電送電維持のため設備投資するもしないも自由、自由の国アメリカの金儲け至上主義のもたらした大停電だったんでしょうね。
(電力自由化より10年以上前の大停電だが、銀行設立が自由にできるアメリカは電力産業も当時の日本より遥かに自由だったと勝手に思い込んでます)
ーーーーーー
1977年(昭和52年)ニューヨーク大停電
1992年アメリカ電力自由化開始(発電するだけでOK=送電設備を持たない自由)
2003年アメリカ・カナダの大停電
(自由化で発電会社乱立、送電は儲からない?面倒?で参入者少なく送電事業への参入少なく能力小さい)
(いろいろな電力(風力・太陽光・地熱・火力・原子力・水力)があり電圧・周波数が様々の電力を安定した周波数・電圧にしなければならないが、この産業に参入しないで発電だけする自由を行使してきた結果の大停電。