アメリカのタクシーは移民がやる低収入職業だが、ウーバー運転手はさらに安い
引用:http://www.jwide.com/news/files/region1/1427902115.jpg
世界で大ブームを起こしている配車サービスのウーバーだが、今までに一度も黒字になった事がない。
赤字企業ウーバー
ウーバーが最初に始めたインターネット利用の配車システムは、(日本を除く)世界中で普及している。
日本はウーバーは白タクであるとしているので今後も、(一般ドライバーの営業が)許可される見通しはまったく無い。
ウーバーはタクシー会社に所属する運転手や車両ではなく、無資格の素人ドライバーがネット上で登録する。
登録ドライバーの近くでタクシーを利用したい人が要求すると、ウーバーが自動的に登録運転手を選び出す。
連絡を受けた運転手は現場に急行し、客を乗せて目的地まで送り、また元の場所に戻る。
支払いは客がウーバーに対して、ネット上でのクレジット決済で支払い、ウーバーから運転手に報酬を支払う。
日本では2種免許と営業許可を取得している人だけが登録でき、一般人は参加できません。
もしそんなものが普及したらタクシー会社が倒産し、運転手は失業し、激しいデフレ競争になるからです。
ウーバーが普及した国ではまさにそうなっていて、アメリカではタクシー運転手という職業が無くなりつつあります。
アメリカでの利用者の利点としては、タクシーのように待たなくて済み、10分以内で来るとされています。
車両や運転手は料金によって分かれていて、高い人と安い人は5倍も違い、安い人を選ぶとタクシーの半額で済む。
しかもアメリカで重要な事として、料金にチップが含まれているので、表示された料金だけを払えば良い。
デフレを引き起こすウーバー
一例としてハリウッドからロサンゼルス空港まで、タクシーだと下道で50ドルだが、ウーバーは20ドルだとネット上では書かれています。
価格は変動相場制で、利用者が多いときは利用者間の競争で料金が上がり、高い料金を支払う人の所に車が行く。
空いているときは料金が下がり、最低料金で利用する事ができる。
また利用者は運転手の優劣を情報で事前に知ることができるので、相手を選ぶ事ができる。
こんな素晴らしいシステムなのであっという間にタクシーを駆逐してしまい、残るのはNYのような大都市だけと言われています。
だがこの素晴らしいウーバーは創業以来利益を出した事が無く、毎年2000億円くらい赤字を続けています。
システムをちょっと見ただけで、典型的なデフレ型企業だと気づいた人がいるかも知れません。
自動的に料金が値下がりし、値下がりすることで競争力が強まりライバルを駆逐していくシステムです。
タクシー業界のアマゾンやヤフオクみたいなもので、こういうスーパーディスカウント企業が巨大化すると、社会にデフレ(値下げ)圧力がかかります。
値下げによってライバルを倒すが、最後には自分自身も利益がでなくなる事が、良く起こります。
2016年にウーバーは2兆円を売り上げると見られているが、それでいて2300億円もの赤字が予想されている。
2016年上半期は売り上げ約88億ドルで、12億7000万ドルの赤字だったとされています。
魅力的な職場ではないウーバー
赤字の原因は売り上げを上回る経費増大で、乗客やドライバーに支払っている「上乗せ金」が負担になっている。
例えば「ウーバーに登録すれば50ドル分無料ポイント贈呈」のようなサービスや、運転手への高額報酬などです。
運転手は一般の人なので仕事をしたほうが時給が良いのなら、運転手などしないでしょうから高額報酬を要求します。
ハリウッドとロス空港は片道1時間から1時間半かかるので往復で3時間だが、客が支払うのは20ドル(2千円)なので時給650円に過ぎない。
しかも650円には車両代とガソリン代が含まれているので、自分ならウーバーより普通のタクシー会社で働きたいです。
安い料金でウーバーに登録している人の時給はせいぜい500円くらいの筈で、マックのバイトより遥かに安いです。
しかもウーバーには州の最低賃金が適用されないので、待機したあげく収入ゼロの日もあるでしょう。
利用者にとってはタクシー料金が半額になるのは嬉しいでしょうが、日本の場合運転手は消費者でもあるので、消費不況を引き起こすでしょう。
日本では90年代から2000年代に規制緩和でタクシーやトラック運転手の給料を半額以下に減らしました。
最初消費者は安くなって喜んだが、すぐに運転手という気前の良い消費者が消えて、不況になっているのに気づいた。
気づいた時にはもう手遅れで、運転手は貧困者になり一切の消費をしなくなり、日本のデフレ不況に貢献しました。
ウーバーも世界で同じような役割りを果たしていて、これから各国のデフレ化に少なからず貢献するでしょう。
運転手同士が競争して自分の収入が下がっていく状況は、非常に過酷なもので、テレビで報道されるハッピーな世界とは違う。