習近平は構造改革を訴えるが、抵抗派の反対でむしろ後退している。
そこで人民日報に刺客を送り込んで、抵抗派の批判をさせているという説がある。
引用:http://s9.stc.all.kpcdn.net/share/i/12/9666637/inx960x640.jpg
人民日報に最近「権威人士」なる人物が登場し、党や新聞とは異なる意見を書いています。
人民日報は共産党の支配下新聞なので、中国共産党内部で権力闘争が起きていると囁かれています。
政府批判繰り返す「権威人士」
中国では新聞記者は国家公務員で、国家試験に合格した人だけがなれる職業です。
国家は全ての新聞記者の行動を把握しており、党や国家に逆らう意見を書けば資格を剥奪します。
それだけなら良いが、政府に批判的な記事を書いた人が失踪したり襲撃されるのは珍しくない。
2015年には香港の有名な反中国系出版社の関係者5人が失踪し、後に中国公安が拉致して本土に連れ去ったと判明しました。
政府に批判的な記事を書けば、このようにある日公安に連れ去られて収容所に入れられ、「行方不明」として処理されます。
従って人民日報の「権威人士」も一人の記者の気まぐれではなく、人民日報そのもので異変が起きています。
ちなみに「権威人士」は同じく共産党支配下の新華社通信にも登場し、地方政府の腐敗振りを糾弾している。
これらから「権威人士」とは特定の人物ではなく「匿名の有力者」程度の意味だと想像されます。
日本でも新聞やテレビニュースに「政府関係者」の発言が匿名で紹介されるが、あれに少し似ています。
「党の権威人士」とも書かれている事から、政府を批判できるほどの超大物が背後に居ると推測できる。
「権威人士」が人民日報に登場したのは2015年5月、2016年1月、2016年5月と1年間に3回で、それほど頻繁ではない。
新華社の方では2015年12月に登場し、湖南省などの地方政府幹部の間で、腐敗が蔓延していることを書いていました。
「権威人士」が指摘する中国の未来
同省では非合法な「夜のパーティ」が頻繁に開催されている他、捕まれば極刑の薬品を共産党幹部が常用していると書かれている。
業者から幹部へのわいろが頻繁に行われている事も書いているが、習近平主席が腐敗を撲滅しようとしているという論調で書かれている。
2016年5月9日の人民日報に登場した「権威人士」は中国経済の現状をこっぴどく批判している。
2016年の第1四半期(1-3月期)は幸先の良いスタートを切ったと好意的な論調で始まっています。
記事は8つの指摘から成っていて、1は経済は好調だが問題もあり楽観視できないと常識的に書かれている。
問題点として、地方財政の不均衡、民間投資の減少、不動産バブルや過剰生産能力、不良債券、地方債務、株式市場、為替市場、債券市場、違法資金調達にリスクがあるとしている。
市場化の程度が低く、産業がローテクで、、雇用問題が際立ち、社会問題が激化しているとも書いている。
2つ目の指摘は「中国経済は今後、「U字型」ではなく、まして「V字型」でもなく、「L字型」の発展をたどる」と辛らつに書かれています。
3つ目は中国経済は潜在力が十分なので、そこまで落ちることは無いと逆の事を書いている。
4つ目は経済指標の一部が再上昇しても喜べず、一部が上昇しても慌てることはない。
5つ目は供給側の構造改革の必要で、「中所得国の罠」を乗り越えるには必要と書かれている。
6つ目は経済成長の安定と構造の調整は矛盾するので、経済が悪化するだろうとしている。
「権威人士」は習近平の影武者?
7つ目は過剰生産能力に支えられた経済成長は持続不可能、と指摘し痛みを伴うとしている。
8つ目は現状はインフレだが同時に生産デフレでもあり、過剰生産が深刻化しているとしている。
これが毎日新聞や朝日新聞だったら「日本は滅亡する」くらいは毎日書いているが、人民日報ではこの程度の批判も前例がなかった。
これだけの事を言える「党の権威人士」は誰かの犯人探しが行われているが、一説には習近平本人だという。
習政権は構造改革を進めようとしているが、抵抗勢力は強大で、かえって過剰生産を拡大しています。
まさか習近平本人は書いていないでしょうが、彼の意を汲んだ人物が行っているという説がある。
2015年5月の天津爆発事故では新華社通信に登場し、民衆の迷信を正すとして政府寄りの意見も発表しています。
もう一つは経済危機を訴える事で、習近平に打撃を与えようとしているという説で、例えば江沢民グループなどです。
そういえば毛沢東も「大躍進政策」の失敗で失脚した後、新聞や学生を使って扇動し、文化大革命を起こしました。
誰がどんな意図で書いているのかは、結局のところまだ分かっていません。
コメント
うまく共倒れして南北2国や三国時代みたいに3国くらいに分裂して欲しいわ。
中国の政府系シンクタンク「中国社会科学院」
「中国に春は二度と来ない」
『メイド・イン・チャイナ(中国製造業)』の新常態
「中国の貿易が振るわないだけでなく、ますま
す悪化している」
さらに「心配なのは、中国の製造業が直面しているのは、不景気という一時の落ち込みではなく、国内外の経済環境の変化がつくり出した新常態である」