ルーマニアで陸上イージス稼動、ロシアが猛反発

見覚えがあるレーダーが取り付けられている。

引用：http://www.dmitryshulgin.com/wp-content/uploads/2016/05/Aegis-Ashore.jpg

ロシアと欧州主要国の中間に位置するルーマニアで「陸上イージス」が運用を開始しました。

このシステムがロシアを包囲すると、ソ連時代から脅威を与えていた弾道ミサイルは無力化されてしまいます。

欧州のロシア包囲網

2016年5月19日にアメリカ軍はルーマニアで、ミサイル防衛（ＭＤ）システムの「イージス・アショア（Aegis Ashore）」の運用を開始しました。

北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）のミサイル防衛（ＭＤ）システムの一部で、欧州でのミサイル防衛は10年前から進められていました。

アメリカは中東のイランなどから防衛する為と説明しているが、実際はロシアから欧州を防衛する為のシステムです。

ロシアに隣接するウクライナをＮＡＴＯに含めるかで米露は揉めに揉め、双方がクーデターやテロを支援して敵対政権を倒そうとまでしました。

最終的にアメリカはテロリストを支援して親ロシア政府を倒し、ロシアは報復に親露勢力に武器を渡しまて内戦を始めました。

さらにロシアはクリミアに特殊部隊を送り込んで独立を支援し、その後ロシア地上軍の戦車部隊が侵攻しました。

米露がなんで田舎の小国を舞台にこんな事をしたかと言えば、ウクライナはロシアの隣国で、ロシアを封鎖できるからです。

アメリカがウクライナを押さえれば、短距離ミサイルでもロシアに届くし、ロシアが発射した弾道ミサイルも迎撃可能になります。

逆にロシアはウクライナを取られれば、欧州への攻撃手段がなくなり、エネルギーも欧米に抑えられます。

ロシアから欧州に続くパイプラインはウクライナを通るので、アメリカに押さえられたら天然ガスの輸出も出来なくなります。

ウクライナはまさにロシアの急所だったわけで、戦争に発展するリスクを犯しても、再び支配下に置こうとしています。

そのウクライナの南に隣接しているのがルーマニアで、ロシア海軍のセヴァストポリ軍港は黒海を挟んで目と鼻の先です。

ロシアが恐れるわけ

ルーマニアを米国が押さえると、ロシアの黒海艦隊は金魚蜂の金魚同然で、いつでも壊滅させられるでしょう。

ここに配備されたイージス・アショアとは、日本も保有するイージス艦のミサイル迎撃システムを、地上に据えつけたものです。

イージスシステムは建物の上に固定されていて、イージス艦では一塊だったシステムはバラバラに配置されています。

日本も将来この陸上イージスを導入する可能性があると言われており、アジアでの展開が予想されています。

日本は現在6隻のイージス艦を保有していて、将来8隻に増えるでしょうが、多くの問題を抱えています。

軍艦はその性能を維持する為、2隻に1隻は常時港に入っていて、だから建造するときは2隻セットで作る事が多い。

2隻に1隻は港に入っているという事は、日本が保有するイージス艦は実質3隻で、北朝鮮や中国、ロシアの弾道ミサイル全てを防がなくてはなりません。

いかにも無理があり、これを補えるのが「陸上イージス」で、海上を移動出来ないが、港で整備する必要がない。

理論上は九州、関西、関東のように３基か4基で日本列島をカバーできるので、1基1000億円以上としても効果は高い。

これがルーマニアに配備されると、半径数百キロにわたって、ミサイル攻撃が無効化されてしまいます。

ロシアの黒海艦隊が核ミサイルを撃ってこようとも、（理論上は）跳ね返すでしょう。

ルーマニアの次はトルコやウクライナ、ポーランド、北欧にも配備すれば、もはやロシアは欧州に手も足も出なくなります。

そうなればロシアの欧州への政治力は地に落ちてしまい、ただの3流国家になるかも知れません。

ロシアや中国の「共産陣営」はミサイル防衛のようなシステムを持っていないので、対抗上は不利になります。