アメリカは2010年から8年間好景気が続いているが、すべて一律に景気が良いわけではないです。
AFP通信によるとホームレス支援の非営利機関「ICPH」の調査で、2015年に10万人のホームレス学生がいた。
10万人はニューヨークの全学生の9%に相当し、1年で20%も増えていました。
学生だけで10万人という数字からは、イメージとかけ離れたニューヨークの実態が垣間見える。
さらに一度でもホームレス経験がある学生は14万人で、全学生の15%にも達した。
この調査は2017年春もおこなわれていて、114,659人と3年連続10万人を超えた。
ただアメリカの「ホームレス」の定義は日本と違い、仮住まい生活の人も含んでいる。
親戚や知人に預けられていたり、シェルターと呼ぶ簡易宿舎に入っている人、ネットカフェ的な施設で寝泊まりする人も含む。
一方日本では路上生活やテント生活者だけをホームレスと呼んでいるので、同じ物差しでは比較できない。
説明によると施設で寝泊まりする学生が約3万8000人で、残りは親戚や知人の家などで暮らしている。
行き届かない支援
これだけを聞くと家があるのだから恵まれているようにも思えるが、もっと驚くようなデータもある。
過去4年にニューヨークの公立学校(高校まで)1,800校のうち144校で、3人に1人がホームレス学生だった。
調査ではホームレス学生は成績が悪い傾向があり、英語や数学の試験で基準に達したのは12%から15%しかいなかった。
さらにNYブロンクス区では1万人以上のホームレス学生が居て、キングズブリッジ・インターナショナル高校では44%がホームレスだったことがある。
法律ではすべてのホームレスはシェルターで保護されるとあるが、シェルターには定員があり人数を超えると追い出される。
アメリカ全体ではホームレスは約55万人、NYは7万人と計算が合わないが、これはホームレスの定義がばらならなためです。
全米55万人のうち路上生活者は20万人弱で、NYの通年路上生活者は5000人以下と推測されている。
若者や学生のホームレスは親から捨てられたり、DVの末に家出した人が多く、家族が居ても帰れない。
ニューヨーク市ではシェルターの運営に1日で数千万円を使っていて、全員を収容するシェルターを用意できない。
一度ホームレスになった若者は学歴や就職などで差がついてしまい、貧困層になってしまうことが多い。