多くのアパートは親から相続したなどオーナーの都合で場所を決めている。
空室率のウソ
アパート・マンション投資ブームが始まった頃、首都圏空室率は16%程度と言われていて、入門書などでもそう書いてある。
だが不動産調査会社によると東京23区ですら空室率約35%に達している指摘されています。
16%で見積もって銀行から数千万円を借りているのに、空室率が2倍以上だったらギリギリも言い所で、赤字かも知れません。
金融庁では今後「不動産ローンの不良債権が増加するだろう」と太鼓判を押しています。
ところで調査会社や政府機関による「空室率」とは本当の空室率ではなく、募集している物件だけを調査しています。
つまり不動産業界で言っている「空室率」は自分たちの商売に繋がるような物件だけが対象です。
大家は入居者を募集し、不動産屋は入居者を紹介して手数料を取り収入を得ています。
あるいは物件の管理を丸ごと請け負っている場合も有りますが、彼らの関心は動く物件で「儲からない物件」に興味はありません。
だがこの数字が新聞やニュースで報道されると一般の人は「空室率が3割を超えている」大変な事になるぞと思います。
では業界用語の空室率ではなく、全ての賃貸アパートの本当の空室率はどうなのか、実は誰も調査していない。
もしかしたら暇な役所の誰かが調べるかも知れませんが、一般の人に伝わる形では発表されていません。
好立地の築浅アパートは満室
募集中の東京23区の空室率が35%なら、都内の好立地アパートには人気物件がかなり存在するので、20%台ではないかと推測できます。
都市部の駅から徒歩数分で新築20年以内だったら、空室がそうそう有るとは思えないので、もしかしたら本当の空室率は2割以下かも知れません。
最近の傾向として「オーナーブーム」によって余っている土地にアパートを建てて相続税を有利にしたり、起業する人が多かった。
サラリーマン投資の場合は銀行の融資限度額などから地価が安い場所に、相続地の場合は自分が所有する土地にアパートを新築した。
投資の場合は多少は利用者の便宜も考えるが予算優先で、相続地の場合は相手の都合はお構い無しで、空き地にアパートを建てました。
こんなのが満室になるはずがないので、余りまくって空室率が増加していると考えられます。
都市部の駅から徒歩10分以内が人気アパートの条件で、駅から遠い物件だったら入居者は現われない可能性が高い。
ところが親から相続する土地の多くは、駅から遠く中心部から離れていて、ショッピングセンターなどの施設からも遠い場合が多い。
入居者が借りたい場所には大手がマンションを建てまくっているので、不人気アパートの空室率はなおさら高くなります。
なぜその場所にアパートを建てるのか
不人気な理由は明白で、客の都合お構い無しに自分の都合だけで、不便な場所に立ててしまったからです。
親から相続する空き地の多くはアパート需要がない「田舎の不便な場所」なので最初から失敗が約束されている。
大手事業者は都会の駅前の需要がある場所に大型マンションを建てるので、なおさら不便な立地のアパートの借り手は減少する。
アパート建設や管理を請け負う不動産屋などは、通常アパートを建てた後の責任を負わず、全額オーナーの負担になります。
「家賃保証」という制度もあるが、入居者がなければ減額できたり、一方的に解約(夜逃げ)できるようになっています。
その場所にアパートを建てても入居者など居ないのを予想できたとしても、アパートを建てさせれば業者は儲かるのです。
アパートの建設数が目立って増加し始めたのは1995年つまり阪神大震災以降で、当時は確かにアパートが不足していたようです。
田舎では過疎化が進んだが、同時に都会への移住も進んだので、特に都市部でアパートが不足しました。