現在のGDPにはネット販売やネット副業が反映されていないとされている。
引用:http://www.stat.go.jp/info/guide/pamphlet/img/2-26.jpg
日銀が内閣府にケンカを売る
日銀と内閣府がGDP算出で対立していて、日銀によると政府が発表しているGDPは間違っている。
日本のGDPはずっと内閣府が調査していて、他にGDPを調査する機関はないので、疑問を持つ人はいなかった。
内閣府は消費を合計する事でGDPを算出していたが、その前にGDPとは何なのだろうか。
GDP(国民総生産)は名前の通り国民全員が1年間に生産した価値の合計だが、非常に計算しにくい。
例えば主婦の労働という価値はいくらなのか、ホームレスだって活動しているが、算出は不可能です。
ここで「国民総生産=総支出=総分配」というGDP三面等価という原則が登場します。
日本語に直すと「生産=支出=所得」なので、生産したものの価値の合計は、消費された価値の合計に等しい。
さらに所得(個人の収入+企業収入など)の合計も生産の合計と等しくなります。
内閣府は支出の合計を計算する事でGDPを出していたが、日銀によるとこの方法は実際より少い数字になる。
日銀は「国民(と企業)がいくらの税金を払ったか」を計算し、所得の合計を計算したところ、29兆円も多かった。
2016年4月から6月期のGDPは、内閣府の計算は500兆円、日銀の計算では529兆円になった。
これが個人の収入なら年収500万円でも529万円でもどうでも良いのだが、国レベルだと大変な違いになる。
原因はネット副業?
例えば「日本の借金はGDPの何%」経常収支は、あるいは消費はGDPの何%という数字が全部間違いだった事になる。
日銀では29兆円の誤差の原因は副業ではないかと推測しています。
日銀による推定値は1990年代には内閣府と差が小さかったが、90年代後半から乖離が拡大しました。
内閣府は企業がいくら給料を払ったかは計算しているが、社員がいくらの収入だったかは計算していない。
2つは同じように見えるが、社員が副業をしていたら誤差が生じてしまう。
また企業の支出の計算では、正しく申告していなかったり、ネットビジネスでは把握できなかったりする。
90年代から日本の雇用は不安定になり、今や労働者の4割が非正規だと言われていて、収入を把握しづらい。
ある会社がバイトや非正規に年200万円の給与を払っていたら、総務省はその人のGDP寄与を200万円と計算する。
だがその人は他でもなんらかの収入があり、実は年収250万円かも知れません。
さらに言えば日銀が出した納税記録から国民総所得を算出する方法では、「正しく納税した分」のGDPしか出てこない筈です。
世の中にはネット上のちょっとした収入、たとえばブログを書いて得た収入や、ネットオークションで得た収入を申告していない人が多く居ます。
それが年間数十万円であれば、税務署も面倒なのでほとんど調査しないと噂されているので、多くの人は申告していないでしょう。
実際のGDPは600兆円?
こう考えると日銀の計算すら、かなり過少な数字の可能性が高いです。
内閣府は去年、国連がGDP計算方法を変更したのに対応して、GDPに研究開発費を含めると発表しました。
新基準で計算されるのは2016年7月から9月期分からで、GDPが約15兆円増えると推測されている。
今まで国連は研究開発費はコストであるとして価値を認めず、支給した人件費などをわざわざGDPから引いていました。
これに日銀が指摘した29兆円を足すと、今までの総務省発表は45兆円、約1割も少なかった事になる。
もしネット副業が生み出すGDPが予想以上に大きければ、既に日本の本当のGDPは、550兆円を超えて600兆円に迫りつつあるかも知れません。
例を上げると毎年正月には日本では「福袋」という習慣がありますが、多くの人が店頭に並んで入手し、ネットオークションで転売しています。
最近では福袋もネットで販売するのが主流だが、正月の間しか販売していません。
すると買いそびれた人が正月過ぎに購入する需要があり、オークションに出品されていたりします。
そうした収入を全員が正しく納税しているとは考えられず、総務省も日銀も計算していないでしょう。
ネット上のGDPの扱いは各国も苦慮していて、どう計算するかで大きく違ってきます。
これは以前から指摘されていて2014年のネット販売は総務省では4兆円だが、経済産業省の計算では12兆円だった。
非科学的な内閣府の調査方法
これだけ世の中にネット販売が溢れているのにたった4兆円しかGDPに計上されていないのは、まったく把握していない疑いを持たせます。
幾らなんでもおかしすぎるので、内閣府がどんな調査方法をしたかを検索すると、驚くべき方法を採用していた。
内閣府では電話帳をめくって電話や街頭でアンケートし、回答した人の数字を合計して消費を推測していました。
明治時代ならそれで良かったでしょうが、今は平成も終わろうとしていて、21世紀なので改めた方が良いです。
内閣府のアンケートに答えるのは、高齢者と主婦だけだったので、ネット消費は含まれて居ませんでした。
専業主婦が家を守り家計を管理している前提なので、女性の労働やインターネット社会で通用しなくなりました。
非科学的すぎてどう改善したら良いか分からないが、もう内閣府はGDP計算を辞めた方が良いのではないでしょうか。