欧米は領空侵犯された同盟国トルコを非難し、離反をまねいた。
テロリストはNATOから出て行けとすら言っている。
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欧米に制裁された2国が接近
トルコのエルドアン大統領は8月9日にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談しました。
2015年11月にトルコ空軍F16が領空侵犯したロシアのSu24戦闘機を撃墜してから、両国は断絶状態になっていました。
それまで何度も領空侵犯していたロシア戦闘機にトルコは「撃墜する」と警告していたが、ロシアは従わなかった。
2015年11月24日、地上の武装勢力を追いかけてシリア側からトルコ領に侵入したSu24に、F16が緊急発進しました。
数回警告を発したがSu24は退去せず、2機のF16によって撃墜されました。
トルコはNATO北大西洋条約機構の一員で、したがって英仏独伊や米国と同盟国だが、欧米の態度は奇妙なものだった。
事態の経緯を見るとトルコ側に落ち度はなく、実際にロシア戦闘機は領空侵犯したし、退去命令に従っていなかった。
にも関わらずアメリカや欧州はトルコ支持を表明せず、「ロシアとトルコが戦争になってもNATOは無関係」などと言う始末だった。
欧米によるとNATOは「相手側から無抵抗に先制攻撃された場合のみ有効で、トルコは反撃したから無効」なのだそうです。
なんとも当てにならない同盟国で、それなら無いのと同じで、NATOの崩壊振りを世界に印象付けた。
欧米諸国とトルコの不仲はずっと以前から顕在化しており、トルコとギリシャの領土問題では欧米は常にギリシャを支持してきた。
この対立はギリシャ文明が始まった2000年以上前から続いていて、ギリシャ文明とは元々エジプト及びメソポタミア系の人が作りました。
恨みつらみを外交に持ち込む欧米
メソポタミア(中東)の商人が交易のためにギリシャに住み着き、拠点を作りギリシャ文明に発展したとされています。
いわば欧州にとってトルコやアラブは、未開人だった欧州に文明を与えた恩人なのだが、両文明はギリシャとトルコの境界で常に衝突してきました。
第一次大戦でトルコはドイツ側について敗戦国になり、領土の大半を失って国家が崩壊しました。
欧州は今でもその頃の事でネチネチと嫌がらせをしていて、100年前の事件で国際法廷などを開いています。
フランスとドイツは第一次大戦でトルコが敵側の少数民族を弾圧したとして、相次いでトルコに有罪判決を下しました。
その結果トルコは「戦犯国家」としてEU加盟を拒否されて、NATOからも出て行けと言われています。
少なくとも米独仏はトルコにNATOから出て行って欲しくてしょうがない、という態度を取っています。
第二次大戦にトルコは参加せず、戦争がほぼ終わってから連合国側に就き、今度は戦勝国になった。
欧米はソ連と冷戦を戦っていたので、トルコをソ連側に入れない為に、北大西洋条約機構 (NATO) に加盟させました。
時は流れて2001年にNYで9.11テロが発生し、欧米はイスラム国家との戦争を開始しました。
トルコはイスラム教国でありながらNATOに参加している微妙な立場で、シリアやアルカイダやイスラム国とも微妙な関係です。
宗教的に彼らは同志だし、かといって現実世界では敵として対立している。
反欧米で手を組むトルコとロシア
シリアの武装勢力やテロリストは、欧米やロシアから追われると、トルコ側に逃げ込んでいるのは事実でした。
またイスラム国はトルコと密貿易をして資金を得ていて、欧米はトルコ人を「テロリスト」と呼んでいます。
トルコがロシア戦闘機を撃墜した後、トルコには落ち度がなかったのにアメリカや欧州からは責め立てられ、ロシアからは制裁を受けました。
このような状態では、いずれトルコが欧米から離反して反欧米に走るのは目に見えているが、欧米側は引きとめようともしていない。
こうして自然な成り行きとして、欧米と対立するロシアとトルコは互いを求め、再び握手しました。
ロシアがトルコへの領空侵犯を始める前、むしろトルコは親ロシアの立場を取っていて、ロシア側が喧嘩を売ってきたのでした。
その後トルコでは軍によるクーデターが起きたが、ここでも欧米はクーデター軍に同調して政府を非難していました。
トルコとしてはNATOに加盟しておけばアメリカから空爆される恐れはないので、堂々とロシアと手を組める。
米独仏の強硬な反トルコの外交姿勢が、ここまでトルコを追い詰めたと言え、ロシアとしてはNATO加盟国に「同盟国」を持った事になる。
エルドアン大統領はロシア戦闘機撃墜を謝罪したうえ、ロシアとのパイプラインや共同プロジェクトも合意し、プーチンにとって好ましい事態になっています。