地震保険の仕組み
日本では定期的に地震や豪雨や強風などの天災被害があり、災害保険や火災保険が改めて注目されています。
東日本大震災や熊本地震など、毎年のように起きる地震にそなえて地震保険に加入する人が増えている。
加入する人が増えて地震の発生頻度も近年増加しているので、保険会社は地震保険を値上げしました。
地震保険は東日本大震災後の2014年7月に15.5%の大幅値上げをし、熊本地震後の2017年1月に5.1%値上げしました。
保険の性質上、支払いが必要な地震が起きなければ会社は儲かるし、支払いが多発すれば会社は赤字になります。
損害保険や生命保険では客は長期間の支払いをし、保険会社は数十年にわたって預かり金で資金運用して利益を得ています。
交通事故や病気の発生件数は毎年ほぼ同じなので支払い金額も同じ、何割も変動することはあまり起きません。
ところが地震はある年はゼロで次の年は数千件の家屋が倒壊するといった具合に、突然巨額の支払いが求められます。
運用利益が出ていないのに支払いを求められると赤字なので、地震が多発すると値上げせざるを得なくなります。
地震保険で多額の支払いを求められると割りに会わないので、国と保険会社が地震保険を共同運営している、
したがって国内のどの保険業者の地震保険に加入しても、料金や保証内容はまったく同じだとされています。
国民健康保険みたいな任意加入の損害保険だとイメージすれば良いかも知れない。
地震保険は損か得か
保険料は所在地や建物によって決められ、保険会社が勝手に設定はできないようになっている。
都道府県の地震リスク、建物の耐火性能によって支払う保険料が何倍も違ってきます。
例えば岩手県で耐火構造の建物は年間6800円だが、東京の非耐火構造は36300円もとられます。(保険金額1000万円の場合)
その他に免震構造の建物には保険料の割引制度もあります。
国が保険会社の2次補償を引き受けることで、一度の地震で約10兆円までの支払いに対応できるとしている。
1990年代前半の加入率は9%以下だったが、阪神大震災以降上昇を続けて現在は約30%が加入しています。
地震保険は火災保険のオプションなので、必ず火災保険とセットでの加入になります。
地震保険の支払いは建物5000万円、家財1000万円が限度で、しかも実際の価値の半額までしか支払われない。
これは支払いによって儲かる人が出るのを防ぐためで、多くの人が公平に保証を受けるという方針だと思われる。
従って例えば1000万円で同じ家を新築できるとしたら、全壊しても最大500万円しか支払われません。
家財も同じ事で、1000万円の価値があるものが地震で消失しても、最大500万円までしか支払われません。
支払いは全損(100%)の他に半損(50%)、一部損等があり(改正によって変更)、半損判定だと50%の50%なので新築に要する25%しか支払われません。
古い家が倒壊したらいくら支払われる?
では実際に地震保険に加入していて地震に遭ったらいくら払ってくれるのかだが、損保ジャパンのHPでは次のように書かれている。
『全損 地震保険金額の全額(ただし時価*が限度)』『大半損 地震保険金額の60%(ただし時価*が限度)』以下小半損、一部損と続く。
『時価とは、同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、使用による消耗分および経年劣化分を控除して算出した金額をいいます。』
なんだか奥歯に物が挟まったような言い方で、特に『時価』の説明が非常に怪しい予感がします。
例えば2000万円で新築した築40年の建物の『時価』が100万円と判定されたら、100万円しか出ないのだろうかが疑問です。
保険会社の説明によると、相当年数を経過した建物の『時価』は再建築の50%までを下限としている。
つまり40年前に2000万円で建てた家の市場評価額が100万円であっても、再建築に2000万円必要なら全損で1000万円まで保険が支払われる。
一般的に言って新しい家ほど『時価』が高く評価され、古い家ほど安く評価されるので支払額も少なくなる。
最建築に必要な金額は同じなのにこれでは不公平に見えるが、住宅ローン残高との兼ね合いがある。
現金一括で家を建てる人は稀なので、新築から新しい人はローン残高がより多く残っています。
多額のローンが残っている間に地震で倒壊したら、倒壊した家+再建する家の2重のローンを背負うので、支払額に「イロ」を付けるようです。
という事は住宅ローンの支払いが無くかなり古い家ならば、地震保険に加入する必要性は高くない。
2重に加入することは出来ず、高い保険に入っても支払い限度額が決まっているので、安い地震保険に加入するのが得なようです。