都市ガスは1割くらい安くなるが、プロパンとの価格差はさらに開く
引用:http://eonet.jp/gas/img/merit/sec3_img02.jpg
高すぎるプロパンガス価格
数年前「ガスと電気をセット契約するとお得になります」のようなチラシやメールが届いていなかっただろうか。
電力自由化の際にもその手の広告がたくさん舞い込んだが、新電力がもうひとつ信用できないので無視しました。
2016年4月に電力自由化されたのに続いて、2017年4月に都市ガスの自由化が始まり、ガス会社以外が参入しました。
電力自由化は一定以上の規模を持つ企業などでは安くなるが、一般の人は供給が不安定になるだけで利点が少なかった。
発電は規模の大きさによって価格が下がる事業なので、小さな新電力を作っても(発電コストは)理論上は安くなりません。
現在大手電力会社は原発を止められて、使っていない原発の維持費を負担しているので、新電力より高コストだが、本来は大手電力の方が安いのです。
ではガスの自由化も同じように失敗するかというと、ガス会社は逆に地方乱立していて、特にLPガスは弊害が酷い。
ほとんどの地域でLPガス供給会社は独占事業か談合で価格を決め、都市ガスと3倍以上の価格差が開いている。
2017年に自由化されたのは都市ガスだが、制度がうまく機能すればLPガスも含めて価格が下がるかも知れません。
日本はガスの100%近くをタンカーで輸送しているので、高いのはしょうがないという見方もあります。
そうではなく地域によって価格がバラバラで、1社独占なので消費者は安いガス会社に変更できないのが問題です。
ガスと電気のセット割引
「ガスと電気をセット契約するとお得になります」のお知らせが来るのは都市ガス地域だけです。
ある程度の規模のガス会社と、大手電力会社が組んで顧客を流出させないようにするもので、残念ながらプロパン地域にはないと思います。
都市ガスは最初から安いのにもっと安くなり、プロパンは非常に高額なのに、そのまま放置されます。
政府の言い分では「都市ガスは一社独占で競争が無く不公正だ」「プロパンガスは自由競争なので公平だ」という事ですが実態は違います。
日本のどの地域でも都市ガスよりプロパンガスが高く、しかもプロパンは自由競争なのに都市ガスの2倍以上が普通です。
これは政府が「競争原理」をまったく理解していないことで起きている現象で、エネルギーやインフラを「自由化」してはいけません。
ガスや電気は各家庭まで送り届ける設備が必要で、自然な流れで1社独占になるか、数社による談合価格になります。
このようなインフラを自由化したら営利企業は利益を得る為に価格を吊り上げデ、大手電話会社のように搾り取ろうとします。
かりに「水道の自由化」が実施されて企業が水道料金を自由に決めれるようになったら、私が社長なら価格を10倍に上げるほうが儲かると考えます。
ガス会社の人だってソフトバンクやAUの社長と同じ事を考えたわけで、「どうせ客はガスを使うんだから他社と同じ価格にしよう」となります。
都市ガス優遇がさらに加速
ガソリンや飲食物はこれらと違い、「客が店で買って持って帰るもの」なので、こうした商品は自由化すれば価格は下がります。
水道やプロパンガスで必要なのは「政府による価格統制」で、自由化したら業者は談合して値上げするだけです。
幸いな事に都市ガスは各自治体のもので、実際の運営はガス会社に任せているが、価格は統制されています。
価格を自由に吊り上げられるプロパンガスと違って都市ガスの値上げには自治体の許可が必要で、このためにプロパンより安いです。
都市ガス利用者にはメリットがあるものの、高いのはプロパンガスなのに、最初から安かった都市ガスを安くするのは政策として間違っているとしか言いようが無い。
セット割引を電力会社のお知らせに従ってシミュレーションすると、年間で1割近くガス代が安くなるそうです。
月平均5000円使っている家庭では年間6000円節約できるわけで、意外に大きいのが分かります。
ただし関西電力の場合だと安くなるのはガス価格だけで、電気料金は安くならない。
注意点としては「電気+ガス」のセット契約をすると電話会社と同じで契約期間があり、中途解約すると違約金が発生する場合がある。
田舎のガスや水道も同じようなもので、政府が全国統一基準を作り統制しなければなりません