VWグループは予想以上の速度でEV転換を目指しているようです。
11月16日、VWはグループ全体で5年間で300億ユーロ(約3兆8500億円)をEV投資すると発表しました。
2025年までに欧州生産の2割をEVに転換するという野心的なもので、過去最大の巨大プロジェクトになる。
2023年までの5年間に電動化、自動運転、デジタル化に440億ユーロ(約5兆6000億円)を投資する。
これには中国を含まないが、VWグループの世界生産の3割は中国で販売している。
中国では年40億ユーロを電動化などに投資するとしているので、合計では5年間で500億ユーロ(6兆3636億円)にもなる。
中国でVWグループは2020年までに30車種のEVとPHVを販売するとしている。
欧州でも2023年までにVWブランドで20車種、アウディでも20車種、ポルシェでも数車種のEVとPHVを発売する。
その一方で最後の内燃機関自動車を2026年に発売するとしていて、急速に販売を縮小する。
2025年までにVWグループ全体では、EVを50車種以上に増やすとしている(VWとアウディはほとんど共通車種)
しかも2025年には電動自動車の半数は燃焼エンジンを併用しない純粋なEVになり、全体の15%が純粋なEVになる。
もう15%がPHVでエンジン車も70%残るのだが、非常に野心的な計画と言える。
実は遅れていたVW
これをトヨタのEV計画と比較すると、2025年に全車種を電動化するとしているが、大半はハイブリッドの設定になる。
2030年に電動車合計で550万台、うち純粋なEVとFCVは100万台、差し引くとエンジン車は500万台から600万台以上になる。(販売台数1100万台以上の場合)
当面はHVが主流で2020年代にPHVを増やし、EVも2020年代に車種を拡大する。
合計するとVWは2025年にエンジン車70%、PHVは15%、EVも15%になります。
トヨタは2030年にエンジン車50%から60%、EVとFCVが10%程度、HVとPHVが40%以上になっています。
VWのほうがEVの比率が多いがHVとPHVを含めると、(5年早いが)トヨタの方が電動化が早くすすむ。
つまりVWがやろうとしているのはトヨタに圧倒的リードをつけるのではなく、今までの遅れを取り返す意味合いが強い。
トヨタは1997年に初代プリウスを発売したが、VWは2015年の排ガス騒動までディーゼルに傾倒していました。
日産は量産メーカーで初めてのEVリーフを発売したが、EV化ではトヨタより遅れている。
電動車の販売比率は非常に低く、今後の電動車発表ペースもトヨタやVWより遅い。
日産は2025年に国内販売の5割を電動車(EVやEパワーなど)にするとしているが、トヨタはもう達成している(約40%)。
トヨタは2017年に152万台のHVを販売し、今後も年数%の自然増が見込めます。
無理をしなくても10年後に電動車販売は倍増し、EVやPHVと合わせて最低500万台以上にはなっているでしょう。
日産はHVを持っていないがEVとEパワーを着実に増やし、ホンダもHVを増やしていく。
VWグループがこうした日本車に追いつくには、5年で6兆円もの投資を必要とした。