毎年普及元年と言われながら、普及していない電気自動車
引用:http://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1403064460380/simple/140620094219_1.jpg
車載電池上位すべて赤字
日産は車載電池事業を他社へ売却する方針を決め、自社での電池生産から撤退すると発表しました。
電気自動車やPHVが将来の自動車として有望視されている中での撤退は、一見すると意外に思えます。
だが背後の事情を検証すると、電気自動車や電池事業の将来は、必ずしも明るくない。
車載電池のリチウムイオン電池の世界シェア上位は、1位サムスン、2位パナソニック、3位LGと成っています。
サムスンが赤字でパナソニとLGは0.1%の黒字だが、会計を「着飾って」黒字にしているのは明白です。
4位以下は推して知るべしで、世界の電池メーカーは赤字で電池生産をしています。
下位グループだったソニーも赤字で、先日村田製作所への事業売却を発表しました。
世界はスマホやEV、ハイブリッド車など高性能電池を利用した製品が次々に登場し、一見景気が良いように見えます。
だがスマホなど多くの製品の中で電池が占める価格は非常に小さく、従って得られる利益も非常に小さい。
自動車用の高性能電池はもっと高価格だが、販売台数が少なく、小さい市場を多くのメーカーで奪い合っている。
売上が小さいのに新技術で多額の開発費が必要とされ、慢性的な赤字業界になっています。
売却したソニーは1980年代には業界トップだったが、発火事故とサムスンの価格攻勢で大型受注ゼロになっていた。
電気自動車に未来はあるか
電池業界で唯一の希望になっているのがEV電気自動車やPHVハイブリッド車で、膨大な需要があるからこそ我慢している。
だがこれまでの10年間は期待はずれで、日産リーフ他電気自動車はほとんど売れませんでした。
米テスラは高級車なので販売台数は少なく、電池業界が儲かるほどの発注ではなかった。
プリウスなど従来型HV車はバッテリーを小型化して軽量化したので、受注金額は大きく増えていない。
VWのディーゼル不正から欧州メーカーは一斉にEVやPHVを開発していて、数年後には大量にデビューする予定です。
日米や新興国でもEVは伸びていくと予想されているが、水素を燃料とする燃料電池車がライバルになる可能性もあります。
散々待たされて今度こそEVの時代だと思ったら、燃料電池に主役をさらわれたら、トンビに油揚げをさらわれた恰好になってしまう。
電気自動車については将来の主役が確実という見方と、結局傍流のまま終わるという見方に分かれている。
悲観派は電気自動車の充電に時間と手間、設備が必要な欠点を重要視しています。
家庭のコンセントから充電すると、満タンにするには10時間以上掛かり、それでいて走行距離はガソリンの半分に満たない。
しかも毎日10キロ走行分ほど自然放電し、電池の性能寿命は2年か4年なので新品に交換する必要がある。
全世界の家庭やガソリンスタンドに急速充電器を備え付けるくらいなら、燃料電池スタンドを作るのと変わらない費用がかかる。
燃料電池車がEVのライバルに
こうして欠点を並べてみると、電気自動車の将来も思ったほど明るく無さそうに思えてきます。
PHVの方は充電可能なハイブリッド車で、今後かなり普及するのは間違いないと言われている。
欠点はエンジンとモーター両方で駆動するので、必然的に高価になり、普及してもガソリン車並みの価格にはならない。
したがってPHVは高級車や大型車では普及するが、低価格な車を求める層は買わないと考えられる。
PHVとEVの販売台数は優遇税制のおかげで、主要先進国では2桁増加を続けているが、燃料電池車も優遇税制を受ける。
電気自動車はパワー、重量、速度、航続距離、価格などのバランスが厳しく、どれかを向上させると他が悪化します。
電気自動車がモタモタしているうちに、燃料電池車が低価格化してきたら、どちらが覇権を握るか分からなくなります。