何年も前になるが2014年ごろ、韓国空軍の将校が国会で戦闘機運用の窮状を訴えたことがありました。
主力戦闘機F15Kへの部品使いまわしが4年間で平均8回以上におよび、いわゆる共食い整備が行われている。
韓国戦闘機の稼働率は日米と同じ90%と発表しているが、その内容には大きな差がある。
日米では同時に飛行できる戦闘機の割合を稼働率としているが、韓国軍では1か月に1回でも飛行すれば稼働機としている。
韓国空軍が野党の国会質問に応じた回答書では、4年で1182回の使いまわしを行っていた。
戦闘機全体で1182回、F-15Kで528回なので使いまわしはF15Kに集中している。
使いまわしを行わない場合の稼働率は、20%前後ではないかと推測されている。
こうなる理由はF15Kが韓国独自モデルであることと、アメリカから修理や解体を禁止されているからでした。
ブラックボックスという言葉があり、アメリカ製兵器の多くは勝手に分解して修理するのを禁じている。
戦闘機の部品も「兵器」なので輸出にはアメリカ政府の承認が必要で、部品が壊れてから調達を申請しなくてはならない。
申請して部品が届くまで数か月ならラッキーで、1年以上かかることもある。
また重要部品は外国での修理を禁止されているので、船で米本国に戦闘機を輸送して、戻ってくるまで3年かかる事がある。
韓国製兵器にも故障が多い
事態を悪化させているのがF15Kの設計で、韓国は様々な要望を出したため、独自部品が多く在庫がない。
外国で部品をストックするのは禁止されているので、故障してから部品を注文し、一個づつ製作する場合がある。
F16の韓国版KF16も同じ状況で、修理を待ちきれない韓国軍はブラックボックスを開けて勝手に修理しました。
また共食い整備なのだが結局治しきれなくなって、アメリカに船便で送ったりしています。
KF16は国産化率が40%ほどあるので、F15Kよりはましだが、本当の稼働率は50%程度かも知れません。
日本は米国で製造するより2倍以上の価格でライセンス生産し、部品のストックができる契約になっている。
米国から輸入するF35はライセンス生産ではないが、日本に整備拠点を置く契約になっていて、F15と同水準の整備ができる。
韓国はこうなっていないので、壊れた部品を米国から一個づつ輸入している。
戦闘機以外の哨戒機や偵察機、哨戒ヘリなどの航空機も同じ状況にある。
韓国製の航空機も運用しているが、部品は外国製が多いので故障が多く稼働率は低い。
こうした状況は韓国軍に限ったことではなく、自国で主要兵器を生産できないすべての国が直面している。
例えば中国は今も主力戦闘機をロシアから輸入していて、修理部品も当然ロシアに依存している。
中国戦闘機の稼働率も韓国並みに低い筈であり、おそらく1000機保有していても即時飛行できるのは半数以下でしょう。