世界では太陽光発電が拡大しているが日本では政府が抑制策を取り、新規建設を制限しようとしている。
一見世界の流れと逆行しているが、これには管直人民主党時代の負の遺産の処理という面もある。
2011年以降日本は世界で最も高額な太陽光発電買取制度を始め、当初は普及に貢献しました。
だが最初に高額で参入した業者の買取価格は20年間固定で、その後も少しずつしか下がらなかった。
この結果買取金の不足が発生し、全額を電気料金に上乗せしている。
2018年の一般家庭への再生エネルギー負担(賦課金)は年間1万円に達していて、今後も増え続けます。
賦課金の大半は太陽光発電の買い取り資金で、最初に設定した高額買取価格が、結局太陽光発電が普及しない原因になった。
管・民主党政権が太陽光高額買い取りを発表した時マスコミと国民は大喜びして歓迎し「100%再生エネルギーだけにするべきだ」と言っていた。
計算上は当時の買取価格で全エネルギーを発電すると、電気料金は5倍か10倍にもなるが、そうした金の計算を誰もしなかった。
現在の太陽光の苦境は国民自身が招いたことなので、高額負担金を払わされるのも仕方がない。
だがマスコミと国民はまた自分たちは被害者だと言い、電気料金が高いのは政府が悪いと言い出した。
そこで政府は太陽光発電を制限して電気料金を下げようとしているが、するとまた「太陽光を増やせ」と言い出す人がいる。
なんとかに付ける薬は無いという諺を連想せざるをえません。
太陽光に頼るリスクが顕在化
そんな中で2018年9月に北海道で地震があり、北海道全域で1週間に渡って停電が発生しました。
原因は原発停止で一つの火力発電所に発電が集中していたため、需給バランス崩壊で送電できなくなったためでした。
果たして原発が稼働していたら停電しなかったのかは議論があるが、原発が稼働していなかったことで「停電を回避する選択肢が狭まった」のは確かです。
さらに九州電力は10月13日、需給バランス崩壊を防ぐため太陽光買い取りを一時拒否すると発表しました。
北海道では発電できないことで需給バランス崩壊したが、九州では太陽光が発電しすぎたことで崩壊の恐れが出ました。
何しろ相手は太陽なので要らないときに大量に発電するが、必要だからといって多く発電はしません。
電力の一定量は水力や原発など毎日同じ量を発電する「基礎電源」で火力発電で需要の増減に対応します。
暑いからエアコンを付けた、適温で電力消費が少なくなったなどは火力で調節しています。
そこに太陽光の電力が割り込んできて、勝手気ままに発電したりしなかったりしています。
なので増減がある自然エネルギーを一定以上に増やすことはできず、ドイツも100%という目標を60%に切り下げています。
もし100%太陽と風力だけにすると、発電量の調整は不可能になり、人々は発電量に合わせた生活を強いられます。
「今日は曇りで無風なのでエアコン禁止、EVの充電も禁止」のようになってしまうでしょう。