政府・与党は先日、自動車税制改革のひとつとして新たに「走行税」を導入する方針を示しました。
今まではガソリンに含まれる揮発油税などが実質走行税になっていたが、EVではガソリンを消費しません。
ハイブリッド車もガソリン車の6割程度しかガソリンを消費しないので、実質的な減税になっていました。
そこで今までの排気量区分による自動車税を廃止して、走行距離に課税するというのだが、少し考えただけで大問題が起きる。
課税方法にもよるがすべての車に一律に課税の場合、排気量が小さく燃費が良く、走行距離が多い車ほど増税になります。
最も増税になるのは軽で、現在の軽自動車税は乗用10,800円、貨物5,000円となっています。
政府は自動車税の代わりに走行税と言っているので、一律平均に課税すると3万円から4万円程度になります。(1Lから2Lの自動車税に相当)
これは「平均的ドライバー」の場合で、中古車の平均は年1万キロ走行しているとされています。
すると1万キロあたり3万円から4万円、走行1キロあたり3円から4円という数字がポンと出てきます。
これを軽自動車に当てはめると年1万キロ走行では乗用車で2万から3万円、貨物車ではプラス5000円増税になります。
年2万キロ走行すると走行税は6万円から8万円になり、5万円から7万円の増税になります。
地方で軽で自動車通勤している人にとっては大増税になります。
一律プランではプリウスなどセダン型ハイブリッド車の場合も、軽と同じ程度の増税になります。
重量別やクラス別の場合
一方で今まで高額の自動車税を払っていた大排気量車は大幅減税になり、6L以上では7万円もの減税になります。
ロールスロイスやベントレーは走行距離が短い筈なので、たまに近所に見せびらかすだけなら走行税は無料になります。
つまり生活必需品として車を使う人は大増税、道楽でフェラーリを10台持っているような人は大幅減税になります。
これは全車種一律の走行税の場合ですが、さすがの財務省や役人もこれほど「アホ」ではないとしてクラス分けをしてみます。
EVになると排気量はないので、欧米のように最高出力か重量で分けることになります。
軽自動車は50馬力以下で1トン未満など、排気量を使わなくてもクラス分けは可能です。
財務省は麻生財務大臣などがたびたび「軽の税金は安すぎて不公平だ」と言っているので、軽を増税したいのは間違いない。
先ほどと同じく軽自動車税を廃止してその分走行税だと、1キロ1円で年1万キロなら、乗用車で現在と同じになります。
乗用と貨物でキロ当たり課税額を変えることも可能で、細かくするほど税額を調整できます。
ここでも問題なのは通勤などで必需品として使っている人ほど増税になり、貧困者ほど増税になる疑いが強い。
第二の問題はEVやHVは良いとして、ガソリン車は今までもガソリン税を払っていたのに、さらに走行税で2重課税になる点です。
ガソリン税との合計ではどうやってもEVの課税額がすくなくなるので、税の不平等はそのまま残されます。
不平等を解消すると言いながら、走行税は不平等を拡大してしまうでしょう。
重量や最高出力で課税する方が、はるかに公平に思えます。